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2006年度上期未踏ソフトウェア創造事業  天才プログラマー/スー パークリエータ


 




[ 「天才プログラマー/スーパークリエータ」の認定者 ]
[ 「天才プログラマー/スーパークリエータ」の認定基準 ]






 
 

 
「天才プログラマー/スーパークリエータ」の 認定者
 

 


 2006年度上期未踏ソフトウェア創造事業では、下記9名の開発者(敬称略)が優れた開発成果を残し、担当プロジェクト・ マネージャー
(PM)から高い評価を得て、IPAが「天才プログラマー/スーパークリエータ」と認定いたしました。
 これら9名の「天才プログラマー/スーパークリエータ」には、2007年6月28日に開催する「IPAX2007」の会場にて認定証の授与式を行います。

 (注)開発者の所属は認定時点の所属です。

 
(1) 遠藤 拓己 (メディアアーティスト)
 

 
テーマ名
 

 
 Phonethica -Serendipity Enhancer-異言語間の偶然的音声連鎖で世界を探索するシステム

 
北野 宏明PM
の評価
コメント

 

 
 異言語間の音韻の近似性など感覚的に興味を覚える切り口から絶滅危惧言語というテーマを展開し、Phonethicaという独自の世界を創造した。音韻の偶然の一致から異言語を結びつけるPhonethicaの世界は、アートとして興味のある方向性を確立し、文化人類学的にインパクトを持ちうる着想である。このような世界を創造した力はスーパークリエータに値する。 また、WEBに連動し世界中から音韻情報・言語情報を集めるメカニズムを構築しつつあり、これが大きなうねりとなることが期待される。
 

 
開発成果評価書
 

 
 PMによる開発成果の評価


(2) 野村 直之 (メタデータ株式会社代表取締役社長)


テーマ名


 Webベースの医療情報システムの要求開発


黒川 利明PM
の評価
コメント



 「要求」そのものの開発を未踏プロジェクトとして応募したのは、これが初めてである。ソフトウェア開発での要求開発の重要性を訴えるだけでなく、実践で示そうという着眼点が優れている。また、実社会において大きな課題となっている医療レセプトを取り上げて、魅力的な要求開発を実際に行ったのは、今後の波及効果が大きい。さらに、要求開発環境において、WikiやSNS(Social Network System)など革新的な要素を取り入れただけでなく、「ペア要求開発」及び「アナロジー要求開発」という手法を作り出したのは、期待以上の成果だった。


開発成果評価書


 PMによる開発成果の評価

 
(3) 池長 慶彦 (ソニー株式会社


テーマ名


 実ネットワークに適応するオーバレイマルチキャスト放送基盤


並木 美太郎PM
の評価
コメント



 大学におけるネットワーク研究はP2Pが花盛りである。猫も?子もP2Pの観を呈しているが、どれくらいインパクトのある内容を持っているかは疑問を感じることが少なからずある。その理由は、明確な応用を持った上で各種方式を考察していないこと、それから評価のほとんどは実用に即しているか不明なパラメータとシミュレータで評価しているため、実用上有用かどうかが判断できないのである。 本プロジェクトは、産学の共同で行われた。アルゴリズムの発案、検討、ソフトウェアの実装は学の代表者が行い、評価実験の立案などはベンチャ企業の共同研究者がデータで行った。ソフトウェアの開発目標も企業が要求しているライブ配信となっており明確である。特に1万ノードが参加可能な目標は野心的であり、実用的に魅力的なことから採択した。 ノード管理、データ配送管理など各種アルゴリズムを検討し実装した上で、実際に実ネットワーク上で実験を行い方式の有効性を実証した。また、PlanetLab上で本ソフトウェアを動作させ地球規模の広域ネットワークでも実行できることを示したこと、実ネットワークを模した帯域を制御したクラスタ上で最大10000ノードでの動作を検証した。これらの結果から、実ネットワーク上でも十分な配信性能を持っていることが期待できる。本プロジェクトは、未踏性も高い上実用的な水準に達しており、天才プログラマに相応しいと判断し高く評価する。 池長君は、本プロジェクトにおいて、マルチキャストシステム、大規模実験用ノード群制御システム、可視化ツール・機能などのすべての実装、セグメント転送スケジューリングアルゴリズムの検討・実装・試験、隣接ノード数調整アルゴリズムの検討・実装・試験を行った。大学の利点である、モデル化およびアルゴリズムの発案・実装を担当し、その能力を十二分に発揮したと考える。


開発成果評価書


 PMによる開発成果の評価

 
(4) 首藤 一幸 (ウタゴエ株式会社 取締役 最高技術責任者)


テーマ名


 実ネットワークに適応するオーバレイマルチキャスト放送基盤


並木 美太郎PM
の評価
コメント



 主な理由は、代表者の池長君と同じである。 本プロジェクトは、二人のうちどちらかが欠けても達成できなかったであろう。首藤君は方式の策定、実験の立案、ノード群制御システムの設計、PCクラスタ利用の立案、PlanetLab利用の立案・準備、実地試験の立案・機会の提供を行った。大学の池長君では実現不可能な部分を補完した。特に、企業の環境を有効に活用し、各種パラメータの設定などについて実用的側面を考慮できたこと、実ネットワークでの評価は企業ならではの強みである。 本プロジェクトが成功した理由の一つとして、過去の経験や知識をそのまま使うのではなく、反省や再考した上で新しいアイデアを生み出せるよう池長君を導いたことがあげられる。また、各種実験の立案やノード群制御などの担当部分に「首藤節」が垣間見える。今後もさらなる発展と成長を期待したい。


開発成果評価書


 PMによる開発成果の評価

 
(5) 松村 郁生(京都大学大学院 情報学研究科 修士課程2回生)


テーマ名


 End-user Initiated Light-weight Semantic Web Services Platform


FarberPM
の評価
コメント



 The substance of the effort: The project titled "End-user Initiated Light-weight Semantic Web Services Platform" was clearly the best planned and executed project of the 2006 efforts I managed. In fact based on my experience it was one of the best focused and executed projects undertaken by people of that age and experience. The notions that underlie Semantic Webs are very important for industry but are mostly beyond the capability of the average end user. This effort went down a path of flexibility, the Patch Service model which could contribute to the use of Semantic Webs. The substance of the results: The project delivered all that was expected and indeed much more than I expected. The substance of the system design and the implementation of the prototype was at least at a level I would have expected from a considerably more mature group. Clearly the group worked well together and was lead by Matsumura in a very professional manner. The excellence of the exposition: Matsumura did a spectacular job of presenting the work and answered with clarity and maturity questions raised. He was aware of the limitations of what they had done to date and understood what was needed to advance this effort into the commercial product arena. He was clearly a person who one would expect to become a major player in the Japanese IT industry given proper guidance and help. I believe that designating Matsumura as one of the 2006 super-creators is not only well deserved but will be a major help in advancing his future. I would be happy to help his future in any way I can. He deserved it.


開発成果評価書


 PMによる開発成果の評価

 
(6) 角 康之 (京都大学大学院 情報学研究科 准教授)


テーマ名


 互いの視点に「書き込む」ことによる体験共有支援システムの開発


河野 恭之PM
の評価
コメント



 開発成果は「撮影された写真に書き込みをする」という極めてシンプルなインタフェースとして実現されており、よく考えて本質的な機能に絞り込んで作り込まれた体験記録・知識共有環境であることが使用すればするほど認識させられ、ほぼ完成の域にある。本開発成果の秀逸さは実装するべき機能の取捨選択を含むインタフェースデザインに寄っており、本質的な機能を見極め、開発を主導した代表者をスーパークリエータと評価する。


開発成果評価書


 PMによる開発成果の評価

 
(7) 伊藤 冬子 (同志社大学大学院 工学研究科知識工学専攻 博士後期課程1年)


テーマ名


 ふんいきロギング −あの日あの時あの感じ−


河野 恭之PM
の評価
コメント



 本開発成果はWebページをブックマークする、ビデオクリップを入手または撮影するといったユーザの日常的な記録行為の中で、その行為に至る文脈を記録情報にアノテーションする機能をWebベースの種々のサービスに付加できるものであり、ユーザは記録行為時点での記録者の状態(感情・モチベーションなど)を再体験・追体験するための枠組となっている。 当初は全サービスを自前で提供するという目標であったが、flickrやYouTube など既存のWebベースサービスのラッパーとして実装することで、これらの既存サービスが持つ膨大なコンテンツとタグ情報と共に、本開発成果の機能であるより主観的なアノテーション情報をユーザは利用できる。 試行錯誤を繰り返した末に、効率的に目標達成に至るラッパー形式の実装を見いだし、その後驚異的な「追い上げ」を見せて提案時の目標のほとんどを達成してしまった。開発成果の適用範囲も広範囲であり,普及可能性も提案時より向上している。必要な機能の取捨選択の適切さ、本質的な機能を見極めてからの粘りに感服すると共に、スライドやポスターのデザインやキャッチコピーを創り出すセンスも評価したい。


開発成果評価書


 PMによる開発成果の評価

 
(8) 天白 進也 (同志社大学大学院 工学研究科知識工学専攻)


テーマ名


 ふんいきロギング−あの日あの時あの感じ−


河野 恭之PM
の評価
コメント



 本開発成果はWebページをブックマークする、ビデオクリップを入手または撮影するといったユーザの日常的な記録行為の中で、その行為に至る文脈を記録情報にアノテーションする機能をWebベースの種々のサービスに付加できるものであり、ユーザは記録行為時点での記録者の状態(感情・モチベーションなど)を再体験・追体験するための枠組となっている。 当初は全サービスを自前で提供するという目標であったが、flickrやYouTube など既存のWebベースサービスのラッパーとして実装することで、これらの既存サービスが持つ膨大なコンテンツとタグ情報と共に,本開発成果の機能であるより主観的なアノテーション情報をユーザは利用できる。 試行錯誤を繰り返した末に,効率的に目標達成に至るラッパー形式の実装を見いだし、その後驚異的な「追い上げ」を見せて提案時の目標のほとんどを達成してしまった。開発成果の適用範囲も広範囲であり、普及可能性も提案時より向上している。 共同開発者である天白君は,本開発成果の核であるストリームデータへのアノテーションを担当し実現した。他の開発要素についても開発代表者と議論の末に必要な機能を取捨選択し提案システム実現に至った設計・実装力を評価したい。


開発成果評価書


 PMによる開発成果の評価

 
(9) 保呂 毅 (株式会社野村総合研究所 情報技術本部)


テーマ名


 複数カメラを用いたユーザーインターフェースの開発


美馬 義亮PM
の評価
コメント



 本システムは、対象物にセンサーをつけることなく3次元立体の動きを立体的に知ることができるものである。このセンシングのアイデア自体は既知のものであったが、安価な市販のWEBカメラを複数用いて、リアルタイムに動作する立体形状認識システムを、高速化、高機能化を並行して進め、着実にパッケージにまとめた。 また、このパッケージを用いた複数のアプリケーションプログラムを提示し、本システムの有効性を示すことに成功した。社会の中にまだ定着していない新たな概念にもとづくプロジェクトを完了し、今後の飛躍的な可能性を秘めた成果を得たことを持ってスーパークリエータとしたい。


開発成果評価書


 PMによる開発成果の評価

 


 


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「天才プログラマー/スーパークリエータ」の 基本認定基準
 

 


 「天才プログラマー/スーパークリエータ」については、IPAで「新規性(未踏性)」、「開発能力」、「将来の可能性」から基本認定基準を下記のように 定義し、これを基本に各プロジェクトマネジャーに具体的な認定基準を独自の観点から設定して評価いただいています。


    未踏ソフトウェア創造事業に係る「天才プログラマー/スーパークリエータ」の定義について
基準項目 基本認定基準(注) スーパークリエータが生 み出す世界
新規性(未踏性) アイディア、発想力、独創力 学会で発表され学問的な認知が ある。 国際学会発表回数
論文・学会誌掲載回数
開 発 能 力 創造力、企画・設計能力が高 く、
プログラムコーディングが早い。

ソフトウェアのデザイン能力が高い。
設計したデザインを短期間にプログラム

する能力を持つ。

開発ソフトの処理・レスポンス 速度が高い
将来の可能性 末恐ろしさを秘めている。 開発ソフトの有用性が高い。
市場ニーズが高い(使える)ソフトである。
事業化、商品化件数、
オープンソフト(ダウンロード数)

  (注)スーパークリエータの認定は、少なくとも基本認 定基準のいずれか1つ該当している場合とする。


 
 

 
各PMの「天才プログラマー/スーパークリ エータ」認定の評価基準
 

 


 各プロジェクト・マネージャー(PM)における「天才プログラマー/スーパークリエータ」認定の「評価基準」を以下に公開します。

 


1.北野 宏明PMの評価基準


 オリジナルかつ大きな視野での重要事項を独自に開拓でき、その着想を実行できる人間。

 


2.黒川 利明PMの評価基準


 「天才プログラマー/スーパークリエータ」の評価においては、一般の製品/サービスの評価におけると同様に、「驚き」をもたらせることを第一の評価としたい。それは、期待以上の成果であったり、予期しなかった方法による実現であったり、あるいは、他のそれこそ思いがけない側面かもしれない。第二には、期待効果が大きいこと。時間的な制約から、実際の効果測定にまではいたらず、予測部分が多くなることはやむをえないだろう。

 


3.高田 浩和PMの評価基準


 以下の基準に基づいて評価を行った。

  ・実行力:プロジェクトを成し遂げようとする強い意志と情熱を持ち、周囲を巻き込みながらプロジェクトを継続し、遂行していくことができたかどうか

  ・スキル:アイデアを実装し具体的な形にすることのできる、並外れたプログラミング能力と極めて高いスキルを有するかどうか

  ・情報発信能力:開発の過程や成果をわかりやすく他者に示し、アピールすることができたかどうか。賛同者を得るべく、普及にむけての努力を行っているかどうか

  ・成果:期間内に当初の目標を達成し、期待した成果がえられたかどうか

これらの一部またはすべてを高いレベルで満足すると思われるプロジェクトの開発者を「天才プログラマー/スーパークリエータ」として認定する。
 


4.千葉 滋PMの評価基準

 実用性のあるソフトウェアを開発したことや、開発したソフトウェアの品質が優れていることは当然として、さらにプロジェクトマネージャである千葉が過去に認定した者との相対評価で以下の基準のいずれかを満たした開発者を天才プログラマー/スーパークリエータに相当すると推薦する。

- 開発したソフトウェアが、新しいソフトウェアのジャンルを切り開く可能性を秘めている。
- 開発したソフトウェアを普及させるために、優れた企画を適切に立案し、周囲をまきこんで実行にうつせる。
- 開発したソフトウェアの機能あるいは品質、性能が従来のものより圧倒的に優れており、少なくない人々のコンピュータの利用の仕方を変える可能性がある。

 


5.並木 美太郎PMの評価基準


 次の項目のいずれかまたは複数満たす開発者を天才プログラマー/スーパークリエータとして認定する。
(1) 未踏性の高いソフトウェアを開発した
(2) 実用性の高いソフトウェアを開発した
(3) 圧倒的なプログラミング能力を有している
(4) 高い研究能力を有している
(5) プロジェクトの成果により受賞した
(6) 開発にかける情熱が極めて高かった

 


6.David J.FarberPMの評価基準


 Projects were evaluated using a number of criteria from the start of the applications process (a) their relevance to the call for
proposals and overall merit (b) monthly progress reports submitted during the course of the project (c) discussions held during face to face meetings and presentations held at the start and conclusion of the projects, and materials provided at these meetings and during the project (d) final report.

 


7.ウィリアム 齋藤PMの評価基準


 プロジェクトの初期の目標に対する達成率を基準として評価した。提供された文書の水準、プログラムコードの完成度、ユーザインタフェース、プレゼンテーション、変化への対応能力、完成度および有用性を重要視した。さらに、1) 初期設計の問題、抜け穴を発見することができ、2)このような問題に的確に適応し、対応や救済が可能なプロジェクトを大いに評価した。

 


8.大川 恵子PMの評価基準


 ・提案者(提案グループ)の開発力、実行力
 ・ソフトウェアがもたらす学びへの貢献を明確に認識していること
 ・国際的あるいはグローバルな視点


 

 
9.河野 恭之PMの評価基準
 

 
1)目標設定(提案時の目標に対する変更を含む)の独創性と妥当性
2)設定目標に対する開発成果の達成度
3)開発成果の社会的・技術的インパクト
4)開発者が代表者でない場合,上記に対する貢献度

  

 
10.美馬 義亮PMの評価基準
 


 (1) 社会の中にまだ定着していない新たな概念にもとづくプロジェクトを完了し、利用可能なレベルのソフトウェアとして、初期の目標と同等またはそれを十分超えると認められる程度までの成果を達成したこと。

(2) 天才プログラマーはプログラミング能力が他のプログラマーと比較して十分勝っていると考えられる、ということを必要条件とする。

  
 
 

 


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