デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2012年度採択プロジェクト概要(稲葉PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

石黒 浩(大阪大学大学院 基礎工学研究科 システム創成専攻 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    稲葉 翔(東京大学大学院 情報理工学系研究科・知能機械情報学専攻)

  • コクリエータ
    藤澤 哲平(東京大学大学院 情報理工学系研究科・知能機械情報学専攻)

3.採択金額

  • 1,792,000円

4.テーマ名

  • ユーザの生活習慣により成長するキーホルダー型ロボットの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

本提案では、持ち歩き可能な小型ロボットによって収集されたユーザの行動履歴や、パソコンから収集されたインターネットの履歴などのデータを用いて、ロボットがユーザの生活習慣や性格を反映して成長していくシステムを開発する。これは、ユーザの行動によってロボットが成長するという過程を楽しむゲーム性を導入することで、ロボットが成長した結果というユーザ自身の生活習慣の客観的な評価を見せることで自己を省みるきっかけとし、生活習慣の改善や自身の性格の客観視を促すものである。
高齢化の進む現代社会において、健康の管理は生活習慣病の予防や医療費の削減を目的として注目を集めている。このような現状において、健康管理の一環として多くの人が生活習慣の改善に励んでいる。それに合わせてユーザの健康を管理することを目的としたデバイスが数多く開発されており、近年ではセンサから得られるデータを人が見るだけでなくデータとして残し、統計的に活用することでより積極的に管理する試みがなされている。しかし、このようなデータの計測や活用は主に高齢者をターゲットとしたものであり、若年層がターゲットの予防医療を目的としたシステムはほとんどない。たとえ存在しても、計測器やセンサなどの取り付けを必要とする手間が必要とされてきた。
そこで本提案では予防医療をより手軽に行うために、健康データの利用をより簡略化し、持ち歩き可能なロボットを用いて、ロボットのセンサやユーザのPCから得られた情報を分析して、ユーザの生活習慣をフィードバックすることを目的とする。このとき、ユーザに直接データを提示するのではなく、ユーザの生活習慣によってロボットが成長するというエンタテインメント性を導入することで、生活習慣の改善という努力や我慢が伴いやすいタスクをより楽しみやすいものにする。

7.採択理由

知能ロボットや日常活動型ロボットの実用化が期待される中で、有望な提案の一つになる可能性が高い。人間とロボットの関わりにおいて、常に人間と行動を共にし、成長するロボットは、ユーザと深く繋がり、若者から高齢者まで幅広い年齢層に受け入れられる可能性があり、将来性のある提案だと期待される。