提案者は日本発のプログラミング言語Rubyを高速に実行するための処理系であるYARV: Yet Another RubyVMを開発しており、過去の未踏ソフトウェア創造事業の支援を受けてRubyで記述したプログラムがほぼ動作する完成度を実現した。現在、2007年12月リリースを目指す次期Ruby公式処理系であるRuby 1.9.1に開発した処理系を組み込むことを検討しているが、いくつかの機能、たとえば公式Ruby開発版に新たに組み込まれた機能などが十分に実装できていない。また、実際にプログラム開発を行う際に必要になるいくつかの機能、とくにデバッガやプロファイラのための機能が欠けている。また、すでに10年以上も利用されてきたRuby処理系を説明なく置き換えるのは開発コミュニティに混乱をもたらすため、処理系についての十分なドキュメントが必要である。その他、従来の処理系とくらべ、リフレクション機能などの性能に問題があるため、処理の最適化が必要である。また、実現可能な範囲で高速化の工夫を行う。
まとめると、本提案ではYARVに対して以下の作業を行う。
・Ruby 1.9.1 リリースのための機能整備および追加
・開発支援機能の搭載
・処理系ドキュメントの整備
・YARVの性能の向上
本提案の最終的な目標は、上記開発を行うことにより、現実にRuby 1.9.1として仮想マシンを用いたRuby処理系をリリースすることである。本開発が成功すれば、現在でも大きな人気を持つRubyが、より一層世界に認められるものへと進化する。
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