2024年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」

SUPER CREATOR

スーパークリエータ

大塚 敏郎 おおつか としろう

所属:株式会社しくみデザイン

  • 略歴

    2002年12月 愛知県生まれ
    2023年3月 豊田工業高等専門学校 情報工学科 卒業
    2025年3月 九州大学 芸術工学部 芸術工学科 メディアデザインコース 卒業
    2025年4月 株式会社しくみデザイン 入社

  • 受賞歴

    2023年6月 QUICK Data Design Challenge 2023 ファイナリスト
    2024年1月 2023年度福岡未踏的人材発掘・育成コンソーシアム ちかっぱクリエータ認定
    2024年10月 技育展2024 株式会社ディー・エヌ・エー賞
    2024年10月 第13回e-ZUKAスマートアプリコンテスト 株式会社セキュアサイクル賞
    2025年4月 Top Game Creators Academy 一期生 採択

  • 担当プロジェクトマネージャー

    稲見 昌彦

大塚 敏郎

開発テーマ名

ユーザとモノのネットワーク体験を創作するためのARシステム

概要

「Monokko」のフロントエンドは主に「管理アプリ」と「MonokoScope」で構成されている。管理アプリでは、Monokkoの作成・登録、設定変更、見た目のカスタマイズが可能である。ユーザーはカメラで対象物体を撮影し、名前、性格、対話スタイルなどの基本パラメータを編集できる。視覚的要素として瞳孔の大きさ、色、形状(丸型、ハート型、星型など)、眉の種類、アクセサリー、音声のトーンなど多様なカスタマイズができ、これらはユーザーとモノの心理的距離を縮める。
MonokoScopeはユーザーがMonokkoと対話するための主要インターフェースであり、iPad版とApple Vision Pro版の2種類が存在する。iPad版は手軽さを重視し、横持ちでiPadスタンドに設置してカメラ範囲内の対象物にMonokkoを表示する。Vision Pro版は没入感を重視し、immersiveモードで全画面表示されることで、生活空間にMonokkoが存在しているような強い没入感を提供する。 特にVision Pro版ではObject TrackingとHand Trackingを活用したMonokkoへの「撫で」インタラクションが実現され、物理的な触れ合いを通じた愛着形成が促進される。また、3Dスキャンデータから物体の正確な形状を把握し、Monokkoの目玉を物体表面に自然に配置することが可能である。

iPad版「MonokoScope」を、作業中にデスク上で使用している様子

図1: iPad版「MonokoScope」を、作業中にデスク上で使用している様子

Vision Pro版「MonokoScope」で、「Monokko」を撫でるインタラクションをしている様子

図2: Vision Pro版「MonokoScope」で、「Monokko」を撫でるインタラクションをしている様子

PMの評価

本プロジェクトでは、バーチャルエージェント「Monokko」とデバイス「キューブン」を含むシステム開発において、フロントエンド開発全般を担当した。特に、Unity及びAR Foundationを用いたiPad版「MonokoScope」とApple Vision Pro版「MonokoScope、管理アプリケーションの実装を中心的に進め、Monokkoの視覚表現やビヘイビア、インタラクション機能の設計と実装に注力した。さらに、Monokkoやキューブンのキャラクターデザインやコンセプトアートなどの視覚デザイン面においても重要な役割を果たした。
大塚氏の最も優れた点は、技術的な実装とクリエイティブなデザインの両方に高い能力を持ち、それらを橋渡しする「翻訳者」としての役割を果たせることである。プロジェクトにおいて、コンセプトや思想に強みのあるメンバーと技術の深さに強みのあるメンバーの間に立ち、両者の視点を理解し統合することで、一貫性のあるユーザ体験の創出に大きく貢献した。さらに、最新技術であるApple Vision Proという未開拓の領域に挑戦し、限られた情報の中で試行錯誤を重ねながらも実装を成功させた技術力と探究心は特筆に値する。
以上の理由から、大塚氏は「スーパークリエータ」としての基準を十分に満たしていると判断する。

クリエータからひとこと

大塚 敏郎

春から企業にてコンテンツ開発をしながら、個人ではインディーゲーム開発を進めています。
現在は特に、AIを含むプレイヤー達が即興・創発的に作品をつくり上げていく新しい遊びの形を模索しています。「Monokko」の世界観に通じる部分もあり、未踏期間中に得た技術や考えたことが現在にも繋がっているとひしひし感じています。
表現と思考を磨きながら、魅力的で楽しい世界観と興味深い技術・文脈を持ったものをつくり続けることが目標です。

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