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国内5社の事例を基に、IoT時代のシステム開発アプローチを解説

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社会基盤センター

「成功事例に学ぶシステムズエンジニアリング」を公開
国内5社の事例を基に、IoT時代のシステム開発アプローチを解説

2018年6月6日更新
2018年3月15日公開
独立行政法人情報処理推進機構
技術本部 ソフトウェア高信頼化センター

概要

 IoT(Internet of Things)システムの設計・開発・運用に携わる開発者を対象にした「成功事例に学ぶシステムズエンジニアリング~IoT時代のシステム開発アプローチ~」(以下、本書)を公開しました。

 独立行政法人情報処理推進機構 ソフトウェア高信頼化センターでは「システムズエンジニアリング」の普及活動(*1)に取り組み、これまでに2冊の啓発書(*2)を公開し、新しいアプローチの周知を推進してきました。本書は、日本国内5社の成功事例を基に、システムズエンジニアリングの問題解決のアプローチを解説したものであり、現場での適用を促進する「入門書」として活用できます。

背景

 システムズエンジニアリングは、欧米を中心とした航空・宇宙分野など、高度な専門性を要する複雑なシステム開発で培われた知見を体系化したものです。

 IoT時代には、様々な機器やシステムが相互接続されます。機器やシステムを形成する構成要素間、他システムとの相互関係が複雑になれば、これまで想定していなかった問題が発生します。そのような状況において複雑なシステム開発を成功させるには、システムが使用される状況や利用者の関心事などを分析し、広い視野に立って目的指向、全体俯瞰を追求することが重要です。システムズエンジニアリングのアプローチが効果を発揮すると期待されています。

本書の特徴

 本書では、日本企業5社の事例を用いて、システムズエンジニアリングの主要な視点やアプローチを解説しています。これらは、昨今の技術動向や社会動向の変化の中で、システムズエンジニアリングの考え方が際立って効果的に活用された事例です。5社の活動から、システムズエンジニアリングのアプローチが「どのような場面で」、「どのような効能を発揮するのか」を具体的に説明しています。

 さらに、問題解決にシステムズエンジニアリングを利用しようとした場合の注意ポイントや、適用に向けてのヒントも提供しています。また、国際規格 ISO/IEC/IEEE 15288:2015(*3)に基づき、重要な用語や概念をわかりやすく説明しています。

本書の構成と掲載事例

 本書は以下のような構成です。

第1章 システムズエンジニアリング概説
システムズエンジニアリングの観点からIoT時代の製品/サービスの開発に関わる課題とその解決アプローチを紹介しています。併せてシステムズエンジニアリングを理解するための重要な用語や概念を解説しています。
第2章 事例でみるシステムズエンジニアリングによる問題解決
5社の事例を基に、システム開発に成功した詳細を紹介しています。

取り組み 概要
地域活性化
イベント向け情報共有基盤の開発
地域活性化を目的として、多様な関係者を巻き込みながら都度ステークホルダのニーズと要求を明確化し、全体を俯瞰しながら段階的に対象システム(SoI:System of Interest)を拡張・改変して価値を高め、継続的な地域活性化活動につなげた。目的指向と全体俯瞰を徹底して超上流プロセスを繰り返し、効果的にシステムを実現した。
電子お薬手帳
システムに適用したセキュリティ設計
医療サービス向上の施策として、「お薬手帳」の電子化を実現した。目的指向と全体俯瞰を通してセキュリティの課題を浮き彫りにして、医療とITという複数の分野にまたがる複雑な問題に対し、抽象化・モデル化を活用した系統的なアプローチでソリューションを創出した。
多様な要求を満足させる
自動車エンジンの開発
内燃機関開発にあたり、センサー、部品、アクチュエータ、ソフトウェア等の個別部品を個別最適に設計するのではなく、これらが統合されるシステムとして捉え、全体最適の観点から機能目標を定義して設計を進めた。個々の部品の物理設計に先行して機能開発することで、設計から検証まで含め、効率的に開発を実現した。
首都圏の高密度鉄道輸送を支える
デジタルATC(Automatic Train Control)の開発
開発当初から全工程の課題を分析し、2世代先まで見通した段階的な開発を行った。早い段階から移行や運用までも視野に入れて課題を見据え、要件や設計に反映した結果、試験時間帯の制約などの課題を克服し、開発を実現した。
Webスキャンシステムの企画開発 成熟しつつある製品であるスキャナーについて、従来と異なる一段上の視点からビジネスシーンを俯瞰し、ビジネス分析およびステークホルダ要求分析を行った。これにより新しい使い方の提案を導き出し、新たなサービス提供に結び付けた。
第3章 システムズエンジニアリングを始めるにあたってのヒント
現場の担当者が実際の業務でシステムズエンジニアリングのアプローチを利用する際、「第一歩」を踏み出すためのヒントを2つの実践ケースに基づいて紹介しています。
第4章 システムズエンジニアリングのライフサイクルプロセスの紹介
システムズエンジニアリングのライフサイクルプロセスに関する最新の国際規格であるISO/IEC/IEEE 15288:2015の概要を紹介し、特に本書の内容と関連性の高い7プロセスと用語集を掲載しています。

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書籍版の購入

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脚注

(*1)システムズエンジニアリングの推進
(*2)「経営者のためのシステムズエンジニアリング導入の薦め」「開発者のためのシステムズエンジニアリング導入の薦め」
(*3) ISO/IEC/IEEE15288:2015 Systems and software engineering -- System life cycle processes

更新履歴

2018年6月6日 ・書籍化に伴い、ダウンロードファイルを差し替えました。(文章表現の修正等)
・書籍版購入のご案内を追記しました。