2003年12月4日
独立行政法人 情報処理推進機構
セキュリティセンター(IPA/ISEC)
セキュリティ対策の総点検を!!
情報処理推進機構セキュリティセンター(IPA/ISEC)は、2003年11月のコンピュータウイルスの届出状況をまとめた。
ウイルス別の届出件数の上位は、W32/Swen 596件、W32/Klez 309件、新しく亜種の出現したW32/Mimail 256件であった。2ヶ月連続でW32/Swenがワースト1で、セキュリティホールを悪用するウイルスが上位を占めている。
オンライン支払いサービス業者を装い、個人情報を送信するために添付ファイルを開くよう促すW32/Mimail ウイルスの亜種が出現し、届出が増加した。添付ファイルを開くと感染被害に遭い、パソコンに保存されているアドレス宛に、ウイルスを添付したメールが送信される。さらに、クレジットカード番号や住所などの入力を求める偽の画面が表示される。
クレジットカードなどの重要な情報は、暗号化通信で相手に送ることが一般的であり、メールの添付ファイルを開いて送信するという方法は通常ではありえない。このような場合、安易に個人情報を入力したり、記載されている宛先に連絡を取ったりすることは禁物である。
また、マイクロソフト社の名を騙ったメールで感染を広めるW32/Swenウイルスも流行しており、本文の内容に騙され、メールの添付ファイルを素直に開かないことがウイルス対策の基本中の基本である。
年末に向けて、時節柄メールのやり取りが多くなりがちである。クリスマスカードや年賀状に見せかけたウイルスやデマメールなどが出現する可能性があるので、ワクチンソフトの使用など、事前の対策が肝要である。
また、メールの添付ファイルの取り扱いには十分注意し、ウイルスなどの被害に遭わないように心がけよう。
ここ数ヶ月、Windows に重大なセキュリティホールが相次いで発見されており、それを悪用する攻撃方法が短時間で公開されている。Windows を使用しているユーザーはセキュリティ情報に日々注意し、Windows Update 等により最新の修正プログラムを適用して、ウイルスが発生した場合に被害に遭わないよう、予防対策を行っておくことが必須である。
セキュリティホールの解消方法についての具体的な手順は、下記サイトを参照のこと。
年末年始は、システム管理者が不在になる場合が予想され、ひとたびウイルス・ワーム感染やWeb改ざん、メール不正中継などの被害に遭うと、不在期間中に被害範囲が拡大する可能性がある。
特に最近では、重大なセキュリティホールが次々と発見されているため、以下の対策情報などを参考に日常のセキュリティ対策内容を再度確認して頂き、可能な対策を実施して、万全の体制を整えて頂きたい。
(Windows/DOS ウイルス1,677件、マクロウイルス及びスクリプトウイルス108件、UNIXウイルス1件。)
(*) 印は今月の新種ウイルスを示す。
Windows、DOSウイルス |
届出件数 |
マクロウイルス |
届出件数 |
---|---|---|---|
W32/Swen | 596 | XM/Laroux | 15 |
W32/Klez | 309 | XF/Sic | 3 |
W32/Mimail | 256 | W97M/Marker | 2 |
W32/Bugbear | 165 | WM/Cap | 1 |
W32/Sobig | 51 | W97M/X97M/P97M/Tristate | 1 |
W32/Fizzer | 48 | XM/VCX.A | 1 |
W32/Welchia | 42 | ||
W32/Nimda | 27 | ||
W32/MSBlaster | 25 | ||
W32/Badtrans | 19 | ||
W32/Hybris | 18 | ||
W32/CIH | 14 | スクリプトウイルス |
届出件数 |
W32/Gibe | 14 | VBS/Redlof | 60 |
W32/Opaserv | 14 | Wscript/Fortnight | 17 |
W32/Yaha | 12 | VBS/LOVELETTER | 4 |
W32/Funlove | 10 | VBS/Netlog | 3 |
W32/Ganda | 9 | VBS/Freelink | 1 |
W32/Lovgate | 9 | ||
W32/Sober (*) | 6 | ||
W32/Mumu | 5 | ||
W32/Magistr | 4 | ||
W32/Antinny | 3 | ||
W32/Dumaru | 3 | UNIXウイルス | 届出件数 |
W32/Dupator | 3 | Linux/Slapper | 1 |
W32/Sircam | 3 | ||
W32/Hawawi(*) | 2 | ||
W32/Winur(*) | 2 | ||
WYX | 1 | ||
W32/Fbound | 1 | ||
W32/Gaobot | 1 | ||
W32/Moega (*) | 1 | ||
W32/Mofei | 1 | ||
W32/MTX | 1 | ||
W32/Spaces | 1 | ||
W32/Valla | 1 | ||
備考:件数には亜種の届出を含む
注) ウイルス名欄で、各記号はそれぞれの下記ウイルスを示す。
記号 | 対象ウイルス |
---|---|
WM | MSword95(WordMacroの略) |
W97M | MSword97(Word97Macroの略) |
XM、XF | MSexcel95、97(ExcelMacro、ExcelFormulaの略) |
X97M | MSexcel97(Excel97Macro) |
W97M/X97M/P97M | MSword97、MSexcel97、MSpowerpoint97(Word97Macro、Excel97Macro、PowerPoint97Macroの略) |
W32 | Windows32ビット環境下で動作 |
VBS | VisualBasicScriptで記述 |
Wscript | WindowsScriptingHost環境下で動作(VBSを除く) |
Solaris | Solaris環境下で動作 |
FreeBSD | FreeBSD環境下で動作 |
Linux | Linux環境下で動作 |
届出者 | 届出件数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
2003/11 | 2003年合計 | 2002年合計 | ||||
一般法人ユーザ | 1,575 | 88.2% | 13,704 | 85.8% | 15,313 | 75.2% |
教育・研究機関 | 105 | 5.9% | 984 | 6.2% | 1,914 | 9.4% |
個人ユーザ | 106 | 5.9% | 1,285 | 8.0% | 3,125 | 15.3% |
地域 | 届出件数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
2003/11 | 2003年合計 | 2002年合計 | ||||
北海道地方 | 1 | 0.1% | 14 | 0.3% | 311 | 1.5% |
東北地方 | 32 | 1.8% | 285 | 1.8% | 534 | 2.6% |
関東地方 | 1,169 | 65.5% | 10,144 | 63.5% | 12,986 | 63.8% |
中部地方 | 283 | 15.8% | 2,032 | 12.7% | 1,894 | 9.3% |
近畿地方 | 274 | 15.3% | 2,656 | 16.6% | 3,254 | 16.0% |
中国地方 | 5 | 0.3% | 229 | 1.4% | 365 | 1.8% |
四国地方 | 1 | 0.1% | 47 | 0.3% | 151 | 0.7% |
九州地方 | 22 | 1.2% | 529 | 3.3% | 857 | 4.2% |
感染経路 | 届出件数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
2003/11 | 2003年合計 | 2002年合計 | ||||
メール | 1,631 | 91.3% | 12,877 | 80.6% | 17,107 | 84.1% |
海外からのメール | 19 | 1.1% | 1,659 | 10.4% | 2,660 | 13.0% |
ダウンロード(※) | 4 | 0.2% | 151 | 0.9% | 121 | 0.6% |
外部からの媒体 | 20 | 1.1% | 208 | 1.3% | 119 | 0.6% |
海外からの媒体 | 0 | 0% | 3 | 0% | 4 | 0% |
不明・その他 | 112 | 6.3% | 1,075 | 6.7% | 341 | 1.7% |
(※1)ホームページからの感染を含む (※2)ネットワーク経由を含む
感染台数 | 届出件数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
2003/11 | 2003年合計 | 2002年合計 | ||||
0台 | 1,707 | 95.6% | 14,813 | 92.7% | 18,633 | 91.5% |
1台 | 53 | 3.0% | 857 | 5.4% | 1,364 | 6.7% |
2台以上 5台未満 | 13 | 0.7% | 131 | 0.8% | 206 | 1.0% |
5台以上 10台未満 | 4 | 0.2% | 53 | 0.3% | 59 | 0.3% |
10台以上 20台未満 | 5 | 0.3% | 21 | 0.1% | 60 | 0.3% |
20台以上 50台未満 | 2 | 0.1% | 49 | 0.3% | 23 | 0.1% |
50台以上 | 2 | 0.1% | 49 | 0.3% | 7 | 0% |
ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPA/ISEC に届出されたウイルスの中で、12月4日〜1月31日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げたので注意されたい。(参考:特定日発病ウイルス[ウイルスカレンダー])
W32/Klez | 12月6日、1月6日 (毎月6日に発病) |
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コンピュータウイルスに関する届出制度は、経済産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、平成2年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。
IPAでは、個別に届出者への対応を行っているが、同時に受理した届出等を基に、コンピュータウイルス対策を検討している。また受理した届出は、届出者のプライバシーを侵害することがないように配慮した上で、被害等の状況を分析し、検討結果を定期的に公表している。
TEL:03-5978-7508FAX:03-5978-7518
E-mail:
相談電話:03-5978-7509URL:http://www.ipa.go.jp/security/