デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(本体):2009年度下期採択プロジェクト概要(日野PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

石黒 浩(大阪大学大学院 基礎工学研究科 システム創成専攻 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    日野 亜希子(京都大学大学院 情報学研究科 博士課程)

  • コクリエータ
    日野 洋一郎(学校ネット株式会社 最高技術責任者)

  • コクリエータ
    大槻 憲弘(フリーランス)

3.未踏プロジェクト管理組織

  • オムロンソフトウェア株式会社

4.採択金額

  • 6,006,000円

5.テーマ名

  • 情報集合としての人を表すCGエージェントの相互作用によるメディア・アート "Dancing Information" の開発

6.関連Webサイト

  • なし

7.申請テーマ概要

本プロジェクトではメディア・アートとして展示することを指向したソフトウェア“Dancing Information”を開発します。

現代を多忙に生きる私たちには大量の情報が押し寄せてきます。情報に押し流され、物事を知り考えるきっかけとなる情報をつかみそれを深めることができず、もどかしく感じることがままあります。その一方で、時に、知っていることさえ忘れていた情報を再発見し、共通するコンテキストで他者から新たな情報を得、人生の知的なよろこびに興奮することもあります。

プロジェクトの根底には“たのしみながら、知り、考える起点を創出することはできないか”、個人の持つ断片情報とその集合にアートを感じ、パーソナル・ナレッジ・マネジメントを研究する提案者の思いがあります。個人が持つ情報を人型に組織化し、他者から作られた同様の情報の集合と踊らせたらどうなるだろうか。展示閲覧者は自身の情報を作品中に真に参加できるメディア・アートにできないだろうか。具体的には、展示閲覧者が持つ視覚的な情報(たとえば写真、本の表紙、動画のサムネイルといった画像、視認性の高いキーワードなど)をブログなどのウェブソースから集め、人型に組織化し、他者から生成された情報の集合とともに舞台上で躍らせます。人型に組織化された情報の集合は刻一刻、一緒に踊る情報や舞台の状況によって、その断片を入れ替えて動的に変化し、展示閲覧者に情報を提示します。

提案プロジェクトでは、公共の場で展示するメディア・アートとしてソフトウェアを開発しますが、プロジェクト終了後も継続的にプログラムを汎化し、ブラウザ越しでの展示、単体のソフトウェアとしての販売も視野に入れ開発を行います。

8.採択理由

本提案は情報をCGエージェント(人型)に投影して、そのエージェントを相互作用させることにより、新たな情報の表現方法を模索しようというものである。情報の新たな表現方法を模索するチャレンジングな提案であり独創性が高い。また、面接において確認した本人の発想の豊かさは、新たなメディアの創造を予見させるに十分なものであった。今後の活躍が期待できる。