情報セキュリティ

営業秘密のツボ 2022年7月20日 第73号

公開日:2022年7月20日

営業秘密の管理や保護に関する様々な情報をお届けして参ります。

巻頭メッセージ

経済産業省 知的財産政策室長 猪俣 明彦

この度、7月1日付で渡邊の後任として知的財産政策室に着任しました猪俣でございます。

これからどうぞよろしくお願いいたします。去る6月20日、皆様のご協力のもと、第8回目の「営業秘密官民フォーラム」を開催することができました。私はwebから傍聴させていただきましたが、今回のフォーラムでは、経済産業省知的財産政策室からは、営業秘密の保護・活用に関する最新の動きを説明いたしました。また、IPA、INPIT及びJETROからは、サイバーセキュリティ動向と内部不正防止対策、営業秘密相談窓口の活動状況及び海外における営業秘密漏えい対策支援事業についてご紹介いただきました。

秘密情報の管理をめぐっては、先月成立した経済安全保障推進法の成立のほか、コロナ感染症を契機として急速に普及・定着した在宅勤務、雇用の流動化の進展といった社会情勢の変化を受けて、新たな課題も生じ得ると考えられます。そこで、今回のフォーラム後半では、経済安全保障を巡る最近の動きに関して、内閣官房国家安全保障局からは経済安全保障推進法について、経済産業省貿易経済協力局からは、安全保障貿易管理を巡る最近の動向についてご講演いただきました。

また、経済・社会環境の変化と企業における営業秘密の管理・保護に関して、実際の捜査に携わられている警察庁(生活安全局及び警備局)、公安調査庁や、企業の代理人を務める弁護士知財ネットから、最近の情報漏えい事件から見える課題・手口や、民事・刑事の裁判における立証を意識した平素からの秘密管理といった、大変貴重な情報を共有いただきました。皆様のおかげで、このような有意義な情報交換を行うことができ、改めて感謝申し上げます。

さらに、この営業秘密メールマガジンにつきましても創刊6周年を迎えるこができました。巻頭メッセージや各種情報提供等、関係者の皆様と一緒にこのメルマガを作り上げてくることができ、大変有難く思っております。

営業秘密を含む重要情報の保護・流出対策については、産業競争力の維持・強化や経済安全保障など様々な観点から、引き続き国際的にも関心が高まっており、開催形態がオンライン化しつつありますがリアルなフォーラムである営業秘密官民フォーラムとバーチャルなフォーラムであるこのメールマガジンとを情報交流・発信のための両輪として、皆様との連携強化や有益な情報交換を一層行ってまいりたいと思います。引き続き、皆さまのお力添えをよろしくお願いいたします。

目次

【1】訴訟・判決コラム:弁護士知財ネット

経済安全保障ガバナンスと営業秘密管理:弁護士知財ネット 弁護士 阿久津 匡美

先般の経済安全保障推進法の成立を受け、今後、経済安全保障に関する基本方針が策定されるとともに、同法に基づく支援措置及び規制措置が段階的に施行されます。

同法は全体的に内国民待遇原則などの無差別原則を貫くものですが、他方で、人を通じた技術流出といった営業秘密管理、安全保障貿易管理の場面では、個々人の属性等に応じた対応が必要となり、企業においては、オープンイノベーションにおけるビジョンとバランス感覚のあるガバナンスが求められていると言えます。

そこで、去る6月20日に開催された第8回営業秘密官民フォーラムのポイントを振り返りながら、経済安全保障と営業秘密管理の接点等について考察してみたいと思います。

詳細は、弁護士知財ネット 営業秘密メルマガコラムをご覧ください。

【2】サイバーセキュリティ対策

1.「情報セキュリティ白書2022」7月15日発刊:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

7月15日に「情報セキュリティ白書2022」を発刊しました。各種セキュリティ脅威の傾向、手口・対策の解説のほか、内部不正防止対策の動向、個人情報保護法改正のほか、米欧の情報セキュリティ政策について、例年より内容を充実させて掲載しています。

詳細は次をご確認ください。

2.Windows 8.1のサポ-ト終了に伴う注意喚起:独立行政法人情報処理

2023年1月にMicrosoft社が提供しているOSであるWindows8.1のサポートが終了します。一般的に、サポート終了後は新たな脆弱性が発見されても、製品ベンダによる修正が行われません。対象OSを使用しているユーザは、速やかな最新版への移行等の実施が求められます。

詳細は次をご確認ください。

3.ワンクリック請求(ワンクリック詐欺)の手口に引き続き注意:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

IPA安心相談窓口に「ワンクリック請求」の相談が継続して寄せられています。最新動向も踏まえた注意点、対処方法、被害回避のためのアドバイスを解説したウェブページを公開しました。

詳細は次をご確認ください。

【3】セミナー・イベント等のお知らせ

1.経済産業省委託事業「中国、タイ、ベトナムにおける営業秘密漏えい対策セミナー」:独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)

グローバル化により海外に進出する日系企業が増加し、これに伴い技術情報等の漏洩・窃取リスクも増大しています。製造、販売等の拠点を海外に有する場合には、各国における営業秘密の保護に関連する法規や権利行使のプラクティス、商習慣等の相違を考慮したうえで、各拠点で営業秘密を管理する必要があります。
しかしながら、海外拠点での営業秘密管理体制の整備には、手付かずのままとなっている日系企業も少なくありません。
本セミナーでは、海外における営業秘密漏えい対策支援事業(中国、タイ、ベトナム、インドネシア)を紹介するとともに、2021年度に中国、タイ及びベトナムで日系企業に対して現地事業所における管理体制の構築・強化に向けた個別支援を行った3名の専門家から、各国の営業秘密に係る制度等について紹介します。
また、昨年度本事業をご利用いただいた企業からも、自社の海外(現地)での営業秘密漏えい防止対策活動についてご紹介いただきます。

本セミナーの詳細・お申込み方法については、次のリンク先をご参照ください。

  • 中国、タイ、ベトナムにおける営業秘密漏えい対策セミナー
    (本セミナーは終了しました)
開催概要
日時

2022年8月5日金曜日 14時00分~16時25分
(13時30分~Zoom接続可能)

場所

Webセミナー(Zoomライブ配信)

言語

日本語

講師
  • IP FORWARD法律特許事務所 弁護士 本橋 たえ子 氏
  • TMI総合法律事務所 バンコクオフィス 代表弁護士 高祖 大樹 氏
  • 長島・大野・常松法律事務所 弁護士 井上 皓子 氏
主催

経済産業省、ジェトロ

後援

独立行政法人 工業所有権情報・研修館(INPIT)

参加費

無料

定員

400名 注意:定員に達し次第、締切とします。

申込締切

2022年8月1日月曜日 23時59分

お問い合わせ先

ジェトロ知的財産課
内容について:赤澤、藤本、刈屋
出欠について:阿部
Mail:CHIZAI@jetro.go.jp
Tel:03-3582-5198

2.「経済安全保障シンポジウム」を開催しました:公安調査庁 経済安全保障特別調査室

日本経済団体連合会との共催で、6月2日木曜日、経済安全保障シンポジウム「経済安全保障をめぐる課題と対応 技術流出防止に向けて」を開催し、米連邦捜査局(FBI)法務官にも講演いただきました。

当庁では引き続き、技術流出に係る事例や不審なアプローチ等について知見を共有するべく、企業や大学等の皆様からのご相談や講演依頼等を受け付けておりますので、ぜひご連絡ください。

シンポジウムの詳細及びご相談窓口は、次のリンク先から参照可能です。

3.「はじめての「営業秘密管理」」研修動画掲載のお知らせ:独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)

INPITでは、大切な秘密情報を巡るよくあるトラブル事例や、営業秘密として管理する手法についてまとめた研修動画を、当館のeラーニングサイトIPePlatに公開しました。
営業秘密について学びたい、これから営業秘密管理に取組もうという方向けの内容で、無料でご視聴頂けます。
動画は「営業秘密管理」eラーニングコンテンツよりご覧いただけます。

【4】営業秘密関連情報のご紹介

1.「知的財産推進計画2022」の決定:内閣府 知的財産戦略推進事務局

知的財産戦略本部において、政府における知財戦略や知財施策を取りまとめた「知的財産推進計画2022」が決定されました。

「知的財産推進計画2022」では、営業秘密に関する施策についても掲載されています。

詳細は次をご確認ください。

2.「秘密情報の保護ハンドブック」を改訂しました:経済産業省 知的財産政策室

不正競争防止法の講義等において、不正競争防止法の概要とともに紹介・説明させていただいておりました秘密情報の保護ハンドブックについて、改訂版を公表いたしました(令和4年5月)。

関連する法制度・ガイドラインの見直しに伴う修正、営業秘密・情報環境をとりまく「環境の変化」に伴う修正や、「重要な秘密情報の多様性」を考慮した修正などが今回の改訂の中心です。

資料は、経済産業省ホームページからダウンロード可能です。
また、ご希望の方には冊子をお届けするため、準備が整い次第、知財室ホームページからの請求受付も開始予定です。

「秘密情報の保護ハンドブックのてびき」も引き続き掲載しております。
次のリンク先をご確認いただき、ご活用いただけますと幸いです。

3.「限定提供データに関する指針」を改訂しました/データ利活用に関する資料を公表しております:経済産業省 知的財産政策室

平成30年改正によって、企業が保有・活用する「情報」の保護を、営業秘密と相互補完的に守る不競法上の枠組みとして、限定提供データに関する規定が創設されました。従前より、限定提供データの定義や不正競争に該当する要件等について、一つの考え方を示すものとして「限定提供データに関する指針」を公表しておりましたが、この度、規定の創設時からの実務の進展、デジタル化の進展等を踏まえて、指針の改訂を行いました(令和4年5月)。

改訂した「限定提供データに関する指針」は限定提供データに関する指針(PDF)からご覧いただけます。

知財室では、その他のデータ利活用に関する資料についてもホームページにて公表しております。

データ利活用の留意点を網羅的に説明した詳細版
データ利活用のQ&Aや企業の成功事例を載せた冊子です。

データ利活用のエッセンスをまとめた概要版
データ利活用に取り組み始めたい方向けの冊子です。

データ利活用のポイント集を基に企業のデータ利活用の事例を詳細に記載した事例集です。

データ利活用を始めたいが何から始めて良いかわからない、データ利活用においてどのような点に気をつければ良いか等の疑問をお持ちの方は是非ご覧ください。

4.【会社総出でアピールしたら】展示会の落とし穴ショートドラマ&解説動画(5:58):独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)

自社と同業の会社が集まる展示会に社運を賭けるべく、他社とはひと味違う展示と説明を計画した社長。しかしそこには大きな落とし穴があった。多くの人が行きかう展示会における注意点とは。手前味噌ですが今回も面白いです。

・YouTube:【会社総出でアピールしたら】展示会の落とし穴(INPIT公式)
・第1弾:【この話、自分には関係ない本当にそう】トップセールスでのうっかり
・第2弾:【取引先からの思いがけない提案】苦渋の判断生んだ悲劇

も引き続きよろしくお願いいたします。

5.報告書「副業・兼業の促進 働き方改革フェーズ2とエンゲージメント向上を目指して」を公表しております:一般社団法人 日本経済団体連合会

経団連は2021年10月に、報告書「副業・兼業の促進 働き方改革フェーズ2とエンゲージメント向上を目指して」を公表しています。

副業・兼業は、働き手と企業、双方にとって有益な施策であるため、経団連としても推進しています。

副業・兼業の施策を推進する際の留意点は多岐にわたりますが、「機密(秘密)漏洩の防止」も重要です。「機密(秘密)漏洩」の恐れがある場合は、副業・兼業を制限することを就業規則や申請書、誓約書に明記しておくなど、各社はさまざまな工夫を講じています。(本文18ページ参照)

15社の具体的な対応事例(25ページ以降)も掲載しておりますので、ぜひご覧いただければ幸いです。

詳しくは次よりご覧ください。

6.不正競争防止法テキスト2021を公表しております:経済産業省 知的財産政策室

不正競争防止法テキストの最新版は次のリンク先からご覧いただけます。

また、不正競争防止法について説明会をしてほしいなどのご要望がございましたら、知的財産政策室までご連絡をお願いします。
知財室員がご説明に伺います。

7.営業秘密・秘密情報管理、知財戦略のFAQ:独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)

INPITが運営する「知財ポータル」にて、「取引先から我が社のノウハウの提供を求められている。どうしたらよい」といった、営業秘密管理におけるよくある質問を一問一答形式のFAQとしてとりまとめています。

詳しくは知財総合支援窓口 知財ポータルの営業秘密・知財戦略よりご覧ください。

8.「営業秘密・知財戦略相談窓口」をご活用ください:独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)

知的財産戦略アドバイザーが企業の実情に合わせた秘密情報の管理体制(例えば、書類・記録媒体の管理方法、電子データの管理等)の整備をご支援いたします。

地方自治体や中小企業支援機関が主催するセミナー・講演会、中小企業における社内研修等への講師派遣も無料で実施しており、ご好評いただいております。是非ご活用ください。
登壇予定のセミナーは次のリンク先でお知らせしております。

お問い合わせは、次をご参照ください。
E-mail:trade-secret@inpit.go.jp

事務局のつぶやき

今月の知財室

いつもつぼマガをご愛読いただきありがとうございます。
本年4月より、経済産業省知的財産政策室に着任いたしました小泉と申します。

着任前は1年弱の短い期間ではありますが、英国留学に行っておりました。イギリスの国民食といえば、フィッシュアンドチップスかと思いきや、今ではカレーの方が人気が高いようで、現地では色々な本場の料理を楽しむことができました。

まさか、自身がイギリスで食の影響を受けるとは思ってもみませんでしたが、帰国後はオリジナルカレー(スパイスから調合してます)にチャレンジし、家族を実験台にしながら、日々美味しいカレーづくりを目指しています。まだ秘伝のレシピは完成しておりませんが、スパイスの配合はもちろん、私以外誰も知らない秘密情報です。
試行錯誤した内容も、ついつい家族に話したくなってしまいますが、そこはグッと堪え、家族の反応を見ながら改善を続けています。

会社の中で秘密を管理するにあたり、どのように対応すべきか悩むこともあるかと思いますが、そんな際にはぜひ当室が発行しています秘密情報の保護ハンドブックをご活用ください。

「つぼマガ」第73号をお読みいただき、ありがとうございました。

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発行/編集:営業秘密官民フォーラム

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