現在,様々な日本語の手書き(筆記)情報を扱う環境が提供されている.しかし,入力手段の制約,管理手段の制約,閲覧環境の限定といった種々の機能的限界が,その利便性をスポイルし,普及には至っていない.本提案は「スタイルフリー」と称して,これらの制限を取り払う環境を構築する.
(1) 手書き文字列認識・検索ライブラリ
認識精度が高いだけでなく,縦・横・斜めなど自由な筆記方向や,多言語や多様な記号を併用する日本語独特の記法を念頭に,高水準の手書き認識・検索ライブラリを開発する.また,非商用利用者である研究教育機関に向けて公開する.
(2) 手書きパタン標準化マネジメントシステム
各種デジタルペン・ペーパーデバイス等による筆記内容(手書きパタン)の標準化マネジメントシステム,及びこれのアプリケーションを開発する.様々な記録形式を持つ異種デバイス群への対応機能,スキャナ等を介さず紙面上の印刷済情報と付加的筆記情報をシームレスに取り扱う機能などを特徴とする.
ペンデバイス販売会社及びペン環境利用企業と協業しつつ,実用志向のアプリケーション開発を推し進める.
(3)手書きパタンデータベース
文字だけでなく,図,数式,表なども含む,実社会でよく筆記される手書きパタンの事例を収集し,(1)の性能向上に用いる.また,(1)と同様に非商用公開し,手書きに関連する研究のニーズの喚起,活性化を狙う.
上記のうち(1)と(3)を研究教育機関への働きかけ, (2)を産業界への働きかけと位置づける.そして,我々が両者を結ぶハブとなり,技術交流を活性化し,産学連携によるイノベーションを創出する.最終的には,ライブラリを商用化し,ライセンス事業を展開する.
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