情報セキュリティ
公開日:2021年11月17日
営業秘密の管理や保護に関する様々な情報をお届けして参ります。
弁護士 林 いづみ(弁護士知財ネット専務理事)
データは「現代の石油」、「産業競争力の中核」といわれ、メガプラットフォーマーのデータ寡占に対して各国競争当局が規制を強化したり、データ覇権をめぐる米中対立が激化して、わが国でも機微情報の管理が進んでいます。
このようなデータの価値は、多種多様・大量の情報をデジタル化してIoTで効率的に収集・共有し、深化したAIの深層学習で分析してCPS活用することによって初めて生まれるものです。漫然と溜まったデータを「資源ゴミ」にしたり、無自覚に他者に吸い取られてゲームチェンジの敗者にならないように、我が国も、データを「集める」「探せる」「繋げる」「使える」データ利活用環境の整備を官民で進めていますが、新型コロナ禍で露呈したように、道半ばと言わざるを得ません。
現在、グローバルなデータのガバナンスやデータの越境移転に関する国際的ルールはまだありません。データ共有の在り方について、データオーナシップ、データポータビリティ、データの法的利用の境界線、データ提供組織は、他の提供者のデータ、データプールの分析等のサービスにアクセスできるか等々、様々な次元の議論が世界中で進んでいますが、まだ結論は出ていません。
価値あるデータの共有場面での法的保護対策の基本は、依然としてグローバルに確立した営業秘密法制の積極活用であり、そのニーズは益々高まっています。実際、米国の連邦営業秘密法(DTSA)の実務では営業秘密該当性のハードルは非常に低く、何らかの価値を有する情報はインターネットで検索されるものでない限り、事実上すべて保護の対象になるといわれるほどです。また営業秘密の「使用(use)」についてもOakwood Lab'ys LLC v. Thanoo,999F.3d.892(3rdCir.2021)で連邦第3
巡回区裁判所は、連邦地裁の「複製(replicate)」という狭い解釈は「DTSAの条文文言や、営業秘密の不正利用(misappropriation)に対処する州法の下で裁判所が「使用(use)」という言葉に帰してきた広い意味と矛盾する。」「営業秘密の『使用』(use)には、経済的利益、競争上の優位性、その他の商業的価値を得るために営業秘密情報を利用する方法や、『研究や開発を支援または促進する』などの類似の搾取目的を達成する方法がすべて含まれる。」と解釈して損害賠償請求を認めています。
実務上、他社と情報を共有する場合の営業秘密保護のカギとなるのは「契約」の高度化です。サプライチェーンのメンバー全員が最悪の行動に出ることを想定した多様な条項をNDAに盛り込んだり、逆に、過重な義務負担を規定するNDAを営業部門や技術部門まかせにして締結してしまわないように、弁護士の法的チェックを通すことも大事でしょう。
データ利活用に必要なリーガルサービスについて、弁護士知財ネットの全国の会員弁護士に、お気軽にご相談くだされば幸いです。
顧客データを始めとする個人データの活用は、近年ますます重要視されています。個人データの取扱う場合には十分に安全管理措置を講じる必要がありますが、不幸にも、個人データが漏えいしてしまう事例が後を絶ちません。そこで、本コラムでは、個人データが漏えいしてしまった場合に行うべき対応について、個人情報保護法のフレームワークを簡単にご説明
し、また関連する令和2年個人情報保護法改正の規定の概略をご紹介します。
詳細は、弁護士知財ネット 営業秘密メルマガコラムをご覧ください。
11月10日(日本時間)にMicrosoft製品に関する脆弱性の修正プログラムが公表されています。これらの脆弱性が悪用されるとアプリケーションプログラムの異常終了やパソコンが制御されるなどの被害が発生する可能性があります。
至急修正プログラムを適用されることが推奨されます。
詳細は、Microsoft 製品の脆弱性対策について(2021年11月)をご覧ください。
コンテンツ管理システムの「Movable Type」のXMLRPC APIには、OSコマンド・インジェクションの脆弱性が存在します。攻撃が行われると影響が大きく、できる限り製品開発者の提供情報に基づく早急なアップデートが推奨されます。
詳細は、更新:「Movable Type」の XMLRPC API における OS コマンド・インジェクションの脆弱性について(JVN#41119755)をご覧ください。
中小企業向けにサイバーセキュリティ対策の支援を行っている「サイバーセキュリティお助け隊サービス」のウェブサイトを刷新しました。動画や「対策かるた」等、対策の重要性をフレンドリーなコンテンツで紹介しています。
詳細は、サイバーセキュリティお助け隊サービスをご覧ください。
海外ビジネスを展開するにあたって、自社の経営や技術に関する情報を保護することは極めて重要です。
ジェトロでは、実際に営業秘密の保護・管理体制の導入を図る日本企業の中国、タイ、ベトナム、シンガポールの現地法人を対象に、専門家を派遣しコンサルテーションや社内研修を行う事業を実施します。サービス内容は支援対象企業のニーズにあわせてオーダーメイドでご提供いたします。
日本とは異なる商慣習や労務環境、司法保護状況に合わせて営業秘密の管理体制や保護措置を導入するために、ぜひご利用ください。
事業の詳細、申請書は次のリンク先よりご確認いただけます。
採択後から2022年2月18日金曜日まで
1社あたり中国、タイ、ベトナムは17時間
シンガポールは10時間
中国、タイ、ベトナム、シンガポールの4カ国で計40件程度
無料
ジェトロ知的財産課
中国担当:赤澤、藤本
タイ、ベトナム、シンガポール担当:古賀、峯
Mail:CHIZAI@jetro.go.jp
Tel:03-3582-5198
INPITでは、過年度のセミナーで知財戦略アドバイザーが使用した資料を公開しています。営業秘密保護・活用のポイント、権利化/秘匿化などの基本事項やおさえていただきたい事柄について説明しています。
この度、一部内容を見直し、最新版を公開いたしました。
「秘密情報を守り活かすために 営業秘密管理の導入に向けて」
詳細は営業秘密・知財戦略相談窓口よりご確認ください。
経済産業省では、平成30年9月より産業競争力強化法に基づく技術等の情報の管理について国の認定を受けた機関による認証を受けられる制度を運用しております。
今般、事業者に対する情報管理のアドバイス・講師派遣や本認証制度の説明や申請支援、情報管理体制の監査の支援業務等を無償で支援する専門家派遣の公募を8月5日木曜日より実施しています。
不正競争防止法テキストの最新版は次のリンク先からご覧いただけます。
また、不正競争防止法について説明会をしてほしいなどのご要望がございましたら、知的財産政策室までご連絡をお願いします。
知財室員がご説明に伺います。
不正競争防止法の講義等において、不正競争防止法の概要をはじめ、秘密情報の保護ハンドブックや同ハンドブックのてびきの紹介・説明をさせていただいております。
これらの資料は、経済産業省ホームページからダウンロード可能です。
また、ご希望の方には、冊子をお届けすることも可能でございます。
次のリンク先をご確認いただき、社内研修等での活用をご検討いただけますと幸いです。
平成30年改正によって、不正競争防止法に限定提供データに関する規定が創設されました。企業が保有・活用する「情報」の保護を、営業秘密と相互補完的に守る不競法上の枠組みです。
知財室では、データ利活用に関する資料についてもホームページにて公表しております。
データ利活用の留意点を網羅的に説明した詳細版
データ利活用のQ&Aや企業の成功事例を載せた冊子になります。
データ利活用のエッセンスをまとめた概要版
データ利活用に取り組み始めたい方向けの冊子になります。
データ利活用のポイント集を基に企業のデータ利活用の事例を詳細に記載した事例集になります。
データ利活用を始めたいが何から始めて良いかわからない、データ利活用においてどのような点に気をつければ良いか等の疑問をお持ちの方は是非ご覧ください。
INPITが運営する「知財ポータル」にて、「取引先から我が社のノウハウの提供を求められている。どうしたらよい。」といった、営業秘密管理におけるよくある質問を一問一答形式のFAQとしてとりまとめています。
詳しくは知財総合支援窓口 知財ポータルの営業秘密・知財戦略よりご覧ください。
知的財産戦略アドバイザーが企業の実情に合わせた秘密情報の管理体制(例えば、書類・記録媒体の管理方法、電子データの管理等)の整備をご支援いたします。
地方自治体や中小企業支援機関が主催するセミナー・講演会、中小企業における社内研修等への講師派遣も無料で実施しており、ご好評いただいております。是非ご活用ください。
登壇予定のセミナーは次のリンク先でお知らせしております。
お問い合わせは、次をご参照ください。
E-mail:trade-secret@inpit.go.jp
今年も余すところ、あとひと月半。この時期いつも感じることながら、日ごと短くなる日照時間で深まる秋と残り少ないこの1年を実感します。
ここIPAのオフィスからも、目の前に広がる六義園の紅葉が見事になりつつあるのが見て取れます。コロナ禍の影響で長く立ち入ることができませんでしたので、今年はより一層、紅葉の楽しみが増した感じです。
暑かった頃、一時はどうなることかと思われたコロナ感染第5波も今は一段落し、世の中は少し一息ついている様相です。お出かけの頻度が増えたという方々も多いのではないでしょうか。目に見えない脅威であるコロナウイルス、これから冬に向けてやつらの再攻勢を防ぐべく、市井のわたしたちとしては油断することなく感染防御策を継続していきましょう。
身の回りにはリアルなウイルス以外にも、様々な電子的なマルウェアが、わんさと私たちの重要情報を狙っています。そちらに対してもコロナ同様、十分に気を引き締めて事業継続していかなければと思う、今日この頃です。
「つぼマガ」第65号をお読みいただき、ありがとうございました。
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