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ソフトウェア高信頼化

「組込みソフトウェア開発データ白書2017」を発行~416件の実データを基に、製品特性の違いによる生産性・信頼性指標の傾向分析結果を公開~

2017年11月15日更新
2017年11月14日公開
独立行政法人情報処理推進機構
技術本部 ソフトウェア高信頼化センター

概要

 独立行政法人情報処理推進機構 技術本部 ソフトウェア高信頼化センター(以下、IPA/SEC)は2017年11月15日、「組込みソフトウェア開発データ白書2017」を発行しました。同書は、定量データに基づいてソフトウェアを管理することの推進を目的とするものです。同白書に掲載されている組込みソフトウェア開発の指標値となる参考データ/分析結果と自社の開発データを比較することで企業は、プロジェクトの計画や見積り作成の参考とすることができます。

背景・目的

 IPA/SECは「作業計画と進捗(D)」「コスト見込と実績(C)」「品質計画と実績(Q)」改善を図るために、組込みソフトウェア業界に対して定量データの活用推進を働きかけています。

 ソフトウェア開発の黎明期には、「ソフトウェアは見えないもの、動作させなければ分からないもの」、また開発スタイルは組織的ではなく、属人的なものとされてきました。しかし、より大規模化し複合的に相互作用するIoT時代の組込みシステムは、従来の開発スタイルから脱却し、組織的な開発に転換させていく必要があります。それには、「どの工程で」「どのくらいの人/月を要し」「どの程度のバグが発生し」「どのくらいのテスト期間が必要なのか」といった定量的なプロジェクト監視とプロジェクトを適切にコントロールできる組織力が必要です。

 エンタプライズ分野のソフトウェア開発は、顧客のサービス計画に基づいて仕様が決められ顧客からの注文を受けて開発します。顧客からはQCDの可視化を求められるため、定量データに基づくプロジェクトマネジメントが定着しています。しかし、組込み業界では、定量的なプロジェクト管理の導入は手間がかかるだけで、投資対効果が低いと考える経営者も少なくありません。組込みソフトが大規模複雑化し、エンタプライズ系ソフトとの差が少なくなってきている現在、組込みソフトウェア業界に対しても、定量的プロジェクト管理の導入の実態を示す必要があります。
 また、既にデータの定量管理が定着している企業・組織であっても、世の中の定量管理の指標となる具体的な数値(参考指標値)を保有していないという課題がありました。

本書の内容

 上記のような課題を抱えている企業が、定量データ管理に基づくソフトウェア開発の現状を知ることができるようにしたものが、「組込みソフトウェア開発データ白書 2017」です。

 本白書は2015年の初版に続く2冊目になります。2015年版のデータ件数は174件でしたが、「組込みソフトウェア開発データ白書 2017」ではデータ件数が416件に増加しています。2017年版では、前回は十分な分析ができなかった組込みソフトウェアならではのリアルタイム性(時間制約)の強弱による違いや利用環境の違いなど多様な製品ごとの分析を行っています。これにより下記のようなことが明らかになりました。

リアルタイム性の強い製品は生産性が落ちる

 例えば電話など、ある命令に対して瞬時に反応することが求められるリアルタイム性の強い製品と、それ以外の製品では、生産性に違いがあることが明らかになりました。この要因はリアルタイム性の強い製品では全体工数のうち5割が結合・総合テストに費やされているのに対し、リアルタイム性を気にしなくてよい製品の場合は3割強にとどまるということがわかりました。

図1
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屋外など特殊環境などの利用条件が生産性に大きく影響

 屋外など特殊環境での利用が想定される製品とは、たとえば、海上などの過酷な自然環境で、雨風/気温などの変化を受ける製品を指します。分析の結果、こうした製品に組み込まれるソフトウェアは、次のような特性があることがわかりました。 屋外で利用する製品の総合テストに費やされる工数は、屋内で利用するものの総合テストの2倍近くなるというデータが得られました。こうしたデータを基に開発現場は、プロジェクト計画時の見積りに定量的な根拠を示すことができるようになります。
 屋外で使用されるような自然環境の影響を受ける組込みシステムは、生産性が下がる傾向も明らかになりました。その要因は、屋内で利用する製品では、総合テストで検出される問題が極めて少ないが、屋外で利用する製品の場合、実環境で行う総合テストでなければ発見できない問題があることが要因です。これは実環境テスト工程に費やした工数が増加する要因の裏付けとも言えます。

図2
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想定読者

  • 組込みソフトウェア開発のプロジェクトマネージャ
    開発プロジェクト開始時に、開発に必要な予算見積りを算出する際、労力に応じた妥当なコスト算出に役立てられます。

  • 品証部門・PMO層
    プロジェクトを支援する品証部門・PMOの人も「客観的なデータ集」として本書を参照できます。

期待される活用領域

 普及の兆しがある人工知能(AI)において、AIの性能を向上させるためには、AIに与える「知識データベース」を作る必要があり、そのデータにはプロジェクト管理データを分析したデータが不可欠です。こうした分析データは、一般的なデータブローカーからは入手することが困難であり、定量的にデータを蓄積していくことで、近い将来AIへの活用も期待されます。

データ提供ご協力のお願い

 IPA/SECでは定量データに基づいてソフトウェアを管理することをさらに推進していくために、引き続き定量データの収集、分析活動を行ってまいります。上記目的のため、組込みソフトウェアに従事される企業の皆さまからのデータのご提供を引き続きよろしくお願いいたします。

【本件に関するお問い合わせ】
 IPA 技術本部ソフトウェア高信頼化センター
 Tel: 03-5978-7543 E-mail: 電話番号:03-5978-7543までお問い合わせください。

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関連情報

 IPA/SECは、2017年11月15~17日にパシフィコ横浜で開催する「Embedded Technology 2017/IoT Technology 2017」に出展します。展示ブースやIPAセミナーにて、本書籍のご紹介をしておりますので ぜひお立ち寄りください。

出展情報:Embedded Technology 2017/IoT Technology 2017

IPAセミナー【第6部】(11月17日 10:00~10:50):
「メトリクスから見えたIoT時代のソフトウェア開発」~組込みソフトウェア開発データ白書2017のご紹介~

更新履歴

2017年11月15日 ダウンロードファイル及び、書籍版購入のご案内を追加しました。