情報セキュリティ
公開日:2022年2月16日
営業秘密の管理や保護に関する様々な情報をお届けして参ります。
独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)
イノベーション・知的財産部 部長 橿本英吾
ビジネスを展開するにあたって、自社の経営や技術に関する情報を保護することは極めて重要です。国内では対策を講じている企業であっても、海外拠点では、異なる商習慣や労働市場の流動性、取引先の管理体制の相違等により、重要な情報が思わぬ形で流出・漏えいする危険があります。
いわゆる「営業秘密」の保護に関しては、WTO・TRIPs 協定(知的所有権の貿易関連側面協定)において規定されており、各国ではこれを元に国内法を整備しています。しかし、国によって法律や運用に違いがあり、それに沿った対応が必要となります。
したがって、海外拠点に応じて個別の保護手段を講じる必要がありますが、人的資源や予算の制約から多くの企業にとって容易なことではありません。
ジェトロでは、経済産業省知的財産政策室からの受託事業として、2019年度より営業秘密漏えい対策支援事業を行っており、今年度で3年目となります。本事業では、海外の日系企業の現地法人等に、ジェトロの海外事務所が契約した現地専門家を派遣し、各社のニーズに合わせて営業秘密管理体制の構築や運用の整備を支援し、管理職や従業員向けに研修を実施しています。2019年度に中国を対象国として事業を開始してから、2020年度にはタイ、ベトナム、2021年度には更にシンガポールまで拡大しました。
この他、営業秘密に関する現地法制度および管理体制整備のステップ等をまとめた「中国における営業秘密管理マニュアル」を2019年度に作成しました。2020年度にはタイおよびベトナムのマニュアルをそれぞれ新たに作成しました。いずれのマニュアルも経済産業省知的財産政策室のウェブサイトに掲載されておりますので、無料でご覧いただけます。今年度はシンガポールおよび韓国のマニュアルをそれぞれ作成しており、また営業秘密に関する欧米の法制度調査を行なっております。
海外における営業秘密漏えい対策について、ご相談等がございましたら、ジェトロ知的財産課までお問合せください。
営業秘密をめぐる訴訟において、営業秘密性の要件の中で最も争いになりやすいのは秘密管理性であり、他の2要件、特に有用性について問題となるケースは相対的には少ないといえます。もっとも、営業秘密として技術情報が問題となる事例において、裁判例においては公知情報との関係において、非公知性又は有用性が否定されたものが複数見受けられます。本コラムでは、裁判例を通じて技術情報における非公知性と有用性について検討します。
詳細は、弁護士知財ネット 営業秘密メルマガコラムをご覧ください。
「情報セキュリティ10大脅威 2022」を1月27日に発表しました。組織における脅威の第1位は昨年に続き「ランサムウェアによる被害」でした。
また、「内部不正による情報漏えい」が6位(昨年5位)にランクインしており、この手口が依然として社会の脅威であり、専門家の関心も高いことがうかがえます。
詳細は、情報セキュリティ10大脅威 2022よりご確認ください。
2021年11月から攻撃が再開された「エモテット」に関するIPA宛ての相談が今月2月に入り急増しています。今回の急増はかつて相談や被害の多かった2020年9月~11月に匹敵しており、注意が必要です。
詳細は、Emotetの攻撃活動の急増(2022年2月9日 追記)よりご確認下さい。
実在する国内企業の海外関連企業からOffice365の認証情報の詐取を企図したフィッシングメールが送られてきたという事例がありました。この情報はIPAが運営する「サイバー情報共有イニシアティブ」に提供があったものです。
詳細は次リンク先の13ページをご確認ください。
INPITでは、知財戦略アドバイザーがセミナーや企業支援などで使用しているセミナー資料を公開しています。営業秘密保護・活用のポイント、権利化/秘匿化などの基本事項やおさえていただきたい事柄について説明しています。
・秘密情報を守るために 営業秘密管理の導入に向けて
・はじめての「営業秘密管理」
詳細は営業秘密・知財戦略相談窓口よりご覧ください。
経団連は2021年10月に、報告書「副業・兼業の促進 働き方改革フェーズ2とエンゲージメント向上を目指して」を公表しました。
副業・兼業は、働き手と企業、双方にとって有益な施策であるため、経団連としても推進しています。
副業・兼業の施策を推進する際の留意点は多岐にわたりますが、「機密(秘密)漏洩の防止」も重要です。「機密(秘密)漏洩」の恐れがある場合は、副業・兼業を制限することを就業規則や申請書、誓約書に明記しておくなど、各社はさまざまな工夫を講じています。(本文18ページ参照)
15社の具体的な対応事例(25ページ以降)も掲載しておりますので、ぜひご覧いただければ幸いです。
詳しくは次のリンク先よりご覧ください。
経済産業省では、平成30年9月より産業競争力強化法に基づく技術等の情報の管理について国の認定を受けた機関による認証を受けられる制度を運用しております。
今般、事業者に対する情報管理のアドバイス・講師派遣や本認証制度の説明や申請支援、情報管理体制の監査の支援業務等を無償で支援する専門家派遣の公募を2022年2月28日月曜日まで実施しています。
派遣時期は同年3月11日金曜日までです。
不正競争防止法テキストの最新版は次のリンク先からご覧いただけます。
また、不正競争防止法について説明会をしてほしいなどのご要望がございましたら、知的財産政策室までご連絡をお願いします。
知財室員がご説明に伺います。
不正競争防止法の講義等において、不正競争防止法の概要をはじめ、秘密情報の保護ハンドブックや同ハンドブックのてびきの紹介・説明をさせていただいております。
これらの資料は、経済産業省ホームページからダウンロード可能です。
また、ご希望の方には、冊子をお届けすることも可能でございます。
次のリンク先をご確認いただき、社内研修等での活用をご検討いただけますと幸いです。
平成30年改正によって、不正競争防止法に限定提供データに関する規定が創設されました。企業が保有・活用する「情報」の保護を、営業秘密と相互補完的に守る不競法上の枠組みです。
知財室では、データ利活用に関する資料についてもホームページにて公表しております。
データ利活用の留意点を網羅的に説明した詳細版
データ利活用のQ&Aや企業の成功事例を載せた冊子になります。
データ利活用のエッセンスをまとめた概要版
データ利活用に取り組み始めたい方向けの冊子になります。
データ利活用のポイント集を基に企業のデータ利活用の事例を詳細に記載した事例集になります。
データ利活用を始めたいが何から始めて良いかわからない、データ利活用においてどのような点に気をつければ良いか等の疑問をお持ちの方は是非ご覧ください。
INPITが運営する「知財ポータル」にて、「取引先から我が社のノウハウの提供を求められている。どうしたらよい。」といった、営業秘密管理におけるよくある質問を一問一答形式のFAQとしてとりまとめています。
詳しくは知財総合支援窓口 知財ポータルの営業秘密・知財戦略よりご覧ください。
知的財産戦略アドバイザーが企業の実情に合わせた秘密情報の管理体制(例えば、書類・記録媒体の管理方法、電子データの管理等)の整備をご支援いたします。
地方自治体や中小企業支援機関が主催するセミナー・講演会、中小企業における社内研修等への講師派遣も無料で実施しており、ご好評いただいております。是非ご活用ください。
登壇予定のセミナーは次のリンク先でお知らせしております。
お問い合わせは、次をご参照ください。
E-mail:trade-secret@inpit.go.jp
IPAが毎年発表している「情報セキュリティ10大脅威」。2022年版のランキング(「個人編」「組織編」)が先ごろ発表されたところです。
「組織編」の1位は昨年同様「ランサムウェアによる被害」でしたが、遡ってみると初めてランクインしたのは6年前の2016年版で、当時は7位でした。
以降、ランサムウェアは毎年5位以内にランクインし、今や脅威の常連扱いです。営業秘密に関係深いところでは、「内部不正による情報漏えい」がちょっとだけ順位を上げて5位になっています。
この10大脅威、例年、順位の変動はあっても、ランクインの顔ぶれはそれほど変わりが無いのですが、今年度は7位に「ゼロデイ攻撃」が初登場していて、少しずつ世の中の変化が感じられるところでもあります。ゼロデイ攻撃。いつの間にやら、避けがたく身近に迫りくる脅威ですね。
組織のセキュリティ対策を実践する上で、あれが危険だ、これもやらなきゃいけないんじゃないてな具合で何から手を付けたらいいのか、どこまでやればいいのか、というお悩みはよく耳にしますが、10大脅威のランキングも対策の優先順位を検討される上での参考になるかもしれません。
「つぼマガ」第68号をお読みいただき、ありがとうございました。
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