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2004年度第1回未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 



1.担当PM


 加藤 和彦 (筑波大学 電子・情報工学系 教授)



2.採択者氏名


 代表者

奥村 貴史(旭川医科大学 医学部医学科)

共同開発者

なし



3.プロジェクト管理組織


 三菱マテリアル株式会社



4.委託金支払額


 8,000,000円



5.テーマ名


 エンドホストにおける汎用ネットワーク制御機構の研究開発



6.関連Webサイト


 http://www.netnice.org/mito/



7.テーマ概要


 本ソフトウェア開発は,本開発者が中心となって以前より開発を進めているエンドホスト(ユーザ側計算機)においてネットワークのトラフィック制御を行うシステムソフトウェアNetniceに関するものである.既存のネットワーク・トラフィック制御は,ソースアドレスやポート番号などに基づいてトラフィックを分別・制御する,ルータにおけるトラフィック管理モデルをそのままエンドノードに適用したものだった.本開発者は,「階層的仮想ネットワークインターフェース」という新しいネットワークI/Oの制御モデルを提唱し,ネットワーク分野の専門国際会議,国際論文誌にて論文発表が行われ,研究コミュニティにおいては既に高い評価を得ている.



8.採択理由


 国際会議,国際学術誌に論文が掲載され,また,開発実績もある.十分な新規性,実用性があると考えられる.



9.開発目標


 Netniceは元々,FreeBSD4において開発が行われた.本ソフトウェアを主要なOSに移植すると共に,対応アプリケーションの開発を行い,提案モデルおよびソフトウェアの社会への普及を目指す.




10.進捗概要


 Linuxの移植はKartikey Bhatt(インド在中),Scott Blumburgh(カリフォルニア在中)の協力を得て行った.FreeBSDへの移植は奥村氏自身が行い,FreeBSD5への対応,FreeBSD4.11への対応を行った.NetBSDへの移植は黒木秀和氏,OpenBSDは藤田祥氏がそれぞれ担当した.MacOS Xは開発工数がかさむことから,今回の未踏ソフトウェアプロジェクトの枠組みからは外したが,移植作業そのものは継続しており、2005年春にはリリースを行う予定とのことである.
 Netnice対応アプリケーションとしては,Apache用トラフィック制御モジュールを小山浩之氏と吉田雅徳氏に協力して頂きながら開発を進めた.Firewall Builder用プラグインはPatrick Myers氏,開発者用ライブラリlibnetniceは黒木秀和氏の,それぞれ協力を得て開発を進めた.



11.成果


 エンドホスト上のネットワーク・トラフィック制御ソフトウェアであるNetniceを,多くの有力なUnixプラットフォームに移植した.当初はFreeBSD4上で稼働していたNetniceを,FreeBSD 5および4.11, Linux 2.6.7,NetBSD 1.6.2,OpenBSD 3.5上にて稼働させることに成功した.NetniceがOSカーネル内ソフトウェアであるため,これらの移植作業は相当な手数を要するものであることを申し添える.Netnice対応アプリケーションとして,Apache, Firewall Builder, libnetnice等のモジュールを開発した.




12.プロジェクト評価


 本開発は,自作ソフトウェアの移植と,対応アプリケーション作成に注力したプロジェクトであるが,OSカーネル内ソフトウェアの開発を中心としていることを考えると,限られた開発期間において,予定していたソフトウェア開発をすべて成し遂げたことは高く評価できる.数名の協力開発者の助力を得ているが,このような基盤ソフトウェア開発の場合は,開発者を見つけることは容易ではなく,また,当人による強力なサポートが不可欠である.プロジェクト管理能力に関しても,高い能力をもっているものと考えられる.



13.今後の課題


 一応の移植は終えたものの,実用のためには,アルファテスト,ベータテストを経る必要がある.Apache用トラフィックモジュールの一部の機能は,より一層の拡充の必要がある.
 Netniceは,クリーンなインタフェースをもつネットワーク・トラフィック制御機能を提供する基盤ソフトウェアである.基盤ソフトウェアは,設計と実現が難しいのみならず,使ってもらうこと,普及させることが難しい事はよく知られている.当開発者も,それを良く認識し,関係コミュニティとの連携に努力している.今回の移植によって,普及に向けて一歩前進したことに加え,移植作業自体もまた,関係コミュニティとの輪を広げていく一助となったものと考えられる.実用的な普及までの道筋は簡単ではないと思われるが,少なくともこのような挑戦により興味深い経験が蓄積されると考えられ,ぜひ頑張っていただきたいと思う.


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