情報セキュリティ

営業秘密のツボ 2022年3月16日 第69号

公開日:2022年3月16日

営業秘密の管理や保護に関する様々な情報をお届けして参ります。

巻頭メッセージ

一般社団法人 日本知的財産協会
副理事長 淺井俊雄

営業秘密のツボは、2016年の創刊から約6年が経過し、間もなく70号に手が届くまで、毎月欠かさず発行されてきました。営業秘密の管理・活用の「ツボ」(コツ・ポイント)を詰め込む「壺」には、訴訟からサイバーセキュリティーまでさまざまな視点の知見が蓄積され、求めていた情報が過去の営業秘密のツボに掲載されていたことも少なくありません。情報共有の貴重なフォーラムとして、さらに成長していくことを期待しています。

近時、知財・無形資産の投資活用についてコーポレートガバナンスコードが改訂され、また、法制化が進む経済安全保障への関心も高まっています。企業が保有する情報は、中核の経営資源として、また、安全保障上の保全対象として、その保護と活用への新たな意識が芽生えつつあります。他方、情報の流出・漏洩は、依然として人を介したものが多く、実効性のある管理には、現場の実情を反映した対策が必要です。他社の対応からも学びつつ、これまでの取り組みの中に、新しい視点を取り入れていくことが必要です。

日本知的財産協会は、1938年に10社による勉強会として発足しました。
会員数は1,300余へと成長しましたが、業種や規模の垣根を越えて互いに学びあう文化は、脈々と受け継がれてきました。“Creating IP Vision for the World”のスローガンの下、世界に向けて知財ビジョンを発信するとともに、28の専門委員会・プロジェクトの研究成果を、機関誌「知財管理」や年間100回を超える研修会を通じて会員に提供しています。不正競争防止法・独占禁止法を担当するフェアトレード委員会は、国内外への政策提言から秘密管理のノウハウの啓蒙まで、営業秘密やデータに関わるさまざまな活動を精力的に展開しています。

日本知的財産協会は、これからも多彩な会員の知見を活かして、企業情報の保護と活用に向けた官民一体の活動に取り組んでまいります。

目次

【1】訴訟・判決コラム:弁護士知財ネット

米国企業等との取引における情報コンタミネーションリスクへの対策:弁護士知財ネット 外国法事務弁護士・米国弁護士 一色 太郎

オープンイノベーションの取り組み等において取引先から秘密情報を受領する機会が増す中、情報コンタミネーションリスクが高まっている。

他社技術等の外部秘密情報が自社情報に混入した状態を指す情報コンタミネーションが発生すると、自社開発等において使用可能な情報の特定が困難となり、他社営業秘密の不正使用リスクが高まる。本稿では、米国法の観点から、取引先の秘密情報受領に伴う情報コンタミリスクとその対策について解説する。

詳細は、弁護士知財ネット 営業秘密メルマガコラムをご覧ください。

【2】サイバーセキュリティ対策

1.「Emotet(エモテット)」と呼ばれるウイルスへの感染を狙うメールについて【情報更新】:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

2月から3月にかけて、日本国内組織でのEmotetへの感染被害が大幅に拡大しています。具体的な指示が自然な日本語で書かれた新たなEmotetの攻撃メールが確認されています。一層の注意が必要です。

詳細は、Emotet(エモテット)と呼ばれるウイルスへの感染を狙うメールについてよりご確認ください。

2.「情報セキュリティ10大脅威 2022」個人編の解説書を公開:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

去る1月に公開した「情報セキュリティ10大脅威 2022」。その個人編の解説資料が公開されました。各脅威の解説や対策をわかりやすく説明しています。組織を構成する一員としても、これらの脅威にご注意ください。

詳細は次のリンク先よりご確認下さい。

3.ランサムウェア攻撃等の被害事例の紹介「コンピュータウイルス・不正アクセスの届出事例」より:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

2月28日に公開した、2021年下半期(7月‐12月)「コンピュータウイルス・不正アクセスの届出事例」にて、IPAに届出された事例の傾向と被害を紹介しています。身代金を要求するランサムウェア攻撃の他、脆弱性や設定の不備を悪用した不正アクセスなどの事例も掲載していますので他山の石としてください。

詳細は次をご確認ください。

【3】セミナー・イベント等のお知らせ

1.「はじめての「営業秘密管理」」研修動画掲載のお知らせ:独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)

INPITでは、大切な秘密情報を巡るよくあるトラブル事例や、営業秘密として管理する手法についてまとめた研修動画を、当館のeラーニングサイトIPePlatに公開しました。
営業秘密について学びたい、これから営業秘密管理に取組もうという方向けの内容で、無料でご視聴頂けます。
動画は「営業秘密管理」eラーニングコンテンツよりご覧いただけます。

【4】営業秘密関連情報のご紹介

1.報告書「副業・兼業の促進 働き方改革フェーズ2とエンゲージメント向上を目指して」を公表:一般社団法人 日本経済団体連合会

経団連は2021年10月に、報告書「副業・兼業の促進 働き方改革フェーズ2とエンゲージメント向上を目指して」を公表しました。

副業・兼業は、働き手と企業、双方にとって有益な施策であるため、経団連としても推進しています。

副業・兼業の施策を推進する際の留意点は多岐にわたりますが、「機密(秘密)漏洩の防止」も重要です。「機密(秘密)漏洩」の恐れがある場合は、副業・兼業を制限することを就業規則や申請書、誓約書に明記しておくなど、各社はさまざまな工夫を講じています。(本文18ページ参照)

15社の具体的な対応事例(25ページ以降)も掲載しておりますので、ぜひご覧いただければ幸いです。

詳しくは次のリンク先よりご覧ください。

2.不正競争防止法テキスト2021を公表しております:経済産業省 知的財産政策室

不正競争防止法テキストの最新版は次のリンク先からご覧いただけます。

また、不正競争防止法について説明会をしてほしいなどのご要望がございましたら、知的財産政策室までご連絡をお願いします。
知財室員がご説明に伺います。

3.「秘密情報の保護ハンドブック」及び「情報管理も企業力 秘密情報保護ハンドブックのてびき」を配布しています:経済産業省 知的財産政策室

不正競争防止法の講義等において、不正競争防止法の概要をはじめ、秘密情報の保護ハンドブックや同ハンドブックのてびきの紹介・説明をさせていただいております。

これらの資料は、経済産業省ホームページからダウンロード可能です。
また、ご希望の方には、冊子をお届けすることも可能でございます。

次のリンク先をご確認いただき、社内研修等での活用をご検討いただけますと幸いです。

4.データ利活用に関する資料を公表しております:経済産業省 知的財産政策室

平成30年改正によって、不正競争防止法に限定提供データに関する規定が創設されました。企業が保有・活用する「情報」の保護を、営業秘密と相互補完的に守る不競法上の枠組みです。

知財室では、データ利活用に関する資料についてもホームページにて公表しております。

データ利活用の留意点を網羅的に説明した詳細版
データ利活用のQ&Aや企業の成功事例を載せた冊子になります。

データ利活用のエッセンスをまとめた概要版
データ利活用に取り組み始めたい方向けの冊子になります。

データ利活用のポイント集を基に企業のデータ利活用の事例を詳細に記載した事例集になります。

データ利活用を始めたいが何から始めて良いかわからない、データ利活用においてどのような点に気をつければ良いか等の疑問をお持ちの方は是非ご覧ください。

5.営業秘密・秘密情報管理、知財戦略のFAQ:独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)

INPITが運営する「知財ポータル」にて、「取引先から我が社のノウハウの提供を求められている。どうしたらよい。」といった、営業秘密管理におけるよくある質問を一問一答形式のFAQとしてとりまとめています。

詳しくは知財総合支援窓口 知財ポータルの営業秘密・知財戦略よりご覧ください。

6.「営業秘密・知財戦略相談窓口」をご活用ください:独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)

知的財産戦略アドバイザーが企業の実情に合わせた秘密情報の管理体制(例えば、書類・記録媒体の管理方法、電子データの管理等)の整備をご支援いたします。

地方自治体や中小企業支援機関が主催するセミナー・講演会、中小企業における社内研修等への講師派遣も無料で実施しており、ご好評いただいております。是非ご活用ください。
登壇予定のセミナーは次のリンク先でお知らせしております。

お問い合わせは、次をご参照ください。

E-mail:trade-secret@inpit.go.jp

事務局のつぶやき

今月の知財室

いつもつぼマガをご愛読いただきありがとうございます。
経済産業省知的財産政策室の金見でございます。

マフラーがいらない日も増え、やっと春を感じられる季節になってきました。とはいえこの状況下、気軽に外を出歩くこともできずにいるなか、最近、家での新しい楽しみを発見してしまいました。

それは、ベランダでご飯を食べることです。
決して見晴らしが良いわけではないのですが、外の風に当たりながら食事をするだけで、いつもと同じメニューでも美味しく感じられました。(段ボールを敷いて座るだけですが笑)

ベランダで行うキャンプという意味で「ベランピング」という言葉もあるようで、コロナ禍で手軽に楽しめる趣味として人気が高まっているようです。これからの季節にぴったりなベランピング、ぜひお試しを。

暖かい季節になるとぽかぽかとした陽気につられ、気が緩んでミスをなんてこともあるかもしれません。そんな時こそ大切な情報の漏えい、紛失が無いよう十分ご注意いただき、必要に応じて当室資料をご参照いただければ幸いです。

「つぼマガ」第69号をお読みいただき、ありがとうございました。

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お問い合わせ先

発行/編集:営業秘密官民フォーラム

事務局

経済産業省 経済産業政策局 知的財産政策室

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)セキュリティセンター

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ご意見およびご要望は、次のアドレスにメール願います。

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    tradesec-infoアットマークipa.go.jp