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2007年度第I期未踏ソフトウェア創造事業(未踏ユース)  採択概要


 



1.担当PM


  竹内 郁雄



2.採択者氏名


代表者

吉富 基(公立はこだて未来大学大学院 修士課程

共同開発者

逢坂 恭介(公立はこだて未来大学大学院 修士課程


3.プロジェクト管理組織


  株式会社メルコホールディングス



4.採択金額


  3,000,000



5.テーマ名


  ペアリング暗号を利用した暗号文キーワード検索方式(透かし暗号)の開発



6.テーマ概要 (応募時資料を一部分改訂)

近年、ファイル共有ソフトなどの普及により、企業・行政機関などの秘密情報の漏洩が様々なメディアで取り沙汰され、社会問題となっている。仮に情報が漏洩してしまった場合でも、その情報が暗号化されており、第三者にはその内容が理解できないようであれば、秘密情報の漏洩は防ぐことができる。現在使われている暗号のほとんどがRSA暗号であるが、将来これに取って代わるであろうと期待されているのがペアリング暗号である。そこで、我々はそのペアリング暗号を利用し、“暗号文キーワード検索方式 (透かし暗号)”を実装する。
従来の公開鍵暗号では、暗号文を復号化しなければ、平文の内容がわからなかった。しかし、透かし暗号を利用すると、暗号文を復号化することなく、ある特定のキーワードが含まれているかが利用者にだけはわかるのである(言うならば透けて見える)。
具体的な開発手順は以下である。
1.アルゴリズムおよびアプリケーションの設計
  開発用PCにより、ペアリング暗号の基礎部分のコーディングを行う。また、参考文献[2]を参照し、アプリケーションの設計を行う。
2.PC上でのプロトタイプの作成
  1.で作成したペアリング暗号のコードを基にして、アプリケーションのコーディングをC言語によりPC上で行う。また、プロファイリングによるペアリング暗号の高速化を同時に行う。なお、開発にはVisualC++ 6.0を用いる。
3.携帯端末でのテスト
  PC上で作成したソフトウェアを携帯電話用にコーディングし直す作業を行う。まず、BREWエミュレータを用いてPC上での動作確認を行い、動作が十分であれば、実機に転送しテストを行う。
4.報告書作成
  まとめとして、報告書を作成する。




7.採択理由(担当PMからのコメント)

 竹内は不勉強なので,ペアリング暗号方式なるものをこの提案で初めて知ったが,実に興味深い暗号方式だ.この上で透かし暗号を実装すれば,暗号化されているのに,指定されたキーワードでの検索が可能になる.これは暗号化データの可用性をかなり増やしてくれそうだ.もっとも,その可用性を実アプリケーションで実証することもこのプロジェクトのミッションであろう.
  当初,対象を携帯電話だけに限ってしまったところが残念だと思っていたが,よく見直したら,なかなか用意周到な計画だということに気がついた.未踏ユースの期間にどこまでのことができるかと,開発のもたらすインパクトがどれくらいかをよく見切っている.
  吉富君はこの新しい暗号方式の実装について世界でも先駆け的な仕事をしており,それをベースにした具体的な提案をしている.暗号化・復号化というと携帯の計算能力には荷の重い処理のはずだが,論理記号を含めたキーワード検索が1秒以内ですむことを目標にしている.実装経験に基づいた予測なので,大丈夫だろう.ただし,当面,即効的なアプリがまだ見えていなさそうな印象なので,ペアリング暗号の実応用面での優位性が期間中にちゃんと示すことに努力してほしい.
  それにしてもこれまでのはこだて未来の学生の提案から見ると珍しく硬派でインパクトのある提案だ.気鋭の先生のバックアップがあるとはいえ,ソフトを実際につくるのは彼らだ.ビジネス指向にもぬかりがない.いろいろな意味で励ましたいプロジェクトだ.




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