デジタル人材の育成
後藤 真孝(産業技術総合研究所 情報技術研究部門 メディアインタラクション研究グループ長)
チーフクリエータ
大澤 直哉(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)
コクリエータ
木村 昌樹(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)
コクリエータ
Papon Yongpisanpop(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 研究生)
コクリエータ
高井 雄治(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科)
DTMを用いた音楽創造活動形態の現在の主流は、独創的な個人がすべての楽器パートを作曲・発表し、他者からフィードバックを受ける(場合によってはさらに洗練させる)という形態がメインとなっている。完成度の高い楽曲を創作するにはギター、ベース、ドラムなどのすべての楽器パートに関してある程度高い知識や演奏経験を身につけていなければならず、DTM初心者から中級者の高いハードルとなっている。本提案テーマではこの問題を解決するために、個人のスキルのみでは完成度の高い楽曲を完成させることが難しいというDTM初心者から中級者をターゲットとして、オンライン上の複数人のメンバと協調的に音楽を創作する過程を支援するシステムを開発することを目的とする。
本提案テーマで開発するシステムは、オンラインでのコミュニケーション方法を複数人での共同作曲のために最適化することで、曖昧さが伴いがちな楽曲イメージの伝達におけるチャットなどの従来方法の欠点を克服することを狙いとしている。また、本システムが支援する楽曲創作過程の共有により、これまで不得意であったパートの作曲方法を他者の作曲方法から自然に身に付けるという相互学習の効果も期待している。我々は本システムの開発を通じて、DTM初・中級者の作曲をより手軽なものとするとともに作曲方法の学習機会を広げることで、音楽創造活動の裾野を広げる役割を果たしたいと考えている。
インターネットを介した遠隔共同作曲を支援するシステムを開発し、バンドのようなクリエイティブな音楽創作過程を複数人で共有しながら作曲することを可能にしようという提案である。過去にも既に遠隔共同作曲の試みはいくつかあり、本提案で単にWebアプリケーションとして提供するだけでは第一歩に過ぎず、作曲の過程自体をコンテンツ化して動画共有サイトに自動投稿し、そこでのコメントを作曲過程に反映していくような、開かれた音楽創作環境を是非実現して欲しい。また、作詞や多人数での共同作曲にも取り組んでもらいたい。
大澤君、木村君、Papon君、高井君の四人チームでの提案であり、各自が違う役割で能力を発揮でき、面接での元気さとその意気込みから、かなりの馬力があることが期待される。本提案を成功させるには、小さくまとまらずに、オンライン共同作曲の既成概念を壊すぐらいの勢いを持って、その持てる力をすべて発揮して次々と新しい機能の実装に取り組んでいくことが必要である。実際に公開して未踏期間中にオンラインコミュニティを作っていくぐらいの気概を持って没頭することで、大きな飛躍を遂げてくれるのが楽しみである。