IPA/ISEC


2002年 4月 4日
情報処理振興事業協会
セキュリティセンター(IPA/ISEC)

コンピュータウイルスの届出状況について

日本語件名を使用する初のメール感染ウイルス出現!!


1.2002年 3月のウイルス届出状況

 情報処理振興事業協会セキュリティセンター(IPA/ISEC)は、2002年 3月の届出状況をまとめた。
 3月の届出件数は1460件と先月(1439件)と同水準で推移したが、実害率は3月10.5%と2月の8.8%から若干上昇した。

2.今月の特記事項

日本語件名で届くW32/Fboundウイルス出現!!

 日本語件名を使用するW32/Fboundウイルスが出現し、212件もの届出が寄せられた。このウイルスは、件名に日本語を使用する初めてのウイルスであり、しかも知り合いから届くため、添付ファイルを実行してしまい感染するケースが多く見られた。 メールの添付ファイルは安易に開かないという基本が守られず、実害率は26.4%と高い数値となった。

図:W32/Fboundウイルスの受信画面

 ウイルスはプログラムであるので、機能の追加や、動作の一部変更など、部分的に改変、改造されたものが出回ることが多々あり、そのようなオリジナルと多少異なるものを亜種と呼ぶ。3月の届出件数の上位3種(W32/Badtrans、W32/Klez、W32/Fbound)は、すべて亜種であった。 

 亜種は、オリジナルの改変により悪質なものが多く、より被害が拡大する傾向にある。また、オリジナルとは動作が異なるため、予防対策や感染した場合の対処方法も変わることがある。なお、オリジナルのウイルスを発見できるワクチンソフトでも、亜種によっては、そのままでは、必ずしも発見できない場合もあるので、日々最新の情報を収集し、ワクチンソフト(ウイルス検出データファイル※)の更新を確実に実施することが重要である。
 (※メーカーにより、定義ファイル、パターンファイル、シグネチャファイル等呼び名が異なる)  

 

今月の呼びかけ:「添付ファイルの安易なダブルクリックはやめよう!!」
           
−ウイルス対策の基本中の基本−

 

 友人・知人からのメールであってもワクチンソフトでの検査後に添付ファイルを開くようにされたい(ワクチンソフトが自動的に検査を行ってくれる常時監視モード(※)の設定を推奨する)。また、安全の確認されていない添付ファイルは開かないことがウイルス対策の基本中の基本である。 (※ワクチンソフトにより名称が異なり、リアルタイム保護、リアルタイム検索、リアルタイムモニタ等) 

 3月の新種ウイルスは、すべてユーザがファイルを開かなければ感染しないものであった。特にW32/Fboundウイルスに感染したケースでは、ワクチンソフトで検査せずに、安易に添付ファイルをダブルクリックしたケースが多く見受けられ、基本が守られていない状況が伺えた。

 参考:)ウイルスによく使用される拡張子のアイコンとウイルスの代表例

 
アイコン ウイルス名 添付ファイル名 アイコン ウイルス名 添付ファイル名
VBS/SST  AnnaKournikova.jpg.vbs W32/Mylife  cari.scr
W32/Fbound  patch.exe W32/Magistr  BLADE.bat
W32/MTX  LOVE LETTER FOR YOU.TXT.pif W32/Sircam  機密書類.doc.lnk

  また、新種ウイルスの出始めの頃は、ウイルス検出データファイルを最新版に更新したワクチンソフトでも発見できないことがある。ワクチンソフトを過信せず、送信元に問い合わせるなどして安全を確認後使用されることが望ましい。

コンピュータウイルス被害状況調査について 

 届出以外の国内及び海外におけるウイルス被害状況の実態を把握するため、アンケートによるコンピュータウイルス被害状況調査を実施し、調査結果の概要を「コンピュータウイルス被害状況調査結果要約」としてまとめたので参照されたい。なお、詳細については下記サイトに掲載している。

  「国内におけるコンピュータウイルス被害状況調査報告書
  「海外におけるコンピュータウイルス被害状況調査報告書」 

3. ウイルス届出の詳細       

1) 3月、届出のあったウイルスは47種類であった。
(Windows、DOS及びUNIXウイルス1,341件、マクロウイルス及びスクリプトウイルス118件、Macintoshウイルスが1件。)(*)印は今月の新種ウイルスを示す。

Windows、DOSウイルス 届出件数 マクロウイルス 届出件数
 W32/Badtrans 448  XM/Laroux 44
 W32/Klez 224  XM/VCX.A 12
 W32/Fbound(*) 212  W97M/Marker 9
 W32/Hybris 109  X97M/Divi 6
 W32/Magistr 84  W97M/X97M/P97M/Tristate 5
 W32/Sircam 67  WM/Cap 5
 W32/Nimda 51  W97M/Ethan 4
 W32/Gibe(*) 30  W97M/Eight941 3
 W32/MTX 25  W97M/Thus 3
 W32/Aliz 21  W97M/Melissa 2
 W32/Myparty 13  W97M/Nsi 2
 W32/CIH 10  W97M/Bablas 1
 W32/QAZ 9  W97M/Myna 1
 Form 6  W97M/Smac 1
 W32/Navidad 6  W97M/Vmpck1 1
 W32/Ska 5  XM/Extras 1
 W32/Mylife(*) 4 スクリプトウイルス 届出件数
 Anti-CMOS 3  VBS/Haptime 14
 W32/Funlove 3  Wscript/Kakworm 2
 W32/Shoho 3  VBS/LOVELETTER 1
 W32/Goner 2  VBS/Stages 1
 W32/Zoher 2 UNIXウイルス 届出件数
 W32/Cabanas 1  Solaris/Sadmind 2
 W32/CodeRed 1 Macintoshウイルス 届出件数
 W32/Msinit 1  AutoStart9805

1

備考:件数には亜種の届出を含む

注) ウイルス名欄で、各記号はそれぞれの下記ウイルスを示す。

記号 対象ウイルス
 WM  MSword95(WordMacroの略)
 W97M  MSword97(Word97Macroの略)
 XM、XF  MSexcel95、97(ExcelMacro、ExcelFormulaの略)
 X97M  MSexcel97(Excel97Macro)
 W97M/X97M/P97M  MSword97、MSexcel97、MSpowerpoint97(Word97Macro、Excel97Macro、PowerPoint97Macroの略)
 W32  Windows32ビット環境下で動作
 VBS  VisualBasicScriptで記述
 Wscript  WindowsScriptingHost環境下で動作(VBSを除く)
 Solaris  Solaris環境下で動作

2)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、82.9%を占めている。

届   出   者

届  出  件  数

2002/3   2002年合計   2001年合計  
 一般法人ユーザ 1,210 82.9% 3,740 72.2% 17,332 71.4%
 教育・研究機関 174 11.9% 722 13.9% 1,286 5.3%
 個人ユーザ 76 5.2% 720 13.9% 5,643 23.3%

3)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて近畿地方、中部地方の順となっている。

地     域

届  出  件  数
2002/3   2002年合計   2001年合計  
 北海道地方 25 1.7% 82 1.6% 506 2.1%
 東北地方 61 4.2% 169 3.3% 882 3.6%
 関東地方 1,015 69.5% 3,251 62.7% 16,291 67.1%
 中部地方 117 8.0% 472 9.1% 2,360 9.7%
 近畿地方 210 14.4% 885 17.1% 2,589 10.7%
 中国地方 14 0.9% 36 0.7% 387 1.6%
 四国地方 5 0.3% 47 0.9% 399 1.6%
 九州地方 13 0.9% 240 4.6% 847 3.5%
 

4)届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。 海外からのメールも含めたメールにより感染したケースが最も多く、届出件数の93.7%を占めている。

感  染  経  路

届  出  件  数
2002/3   2002年合計   2001年合計  
 メール 1,322 90.5% 4,943 95.4% 17,790 73.3%
 海外からのメール 47 3.2% 108 2.1% 3,791 15.6%
 ダウンロード(※) 13 0.9% 26 0.5% 593 2.4%
 外部からの媒体 15 1.0% 27 0.5% 655 2.7%
 海外からの媒体 3 0.2% 3 0.1% 22 0.1%
 不明・その他 60 4.1% 75 1.4% 1,410 5.8%

(※)ホームページからの感染を含む

5)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。感染台数の欄0台は、FDのみの感染またはファイルのみの感染を示し、事前の検査により、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。

感  染  台  数

届  出  件  数
2001/3   2002年合計   2001年合計  
0台 1,307 89.5% 4,589 88.5% 19,585 80.7%
1台 119 8.1% 507 9.8% 3,733 15.4%
2台以上 5台未満 20 1.4% 53 1.0% 528 2.2%
5台以上 10台未満 7 0.5% 16 0.3% 190 0.8%
10台以上 20台未満 7 0.5% 14 0.3% 93 0.4%
20台以上 50台未満 0 0% 2 0% 74 0.3%
50台以上 0 0% 1 0% 58 0.2%

特定日発病ウイルスについて

 ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPA/ISEC に届出されたウイルスの中で、 4月 5日〜 5月31日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げたので注意されたい。(参考:特定日発病ウイルス[ウイルスカレンダー]


 W32/Klez  4月 6日、5月 6日(毎月6日に発病)
 VBS/Haptime  4月 9日、5月 8日(「月」と「日」の合計が13の時に発病)


コンピュータウイルスに関する届出制度について

 コンピュータウイルスに関する届出制度は、経済産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。
 IPAでは、個別に届出者への対応を行っているが、同時に受理した届出等を基に、コンピュータウイルス対策を検討している。また受理した届出は、届出者のプライバシーを侵害することがないように配慮した上で、被害等の状況を分析し、検討結果を定期的に公表している。

 ○コンピュータウイルス対策基準
  ・通商産業省告示第139号 平成 2年 4月10日制定
  ・通商産業省告示第429号 平成 7年 7月 7日改訂
  ・通商産業省告示第535号 平成 9年 9月24日改訂
  ・通商産業省告示第952号 平成12年12月28日改訂


問い合わせ先:IPAセキュリティセンター(IPA/ISEC)
         (ISEC:Information technology SEcurity Center)
         TEL:03-5978-7508 FAX:03-5978-7518
         E-mail: isec-info@ipa.go.jp
         相談電話:03-5978-7509 URL:http://www.ipa.go.jp/security/


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