2024年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」
SUPER CREATOR

外尾 航季 ほかお こうき
所属:株式会社メルカリ
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略歴
2000年 静岡県生まれ
2019年 長崎県立諫早高等学校 卒業
2023年 早稲田大学 先進理工学部 電気・情報生命工学科 卒業
2025年 早稲田大学 大学院先進理工学研究科 電気・情報生命専攻 修士課程 修了
2025年 株式会社メルカリ 入社 -
担当プロジェクトマネージャー
五十嵐 悠紀

開発テーマ名
人工遺伝子回路設計のための統合開発環境
概要
人工遺伝子回路とは、制御工学的手法を応用して設計された、複雑に制御される生体高分子ネットワークのことである。人工遺伝子回路を生命体システムに外挿することによって、生命体の挙動をプログラミングできる。生命をプログラムできるようになることは、すなわち生命をデバイスとして捉えることができるようになるということである。世の中に最も多く存在するデバイスを誰でもデザインできる社会が到来すれば、社会に新たな革新的な価値をもたらしうると考える。
本プロジェクトの目的は、独自に設計した人工遺伝子回路を利用して、誰もが容易に人工生命システムをデザインできる未来を創ることである。そのために、人工遺伝子回路の設計を画期的に効率化するデスクトップアプリ「Synergetica」を開発し、OSSとして公開した。視覚的に遺伝子パーツを配置する人工遺伝子回路図の設計UI、遺伝子回路動作シミュレータ、およびDNA配列最適化モデルがシームレスにつながることで、一気通貫した人工遺伝子回路設計が可能となった。

図1: Synergetica: A modern, end-to-end genetic circuit design desktop app
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2024年度 未踏IT人材発掘育成事業 成果報告会(MITOU2024 Demo Day)動画
PMの評価
人工遺伝子回路の設計・シミュレーションを含む全工程を扱える統合開発環境(IDE)「Synergetica」を開発した。システム開発の大部分を担当し、使いやすいインタフェースとリアルタイム性を備えたシステムを実現した。ユーザインタビューやチームでの議論を重ね、開発項目を取捨選択しながらプロジェクトを成功に導いた。その結果、これまで存在しなかった人工遺伝子回路専用のIDEを世に送り出すことができた。特筆すべきは、その卓越した開発能力と謙虚な姿勢である。卓越した開発能力を持ちながらも、周囲をよく見て行動できる人物である。開発に関しては自らがプロジェクトの中心となって進めつつも、それを誇示することなく、常にチームの意見を尊重しながら協調的に進めていた。その謙虚な姿勢と冷静な判断力により、周囲からの信頼も厚く、プロジェクトの成功に貢献した。技術力の高さだけでなく、バランス感覚と柔軟性を兼ね備えた優れた人物といえる。今後の人工遺伝子回路設計の現場を大きく変える可能性を見せることができたとして、その非常に高い企画力、プログラミング能力、プレゼンテーション能力が非常に高い能力をもつ者としてスーパークリエータとして認めるに値する。
クリエータからひとこと

現在は企業でソフトウェアエンジニアとして働いています。AIを滑らかにプロダクトに組み込み、長期的に価値を創出できるエンジニアリングが今のテーマです。