ISEC


2002年 1月10日
情報処理振興事業協会
セキュリティセンター(IPA/ISEC)

コンピュータウイルスの届出状況について

1.2001年12月のウイルス届出状況

情報処理振興事業協会セキュリティセンターは、2001年12月の届出状況をまとめた。

 12月の届出件数は3,900件と過去最悪の2,809件(2001年8月)を大きく上回る結果となった。
 要因は、W32/Badtransウイルスの亜種の届出が1種類のウイルスとして月間届出最多の2,701件 (過去最多は2001年8月、W32/Sircam 1,257件)となったことが上げられる。

2.今月の特記事項

W32/Badtransウイルスの亜種が猛威を振るう!!

 W32/Badtransウイルスの亜種は、Internet Explorerのセキュリティホールを悪用するウイルスで、Outlookではメールを開いただけで、OutlookExpressではメールをプレビューしただけで感染する。感染するとパソコン内に記録されているメールアドレス (アドレス帳に登録されたアドレスだけではない)を取得し、取得したアドレスすべてにウイルスを添付したメールを送信する。 また、キーボード操作を記録するプログラムがインストールされ、入力されたパスワードやクレジットカード番号等が外部に送信される可能性がある。 このように感染力が強く、悪質な機能を持ったウイルスである。

図:W32/Badtarnsのウイルスメールのプレビュー画面

 また、12月は個人ユーザの届出が全体の36.7%(2001年は23.3%、2000年は8.3%)もあり、そのうちの28.9%が実際に被害を受けている。なお、被害を受けたほとんどのユーザからワクチンソフトを装備していない、またはウイルス定義ファイルの更新をしていなかったとの報告がなされている。

12月の届出者別実害率

  累計届出件数 実害件数
一般法人ユーザ 2,293件 58.8% 283件 12.3%
個人ユーザ 1,430件 36.7% 413件 28.9%
教育・研究機関 177件 4.5% 45件 25.4%

2001年1年間のウイルス届出総括

 2001年も2000年に引き続きメール機能悪用ウイルスが蔓延し、さらにセキュリティホールを悪用するウイルスが次々に出現した。このため届出件数は、前年(11,109件)の2倍を超える24,261件に及んだ。 しかし、実際に感染したケースは19%(前年20%)にとどまっており、企業ユーザにおいてサーバへのワクチンソフトの導入等ウイルス対策が 強化されている状況が伺える。

   詳細は「2001年ウイルス発見届出状況」参照

今月の呼びかけ:「予防が一番!!」
           
−感染してからでは手遅れ!−

 

  ウイルス対策を行う上で、予防が何より大切である。感染してからでは場合によっては初期化しなければならないなど、修復等の処置が大変であるが、予防には高度な技術は必要なく、初心者でも少しの知識を得ることで十分対応出来る。下記のステップを実施し、予防に努めていただきたい。

ステップ1.ウイルスを受信してから慌てることがないように、ワクチンソフトを装備し、日頃から対処できる状態にしておく。

ワクチンソフトに関する情報」 
(・各ベンダーの連絡先 ・定義ファイルの確認方法 ・検査対象の設定方法 など)

ステップ2.最新の情報を収集し、適切な対策を実施する。週一度は下記サイトを参照し、新種のウイルスやセキュリティホールに関する情報に注意を払う。ご使用のアプリケーション(ソフトウェア)にセキュリティホールが存在すれば早急に解消しておく。

 マイクロソフト社 「ホームユーザー向け セキュリティ対策 早わかりガイド

 「IPAセキュリティセンター

ステップ3.知り合いからきたメールも警戒する。メール機能悪用ウイルスは、多くがアドレス帳にあるアドレスを取得し、ウイルスを添付したメールを送信するため、知り合いから送信されたように見えるケースがほとんどである。(Q&A参照) また、自分がウイルスに感染していなければウイルスが送られて来ないと思っている人も多い。

Q:○○さんから嫌がらせでウイルスが送られてくるのですが?

A:ウイルスに感染すると自動的にウイルスメールの送信が行われます。従って、故意に送信している可能性は低く、感染していることに気付かずに加害者になっているケースが多く見受けられます。送信者にウイルス感染の旨をお知らせいただくようお願いします。

3. ウイルス届出の詳細

1)今月、届出のあったウイルスは42種類であった。
(Windows、DOS及びUNIXウイルス3,791件、マクロウイルス及びスクリプトウイルス109件、Macintoshウイルスが0件。)(※)印は、今月の新種ウイルスを示す。

Windows、DOSウイルス 届出件数 マクロウイルス 届出件数
 W32/Badtrans 2701  XM/Laroux 33
 W32/Aliz 382  XM/VCX.A 14
 W32/Hybris 145  X97M/Divi 10
 W32/Nimda 128  W97M/Marker 6
 W32/Magistr 125  W97M/Melissa 4
 W32/Sircam 91  W97M/Myna 3
 W32/MTX 61  W97M/X97M/P97M/Tristate 3
 W32/Klez 53  W97M/Ethan 2
 W32/Goner(※) 47  W97M/Groov 1
 W32/Zoher(※) 19  WM/Wazzu 1
 Form 7 スクリプトウイルス 届出件数
 W32/QAZ 7  VBS/Haptime 21
 Anti-CMOS 4  VBS/LOVELETTER 5
 W32/Ska 4  VBS/Homepage 2
 W32/CIH 3  Wscript/Kakworm 2
 Cascade 2  VBS/Netlog 1
 W32/Funlove 2  VBS/Stages 1
 B1 1 UNIXウイルス 届出件数
 D3 1  Solaris/Sadmind 2
 W32/Apost 1 Macintoshウイルス 届出件数
 W32/Kriz 1   なし
 W32/Msinit 1    
 W32/Navidad 1    
 W32/PrettyPark 1    
 WYX 1    

注) ウイルス名欄で、各記号はそれぞれの下記ウイルスを示す。

記号 対象ウイルス
 WM  MSword95(WordMacroの略)
 W97M  MSword97(Word97Macroの略)
 XM、XF  MSexcel95、97(ExcelMacro、ExcelFormulaの略)
 X97M  MSexcel97(Excel97Macro)
 W97M/X97M/P97M  MSword97、MSexcel97、MSpowerpoint97(Word97Macro、Excel97Macro、PowerPoint97Macroの略)
 W32  Windows32ビット環境下で動作
 VBS  VisualBasicScriptで記述
 Wscript  WindowsScriptingHost環境下で動作(VBSを除く)
 Solaris  Solaris環境下で動作

2)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、58.8%を占めている。

届   出   者

届  出  件  数

2001/12   2001年合計   2000年合計  
 一般法人ユーザ 2293 58.8% 17332 71.4% 9975 89.8%
 教育・研究機関 177 4.5% 1286 5.3% 214 1.9%
 個人ユーザ 1430 36.7% 5643 23.3% 920 8.3%

3)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて中部地方、近畿地方の順となっている。

地     域

届  出  件  数
2001/12   2001年合計   2000年合計  
 北海道地方 122 3.1% 506 2.1% 89 0.8%
 東北地方 162 4.2% 882 3.6% 121 1.1%
 関東地方 2270 58.2% 16291 67.1% 9415 84.8%
 中部地方 518 13.3% 2360 9.7% 612 5.5%
 近畿地方 511 13.1% 2589 10.7% 628 5.7%
 中国地方 101 2.6% 387 1.6% 80 0.7%
 四国地方 83 2.1% 399 1.6% 35 0.3%
 九州地方 133 3.4% 847 3.5% 129 1.2%
 

4)届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。 海外からのメールも含めたメールにより感染したケースが最も多く、届出件数の約97.8%を占めている。

感  染  経  路

届  出  件  数
2001/12   2001年合計   2000年合計  
 メール 3431 88.0% 17790 73.3% 6171 55.5%
 海外からのメール 383 9.8% 3791 15.6% 3843 34.6%
 ダウンロード(※) 21 0.5% 593 2.4% 82 0.7%
 外部からの媒体 22 0.6% 655 2.7% 424 3.8%
 海外からの媒体 1 0% 22 0.1% 4 0%
 不明・その他 42 1.1% 1410 5.8% 585 5.3%

(※)ホームページからの感染を含む

5)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。感染台数の欄0台は、FDのみの感染またはファイルのみの感染を示し、事前の検査により、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。

感  染  台  数

届  出  件  数
2001/12   2001年合計   2000年合計  
0台 3159 81.0% 19585 80.7% 8927 80.4%
1台 646 16.6% 3733 15.4% 1610 14.5%
2台以上 5台未満 68 1.7% 528 2.2% 393 3.5%
5台以上 10台未満 14 0.4% 190 0.8% 109 1.0%
10台以上 20台未満 9 0.2% 93 0.4% 32 0.3%
20台以上 50台未満 2 0% 74 0.3% 20 0.2%
50台以上 2 0% 58 0.2% 18 0.2%

特定日発病ウイルスについて

 ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPA/ISEC に届出されたウイルスの中で、1月11日〜 2月28日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げたので注意されたい。(参考:特定日発病ウイルス[ウイルスカレンダー]


 VBS/Haptime  2月11日


コンピュータウイルスに関する届出制度について

 コンピュータウイルスに関する届出制度は、経済産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報を IPA に届け出ることとされている。
 IPAでは、個別に届出者への対応を行っているが、同時に受理した届出等を基に、コンピュータウイルス対策を検討している。また受理した届出は、届出者のプライバシーを侵害することがないように配慮した上で、被害等の状況を分析し、検討結果を定期的に公表している。

 ○コンピュータウイルス対策基準
  ・通商産業省告示第139号 平成 2年 4月10日制定
  ・通商産業省告示第429号 平成 7年 7月 7日改訂
  ・通商産業省告示第535号 平成 9年 9月24日改訂
  ・通商産業省告示第952号 平成12年12月28日改訂


問い合わせ先:IPAセキュリティセンター(IPA/ISEC)
         (ISEC:Information technology SEcurity Center)
         TEL:03-5978-7508 FAX:03-5978-7518
         E-mail: isec-info@ipa.go.jp
         相談電話:03-5978-7509 URL:http://www.ipa.go.jp/security/


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