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2004年度第1回未踏ソフトウェア創造事業  採択案件評価書


 



1.担当PM

 中島 秀之 (公立はこだて未来大学 学長)



2.採択者氏名


 代表者

松村 耕平(北陸先端科学技術大学院大学  知識科学研究科)

共同開発者

谷杉 泰苗(公立はこだて未来大学 システム情報科学研究科)



3.プロジェクト管理組織


 株式会社エスイーシー



4.委託金支払額


 4,498,725円



5.テーマ名


 「雰囲気」メタデータ取得のためのユビキタスセンサネットワークの開発



6.関連Webサイト


 



7.テーマ概要


 ユビキタスコンピューティングにおいて、コンピュータシステムが環境を認識するためのセンサーネットワークの重要性はかねてより喧伝されているが、それを実装し実用化したシステムは少ない。しかもほとんどのシステムが人間や物体の位置取得のみを行うことに終始しており、それ以上の提案はあまり見られない。

 

 本プロジェクトでは、「雰囲気メタデータ」という概念に注目した。センサーエージェントの情報通信行動を「おばちゃんモデル」により実装し、その行動を観察することによって雰囲気を知ろうとするものである。

 

 環境コンテキスト取得のためのセンサネットワークアーキテクチャの提案と、シンプルで使いやすいセンサネットワークフレームワークの構築、そのフレームワークを利用したコンテキスト取得と、コンテキスト取得にかかるフレームワークの働きを観察するエージェントを定義する。また、ネットワークセンサ端末を設計・開発し、この上で上記を実証する。



8.採択理由


 本提案はセンサネットワークの構成や,ネットワークからの情報取得をプラグイン方式で実現しようとするものであるが,それに留まらず「雰囲気」メタデータの取得を提案している点を評価した.またセンサネットワークの情報統合に関する面白いアイデアも含んでいる.単なるシステムの実装に留まらず,「雰囲気」を使ったユニークなアプリケーションまで持って行って欲しい.



9.開発目標


 本プロジェクトでは、センサネットワークを用いて環境コンテキストを取得するシステムの新しい仕組みを開発する。具体的になんらかのタスクを実行するシステムというよりは方式の提案である。一般的なセンサネットワークは、コンテキストの抽出を複数のセンサ情報の組み合わせによる直接的な統合を行うのに対して、本プロジェクトにおいてはセンサネットワーク上で自らがセンシングした値に基づいて動作するエージェントを定義し、そのエージェントの動作をメタ視点から観察することによってコンテキストの抽出を行う方式を実装する。使いやすいセンサネットワークアーキテクチャの構築と、それを用いて実際にコンテキストの抽出を試み、提案アプローチの可能性について探ることを目標とする。


 本システムは以下の三層より構成される。

 

  ・ センサーネットワークの物理層
  ・ センサーエージェント層
  ・ エージェント活動の観察(オブサーバ)層

 

 エージェント層とオブザーバ層が本提案の売りであるが、そのためにはベースとして柔軟性のあるセンサーネットワークのアーキテクチャを設計・実装する必要がある。そのためにすべての層を開発することが目標となる。




10.進捗概要


 本テーマは、「雰囲気メタデータ」という大変面白い着想を持ち、その実装として「おばちゃんモデル」を想定するというユニークなものであった。これはセンサーエージェントの情報交換を井戸端会議に見立てたものである。今回採用したテーマのうち、ユニークさ(したがって未踏性)においてはトップに位置するものである。それ故にかなり冒険的要素の強いものでもあった。その冒険性の部分は提案者がPM と同じ組織に属していることから他のテーマよりは密度の濃いアドバイスが可能と判断して採用した。

 

 キックオフミーティングにおいて、提案者の構築しようとしている使いやすいセンサーネットワークに近い構成を持ったシステム(概念は異なるが実装システムとして類似)の存在が指摘され、ある意味では前途多難な出発となった。

 

 研究の下地となるセンサーネットワークの構築およびそこからのデータ抽出システムの構築には成功したが、初期の目的である雰囲気データの抽出の実装は困難であった。一つには良い実例のシナリオを描けなかったことに原因がある。

 

 数回の打ち合わせを行ったが、残念ながらPM にも良い例は思いつけなかった(何かありそうだという直感は今でも持っているのだが)。途中からは開発者たちの目指していたかなりユニークなシステムはあきらめ、とりあえず稼動する多層センサネットワーク(それだけでも斬新である)を構築するよう指示した。




11.成果


 本提案では「雰囲気」を取得するという目標のもとに三層のセンサーネットワークが提案された。

 

  第一層:ベースとなるセンサユニットとして、温度センサとフルカラーLED を搭載したシリアルセンサアクチュエータユニットが設計・実装された。
       またベースセンサユニットをEthernet に接続可能にするユニットが開発された。

 

 第二層:エージェント間通信のためにXML に基づく情報交換プロトコルが定義、実装された。

 

 第三層:残念ながら、第三層は構想のみに留まった。




12.プロジェクト評価


 第三層のメタデータ取得の仕組みが本プロジェクトの要である。しかしこの部分は初期目標を達成できなかった。これは目標が冒険的なためであり、初期よりある程度の確率で予想されていたことであり仕方がないと思う。

 「雰囲気メタデータ」と「おばちゃんモデル」のアイデア自体は面白いものであるし、捨てがたいものである。




13.今後の課題


 アイデア自体は面白いものである。今回の失敗に臆することなく今後も暖め続け、いつか再チャレンジして欲しい。



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