本提案では Ruby 言語を用いた生物情報学(バイオインフォマティクス)用のライブラリ
BioRuby の開発と高品質化を行なうこととし、先行する海外の既存ライブラリが中心課題としてきたゲノムの配列解析だけでなく、遺伝子発現やバスウェイ解析といったポストゲノム時代に求められる新しいタイプ
のデータ解析に必要な機能の実装を進める。また、ゲノム情報を生かした薬の開発などに
おいて今後重要となる、化学情報学(ケモインフォマティクス)分野との連携を中心に開発を進め、国際的に利用される生物化学情報分野の基盤ライブラリを作成する。
提案者らは、すでに4年間にわたって BioRuby の開発を進めてきた。基本的な機能はすでに実装
済みであり認知度は向上しているものの、ドキュメントの整備不足や開発にあたる人的資
源の不足から十分に普及しているとはいえない。そのため、本提案ではまず英文と和文のドキュメントの整備、信頼性向上のためのユニットテストの採用を行ない、開発費を元に
さらなる機能拡張を行なう。さらに、本提案のなかでも、国際的にみて新規性の高い試みであるケモインフォマティクスとの連携では、最近開発を始めた
ChemRuby プロ ジェクトを進展させるとともに、両者の連携によって生物化学情報学へと対象領域の拡充
を行なう。得られた成果について国際会議等での発表を行なうとともに、オープンソース
ソフトウェアとして安定バージョン 1.0 をリリースすることを目指す。
|