IPA






2004年度第2回未踏ソフトウェア創造事業  採択概要


 



1.担当PM

 

 伊知地 宏



2.採択者氏名


 代表者

 服部 健太 (株式会社システム計画研究所)

共同開発者

 数馬 洋一 (株式会社システム計画研究所)



3.プロジェクト管理組織


 株式会社システム計画研究所



4.採択金額

 

 7,000,000円



5.テーマ名

 

 やさしい仕様記述による通信プログラム自動生成系の開発



6.関連Webサイト


 なし



7.テーマ概要(採択者)

 

 一般的に通信プロトコルの実装は、プログラマが仕様(RFCなど)を理解・解釈し、それに従ってコーディングを行うという比較的退屈な作業である。通信プロトコルは厳密で正しい実装が要求されるが、その仕様は自然言語で記述されており、その曖昧さから時として実装系による差異が生じる。また、コーディングはCのような命令型言語を用いることがほとんどであり、出来上がったプログラムは複雑でわかり難く、バグを埋め込みやすい。最近では、IKE(インターネット鍵交換プロトコル)のような複雑なプロトコルを実装する機会も増えてきているため、これらの問題は今後ますます大きくなっていくと予想される。
 このような背景を踏まえて、本プロジェクトでは通信プロトコルのための直感的でわかりやすい仕様記述言語Preccsを提案し、Preccsによる仕様記述からCプログラムを自動的に生成するツールを開発する。
 通信プロトコルは主に(1)メッセージの形式と(2)メッセージ送受信の手順から構成されており、Preccsによるプロトコルの仕様記述はこれと素直に対応している。Preccsでは、(1)は正規表現を独自に拡張した記法によって記述する。これによって複雑な構造を持ったメッセージでも簡単に記述することができる。また(2)はCCSなどのプロセス代数をヒントにプロトコルの状態遷移や通信シーケンスを簡便に記述できるようにしたものである。
 Preccsを用いて通信プロトコルの仕様を厳密に記述し、プログラムを自動生成することによって、信頼性の高い通信プログラムを短期間で開発することが可能となる。また、Preccsで書かれた仕様(プログラム)は読み易く機能拡張や保守なども容易になる。
 コンパイラの実装にはyacc/lexなどのツールを用いるのが一般的なように、Preccsも通信プロトコルにおける代表的なツールとなることを目指している。



8.採択理由(担当PM)

 通信プログラムを独自の手法で宣言的に仕様を記述し,そこから自動的に実用性の高いプログラムを生成しようという,未踏性もそれなりにあり,実用性もある面白い提案である.実装においてもプロセス代数をベースにするなど,知識と技術力のレベルもかなり高いと感じている.しかし,根幹にかかわる部分ではまだ検討が行われていない所が多々あり,開発期間内で本当に全ての機能が実現できるのか不安に感じる面もあるが,もしちゃんと完成すれば実用性の高いソフトウェアであるので採択と判断する.




  ページトップへ   






  Copyright(c) Information-technology Promotion Agency, Japan. All rights reserved 2004