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2004年度第2回未踏ソフトウェア創造事業 成果評価報告書(プロジェクト全体について)



 プロジェクトマネジャー: 加藤 和彦 (筑波大学 電子・情報工学系 教授)



1.プロジェクト全体の概要


 当プロジェクトは,現在および今後の情報社会の基盤となるソフトウェア開発を対象として公募を行った.単独アプリケーションの開発ではなく,今後のアプリケーション開発の基盤となるようなソフトウェア開発を主たるねらいとした.

 全11件の応募があり,上位数件に対してヒヤリングを行い,最終的に4件を採択した.今回で3回目の募集となるが,今までの採択にはない分野の,高い水準のプロジェクトを採択できたことは喜びであった.

 2004年12月23日に福岡朝日ビルにて,伊知地PM,鵜飼PM,中島(秀)PMらと合同で公開キックオフミーティングを開催した.さまざまな分野のソフトウェア開発計画について議論できたことは,開発者にとってもPMにとっても,良い刺激となった.

 2005年5月16日には,つくば国際会議場にて,当プロジェクトメンバーによる中間発表会(非公開)を行った.コメンテータとして,新城靖氏(筑波大学助教授),阿部洋丈氏(科学技術振興機構研究員)の出席を得た. 1人当たり十分な時間をとり,発表と質疑応答をじっくりと行い,専門的に突っ込んだ議論を数多く行った.

 2005年8月19日には,日本薬学会「長井記念館」(東京・渋谷)にて,キックオフミーティングと同じPMのメンバー達と,公開成果発表会を行った.いずれの開発者も,高い達成度を示していたことは喜ばしいことであった.

 今回は,オペレーティングシステム,Webデータベース管理システム,オンラインゲーム等,グループ向け情報共有システムと,これまでの採択にはなかった分野の基盤ソフトウェアの開発を推進に関与でき,いずれも高い水準の開発に達してくれた.研究の観点からも見ても,高い水準を包含しているものが複数有り,今後の日本のソフトウェア開発に明るい希望を見る思いであった.



2.プロジェクト採択時の評価(全体)


 当PMは,募集時の説明において,基盤ソフトウェア開発を中心に募集すること明記した.これまでのソフトウェア開発の実績が十分にあり,限られた時間でのソフトウェア開発を達する見込みが十分にあることを重要な要件とした.新規性と有用性が共にあり,チャレンジングな課題と思われるものを高く評価した.書類審査の後,予想採択件数の2倍程度の候補についてヒヤリングを行い,計画のプレゼンテーションをやって頂き,疑問点について質問させていただいた.そのときに,今後の応募に役立つようなコメントがあれば伝えるようにした.

 高橋氏は,CLI(.NETの技術体系)という新しい技術を利用して,新たなオペレーティングシステムを設計・実現するという意欲的なテーマにチャレンジしようとしており,その志と,準備状況を評価した.

 樋口氏は,既に実用に供しているサーバソフトウェアの作者であり,今回の提案はその経験に基づき,新たなデータモデルに基づいた,実用的なWebデータベースシステムを作ろうとしており,開発を成功できる可能性は大いに高いものと評価した.

 鈴木氏は,メンバーのアクティビティを共有する機能をもつグループウェアを,基盤ソフトウェア(ミドルウェア)として開発していくとする興味深いアプローチであり,同氏のこれまでの開発経験から,成功できる可能性は高いと評価した.

 飯村氏の提案は,大規模マルチプレイヤーオンラインゲームの基盤ソフトウェアを,P2Pに基づく独自の方式で開発しようとするもので,意欲的であり,しかもこれまでの開発経験から,開発を成功する可能性は大いに期待できると評価した.



3.プロジェクト終了時の評価


 今回の開発者はいずれも,プログラミング技術が一流なだけではなく,開発に必要となる,広範で深い知識を有する開発者が多かったことが印象的であった.このような開発者が増えていくことによって,日本のソフトウェア開発の懐はどんどん深くなっていくことが期待できると感じた.

 実用的なソフトウェア開発の観点から,最も高い水準を示したのは樋口氏である.既に実用・商用レベルに達していると思われ,同氏の名前と同氏が開発したソフトウェアが世に広まっていくことを期待する.

 新技術を用いて,新しいオペレーティングシステムを開発するという冒険にチャレンジした高橋氏の勇気,技術,知識は,高く評価できるものである.

 最近注目を集めている大規模マルチプレイヤーオンラインゲームを新しいP2P方式によって開発することを目指した飯村氏は,高水準のオリジナリティとソフトウェア開発力を有している.今後の活躍を期待したい.

 グループユーザ環境で,人間の記憶の拡張を目指した知識情報管理システムをミドルウェアとして開発することを目指した鈴木氏と共同開発者の八木氏のアプローチは斬新であった.実際に利用される基盤ソフトウェアとして育てていって頂きたい.


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