
2004年度第1回未踏ソフトウェア創造事業 採択案件評価書


1.担当PM

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石田 亨 (京都大学大学院 情報学研究科 教授)
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2.採択者氏名

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代表者
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高林 哲(独立行政法人産業技術総合研究所)
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共同開発者
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なし
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3.プロジェクト管理組織

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テクノロジーシードインキュベーション株式会社
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5.テーマ名

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世界規模ソースコード検索エンジンの開発
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7.テーマ概要

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近年,
オープンソースのソフトウェア開発が活発化している. オープンソースの開発では, 他のプロジェクトのソースコードを自由に閲覧し,
一定のライセンスに基づいてソースコードの再利用を行うことができる. これにより, 他のプロジェクトのソースコードから技術の習得を行ったり,
自らのプロジェクトにコードを取り入れて再実装を避けるといった開発上の大きな利点が得られる.
しかし, 現状では, 他のプロジェクトのソースコードを参考にしようにも, 必要なコードを探し出すのは容易ではない. 依然として「ローカルのソースコードに対して
grep をかける」といった非効率な手法が取られることが多い. 本プロジェクトは, こうした状況を改善し, インターネット上に存在する莫大なオープンソースの資産を最大限に活用するためのシステム「世界規模ソースコード検索エンジン」を実現する.
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8.採択理由

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インターネット上のソースコードのための検索エンジンの提案されています.
有用性と新規性が非常に明確に提案されています. 高林さんのこれまでの検索ソフト開発の実績を考えると, またソースコードに関する知識を考えると,
大きな期待が持てます. オープンソースの次の発展に繋がる検索ソフトの開発を期待し採択した.
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9.開発目標

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インターネット上に存在するあらゆるオープンソースのソースコードから目的のコードを自由に探し出すための検索エンジンを開発し,
成果をフリーソフトウェアとして公開するとともに, 実際にサービスを運営することによって, オープンソース開発の促進に役立てることを目標とする.
ソースコードに特化した検索エンジンを開発するにあたっては, 大規模にスケールすることは当然として, 関数名などのAPI, コメント,
ライセンス, といった要素を柔軟に扱うこと, プロジェクトの人気などを反映したランキング処理, テキストエディタや統合開発環境などとの連携を重視し,
高度な実用に耐えうるものを目指す.
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10.進捗概要

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このプロジェクトは当初から実用性を第一として計画を立てている.
結果として, 非常に実用的なシステムgonzuiが完成している. 最初の 2か月を調査と設計に費やし, 本格的なコーディングを開始して約1か月後には検索エンジンの骨格部分が動き始めた.
その後は, システムがいつでも動く状態を保ちながら, インクリメンタルな開発が進められた. 11月29日に最初のリリースを行ったときには,
すでに実用的な品質に達しており, その後の継続的なリリースを通じて品質の大幅な改善が行われた. ソースコード検索エンジンとしての基本機能の実装がほぼ完了している.
主要なプログラミング言語の多くに対応(C, C++, Java, Ruby, Python, PHP, Emacs Lisp)している.
2005年 2月 6日にウェブサイトを sourceforge.net に移行した.
さらに, 開発者のメーリングリストを開設し, 共同開発体制ができつつある. また, ソースコードの検索だけでなく, 通常の文書の検索,
いわゆるデスクトップ検索の用途にも使えるようになりつつある.
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12.プロジェクト評価

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ソースコード検索エンジンは「昔からありそうなのに,
今までなぜか存在しなかった」という類いのソフトウェアである. このようなテーマを選んだ時点で, 既に高林氏の着想力と実現力が現れている.
ソースコード検索エンジンのユーザであるソフトウェア開発者の視点から, 必要な機能と特性が検討され, 検索エンジンの設計が行われている.
また, 必要な機能を満たすだけでなく, 使いやすさを意識してきめ細かい配慮を払っている点が評価できる.
思い描いた構想を実際のシステムに落とし込むところがソフトウェア開発の腕の見せどころである. 高林氏は, 当初から実用性に重点を置き,
短期にオープンソース化し, 更改を繰り返し, 開発者グループを徐々に形成していくなど, その手腕と技術力には卓越したものがある.
本プロジェクトが提案された当時, ソースコード検索エンジンというコンセプトは一般に知られていなかった. しかし, 2004年の秋以降,
米国でソースコード検索エンジンの開発が発表されるなど, 活況を呈してきている. 本プロジェクトのサービス運営はまだ始まっていないが,
ソースコード検索エンジンへの注目が高まっていることから, 潜在的な社会的価値は高いものと考えられる.
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