伝えよう、情報モラル

受賞作品発表

取り組み事例

高校の部活動でコンクールを活用。入賞を目指して全員参加

岐阜県立岐阜総合学園高等学校 岐阜県岐阜市

部活動で「IPA情報セキュリティコンクール」を活用している高校があります。部員同士のレビューを通じて、アイデアや表現をブラッシュアップし、部員の参加意識とモチベーションを盛り上げています。自主的に調べて一生懸命作品の制作に取り組むことで、生徒の力だけで入賞できると言います。

各種コンクールに全員参加の「マルチメディア部」

マルチメディア部顧問 石井 正人 教論

マルチメディア部顧問
石井 正人 教論

 岐阜県立岐阜総合学園高等学校の部活動「マルチメディア部」は、いろいろなコンクールへの参加と、IT系の資格取得に熱心に取り組んでいます。顧問の石井正人先生によると、年間約100件のコンクールを選択し、最も多い生徒は50件も応募したそうです。
 「IPA情報セキュリティ標語・ポスター・4コマ漫画コンクール」(2014年度は、「IPAひろげよう情報モラル・セキュリティコンクール」)には、ここ数年間、続けて参加しています。2013年度は、1〜3年生の部員全員(男子8名・女子4名)が、ポスター部門と4コマ漫画部門に参加しました。
 このコンクールは、(1)全国規模である、(2)デジタル処理した作品で応募できる、(3)厳正な審査が行われる、という特長があり、高校が力を入れて取り組む価値があるとのことです。

生徒たちの議論で、上位入賞を目指す

 生徒にとって、高校生活を一生懸命過ごす体験はとても重要です。運動系の部活動では、全国大会を目指すといったわかりやすい目標があります。しかし、文化系の部活動の場合には目標設定が難しく、コンクールへの応募は、生徒が力を試すことができるテーマです。挑戦するだけチャンスが増え、納得いくまで作ることができるので、マルチメディア部ではコンクールに熱心に取り組んでいます。
 高校生が応募できるコンクールは多くありますが、絵画のコンクールは美術系の生徒に有利です。一方で、IPA情報セキュリティコンクールは、商業デザイン・工業デザインの観点も審査で考慮されます。
 具体的には、いま直面しているITセキュリティ上の問題点と、コンクールの主催者や審査員が求めている主張を理解したうえで、見る人がすんなり正しく受け入れる作品を作り上げる必要があります。
 パソコンや各種アプリを使い慣れているマルチメディア部の部員にとっては、ITは取り組みやすい分野であり、入賞を目指すこともできるでしょう。工業系の課目を教えている石井先生にとっても指導しやすいそうです。
 とは言っても、顧問の先生が答えを教えるわけではありません。石井先生は、「先生方が作っても上位入賞は難しいでしょう。ITを利用する生徒が直面している問題を、生徒の視点で表現できないからです。また、ITセキュリティをめぐる社会状況は変わるので、過去の入賞作を真似てもダメです」と言います。事前の準備を先生が整えるのではなく、生徒が自ら調べたり、考えたりするところからコンクールへの取り組みを始める方が効果的だそうです。

マルチメディア部の活動風景

マルチメディア部の活動風景

アイデアを出し、部員同士でレビュー

 コンクールにむけての作業は、次のように進みます。第1段階は、サイトに掲載された募集要綱を見て、それぞれの部員へテーマを割り振ります。テーマは「パスワード」や「アップデート」といった技術的な内容が、毎年、10個ほどのキーワードとして例示されます。

 第2段階は、担当したテーマについて、どんなトラブルが起こっているか、ニュースや情報を生徒が集めて、知識を深めます。コンクールの審査は半年後なので、どんな情勢になっているかを予想して、その時点で世の中に伝えるべき内容を考えなければなりません。
 第3段階は、アイデアをスケッチブックに図案化します。ポスターも4コマ漫画も「瞬間芸」だと石井先生は強調します。見た瞬間に興味を引き、理解してもらえるような絵柄とメッセージが大切です。
 生徒は、スケッチブックにアイデア案を作ります。1冊(20ページ)を超えて案を作る生徒もいるそうです。だれに、何を、どのように伝えるかを試行錯誤するこの時間が、全体の9割に相当します。
 第4段階では、各自がアイデア案を部員の前で見せて、生徒同士でレビューを行います。見た人が興味を持ち、理解してもらえるかなどを議論することで、生徒にとっての深い学びになります。生徒ごとに応募するテーマが異なるので、他のテーマを扱う生徒にとっては、一般の人と同じ感覚でアイデアを見ることができます。よく知らない一般の人に伝わるかどうかのチェックもできるわけです。
 先生が意見を言うのは、いちばん最後だけに留めているそうです。

2013年度入賞作品の一部 優秀賞 大西美和さん

2013年度入賞作品の一部 優秀賞 大西美和さん

入賞作と選外作の違いは何かを比較

 第5段階は作品の制作です。アイデアが固まっているので、4〜5日で仕上がります。再び、生徒同士で応募作をレビューしますが、フォントの大きさや色調の調整など細かいレベルの修正がほとんどです。出来上がった作品を応募したら、部のファイルサーバに応募作を保存します。
 コンクールは、入賞者もいれば落選者もいるわけですが、前述の進め方なら、「だれかの入賞はみんなの喜び」にできると石井先生は言います。レビューの場で部員が議論しているので、苦労して、みんなで考えて作品を作り上げたという感覚が育っているからだそうです。
 翌年度以降は、応募作のすべてを保存していることが生きてきます。多くのコンクールは、入選作は公開されますが、選外作を見ることはできません。しかし当校は応募作のすべてを保存しているので、入選した理由や、選外となった理由を分析することができます。生徒にとっては、応募作すべてがよい教材になります。

進め方

失敗事例を知ってトラブル回避につなげる

 若いときには好奇心から冒険をしがちです。ITセキュリティでは、いろいろな失敗事例を知ることがトラブル回避の対策になります。失敗事例を生徒が学ぶために、IPA情報セキュリティコンクールを活用するのは効果的でしょう。石井先生は、「4コマ漫画部門は、高校の授業でも取り組みやすいでしょう。標語部門は、ホームルームの時間内に作って応募することもできるでしょう」と話してくれました。

岐阜県立岐阜総合学園高等学校

自主・創造・友愛を校訓とする総合学科設置の県立高校です。岐阜西工業高等学校と岐阜第一女子高等学校が統合して、1997年に開校しました。2010〜2012年度までの3年連続で、男子ホッケー部は国体(少年男子)で優勝しました。
http://www.gifusogogakuen-h.ed.jp/