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2004年度第2回未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 



1.担当PM

 

 中島 秀之  (公立はこだて未来大学 学長)



2.採択者氏名


 代表者

 葛上 昌司 (東京大学大学院 工学系研究科機械工学専攻 修士課程)

共同開発者

 人見 琢也 (東京大学 工学部システム創成学科 学生)



3.プロジェクト管理組織


 有限会社情報基盤開発



4.委託金支払額

 

 5,500,000円



5.テーマ名

 

 PUI(Paper User Interface)の開発



6.関連Webサイト


 なし



7.テーマ概要


 印刷された紙の上で行なわれるデータの編集と、GUI (Graphical User Interface) によるデータの編集が等価となるようなPUI (Paper User Interface) を実現することを目指したプロジェクトである。そのために、Microsoft Word で作成した入力用紙を印刷し、それに手書き入力された情報を、一般的なスキャナで取り込み、Word に戻すシステムが開発された。これにより、オンライン文書と印刷物の間を往復するループができ、どちらで編集することも可能となった。さらに、本システムの利便性を増すために紙面上で示された位置の取得機構や、携帯電話のデジタルカメラによる入力が実装された。




8.採択理由


 紙の利便性と電子データの利便性を互いに補完することをめざし,データを印刷した紙に書き込み,そこから再び電子データに戻すという,アイデアの基本的方向は良いと思う.他に類似システムもいくつかある中で,シンプルさと手軽さを前面に押し出した設計と実装を期待している.




9.開発目標


 本システムは以下の3つのサブシステムより構成される。

 

  @入力フォーム作成システム
 ワープロ編集程度の容易さと配置の自由度で、実際にシステムが使われる現場での作成や柔軟な変更を可能とするシステム。


 A読み取りシステム
 スキャナ、カメラによって撮影された電子画像を受けとり入力の判読を行う。画像の補正を行ない、元の紙面情報(テンプレート、既入力データ)に従ってユーザの入力を得ることのできるシステム。
 

 Bデータ管理システム
 @、Aで得られたデータを管理し、紙→電子→紙→電子のサイクルを実現するシステム。PUI テンプレートやデータの保存と検索、バージョン管理、アクセス管理等を行う。

 

 さらに、PM からの要請により、PUI の適用範囲を広げるために以下の目標が(必須ではなく、可能であればという条件で)追加された。

 

 C現在最も普及した光学入力機器である携帯電話のカメラを用いた入力や、より簡易な入力を実現するための紙面の多機能化、高度な管理システムも開発することが目標として追加された。




10.進捗概要


 初期の段階でWord との接続に苦労し、一太郎など国産ソフトの方が支援が受けやすいのではないかと考えて、ジャストシステムとの相談なども行ったが、それも困難であることが判明し、当初の予定通りWord と接続するシステムを開発することとなった。

 
 それ以外の部分の進捗は目標追加部分を含めて順調であった。

 

 PM としては本システムが実現すれば校正に使えるのではないかという考えを持っており、これについても可能であれば実現してほしいと要請していたが、その原型も実装されることとなった。



11.成果


 初期の目標を上回るシステムが完成したと考える。

 

 Word で作成した文書に、スキャナやカメラで読み込むときに必要となるマーカを埋め込むことにより、手書きの記号(チェックや矢印など)の位置を同定し、デジタルデータとして戻すことが可能となる。また、市販の文字認識ソフトと組み合わせることにより文字の入力も可能となっているが、単純な数値データなどの入力を想定しており、本格的な文書の入力はワープロによる。校正に使う場合も同様で、印刷された紙面には削除や挿入などの記号のみを入力しておき、Word 側でその部分に自動ジャンプし、キーボードからの入力作業を可能にしている。手書きメモを文字認識せず、画像として保存・提示することも可能である。

 

 病院のカルテの入力、道路や建物のチェックシートなど現場で作業する人用の簡易入力システムが実現できたと考えている。



12.プロジェクト評価


 当初の目標を上回るものが達成されたことは高く評価できる。Microsoft Wordとの連携に関してはシステムを3回設計しなおすなど、着実に問題解決がなされて来たと評価できる。またPM が追加要請した項目もクリアされた。

 

 システムの各要素は一応稼動状態になったと認めることができるが、各々のサブシステムがバラバラに設計された観が否めない。最終的なシステムのデザイン、特にその全体を統一するデザイン哲学の弱さを若干ながら感じている。

 



13.今後の課題


 是非実用に供して欲しい。たとえば初期の構想にあった病院でのシステムに組み込み、実際の使用を通じ、システムデザインの洗練を行って欲しい。

 

 校正システムとしての利用も有望である。現状は校正記号をそのまま受け入れる形にはなっていないが、この点は是非改善して欲しい。


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