デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2011年度採択プロジェクト概要(山中PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

後藤 真孝(産業技術総合研究所 情報技術研究部門 上席研究員 兼 メディアインタラクション研究グループ長)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    山中 勇成(東京電機大学高等学校)

3.採択金額

  • 1,344,000円

4.テーマ名

  • リアルタイムな生放送検索技術の開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

最近、ライブストリーミング配信サービスの需要が上がり、ライブストリーミング配信を用いた様々なビジネスも生まれてきている。しかし、ライブストリーミング配信の抱える問題は「検索性」に問題があり、なかなか目的のコンテンツを見つけ出すのは難しいという問題がある。
現状のライブストリーミング配信では下記のように目的のコンテンツを見つけ出す手段がある。

  • タイトル検索
  • タグ検索
  • 説明文検索
  • 番組表
  • レコメンド(オススメ)機能
  • ランキング

しかし、この方法では下記のような問題があり目的のコンテンツを見つけ出すことができない。

  • 視聴者を主観とした検索ができない
    例えば「かわいい」で検索して、かわいい女の子にたどり着く事など。

これは、リアルタイムで行われる配信のため、話題が変化しやすい。また、訪問者の絶対数がブログや動画などと比べて少なく、一般的な語句での配信の要約ができていない為である。リアルタイムで変化するコンテンツでは、それと同時に番組の内容をテキストとして「要約」することが重要であるが、リアルタイムで要約をするマンパワーも必要になる。

  • 今現在、配信されている内容、話題に対しての検索ができない
    例えば、配信にて爆笑する場面があったので、「爆笑」というタグ付けをしたが、別の人が検索時には爆笑する場面は終わっている。ブログや動画では内容が変わらないため、タグ付けをした人と同じ場面を通過することが出来る。

本提案では、これらの問題点を音声認識技術や、コメント解析などをすることによって解決する。

7.採択理由

近年急速に普及したライブストリーミング動画配信(インターネット生放送)において、同時に放送される多数の番組の中から興味のある番組を検索するシステムの提案である。
リアルタイムに変化する話題に追従しつつ、いかに視聴者のニーズを満たす検索を実現するか、という困難な問題に対する挑戦であり、解決できた場合の有用性とインパクトが大きく、素晴らしい。配信されている動画中の音声を解析して有用な情報を得るアプローチで解決しようとしているが、そこで生じる様々な課題に取り組みつつ、柔軟な発想力で新たなアプローチも検討しながら、是非目的を達成して欲しい。
山中君は、中学3年生のときにライブストリーミング動画配信サイトを実装して開設した優れた実績を持つ高校生であり、そこでの自らの経験に基づいて、自分自身も視聴者として本プロジェクトの成果を利用したいという強い意欲を持っている。
動画中の音声の自動認識は精度を高めるのが難しく、様々な困難も予想される。しかしそれを乗り越えたり、別の手段で実現したりしながら、是非、実用性の高いシステムを実現して欲しい。
若くて柔軟な発想力により、インターネット生放送の現在および未来において、どういう技術が足りなくて、何が求められるようになるのかを常に考察しながら、提案内容だけに限定せずに挑戦し、大きな飛躍を遂げてくれるのが楽しみである。