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社会基盤センター

学びのススメ vol.5

学び続けている実践者の方からお話を伺いました。
ご自身の組織や個人としての学びのご参考になれば幸いです。

vol.5 尾澤愛実 氏

1on1ミーティングを用いた組織支援コンサルタント。全日本キャリア教育改善推進協会代表。1on1カンファレンス実行委員長。外部メンターとして1on1ミーティングを実施。社員の特性を活かすお手伝いや組織全体の社員育成支援までを心理療法を学びながら実践している。社員がその人らしい能力を発揮し、人生が豊かになり、互いを尊重しあう優しい社会によりなっていくお手伝いができたらと思い活動中。また1on1ミーティング関連の商品や本など執筆。「現場の「ズレ」を解消するコミュニケーションメソッド」「会話の引き出しを増やす 1on1カード と 使いこなしブック」「1on1ミーティングで悩んだ時に読む本」その他にはコミュニティ活動として1on1カンファレンスの主催や勉強会なども実施している。

vol.5 尾澤愛実氏

Q:学び続けるにはどうしたらいいかと後輩等に言われたら、何が大切だと伝えますか。
自分にとってどんな学び方が合っているのかを探る機会を作ることが大切だと伝えます。世の中は色々な学び方が溢れています。自分に合った学び方を知れば、色々な分野に使えます。学んでいく中でどれがやりやすいか、身につきやすいかを知ることは、自分を知ることにもつながります。

Q:自分にあった学び方を知るために、意識していることはありますか。
私は色々なことに挑戦した後に、ふりかえりを行っています。「学ぼうとした理由」や「想定した目標に対してどれだけ達成できたか」、「学ぶ過程は義務感でしんどかったのか、楽しかったか」など自分の特性にあっていたか、感情的にはどうだったかを分解しています。ふりかえりを繰り返して試行錯誤していくことで少しずつ自分が学びやすい形を探していきます。また、学びに入る前の視点として、自分がやる必要があるのか、それを学ぶことは手段として合っているか、違う方法ではできないか、そうした観点を確かめることもしています。

Q:学ぶことが好きな理由を教えてください。
自分が分からないことを知りたいという好奇心だと思います。最近は仕事柄、人の心理について学ぶことが多くあります。相手の行動や言動の背景にはどんな心理が起きているのか、また自分自身の感情を解明したいという動機が学ぶ気持ちにつながっています。また、学ぶことでその分野を専門とする人と会話するきっかけとなり、交流を通してより深く学ぶことでさらに視野が広がっていくこと自体が楽しいのもあります。

Q:学び方について教えてください。
あくまでも今までの試行錯誤してきた、今の時点で考えている私の学び方です。
(1)人とのつながりの中で学ぶ
色々な方から教わることや色々な考えに触れることが大事だと思っています。そのため、勉強会やコミュニティには積極的に参加しており、業界や視点が違う人がいる場を常に探していますし、自ら企画しています。また専門家の方とのネットワークを作ることも大事にしています。例えば、私は心理学などを学びながら社員向けの面談や組織支援を行っているので、精神科医の先生や臨床心理士の方などとの関わりをもち、アドバイスをいただくなどもしています。私はいろんな活動をする中で常に「○○を解決するためにこんな人と会いたいなぁ」というイメージをストックしておき、チャンスがあったら飛び込むといった形で知り合いを増やしていっています。専門家の方との会話によって新たに学ぶ分野に気づけたときやいただいたアドバイスと自分の知見や経験が融合した時にワクワクします。

(2)インプットとアウトプットを行き来する
学びにおいて、インプットとアウトプットの両方を行うことが重要です。本や勉強会などを通して学びながら仕事などで実践していき、悩んだ時には再度学び、その実践したことを発表や技術同人誌執筆など発信しています。アウトプットすることで色々な意見がもらえ、また視野が広がっていきます。どちらかに長期間偏ってしまうと私の中ではバランスが悪く、意識的にどちらかを重視する期間を作ることもしています。

(3)学びを使えるというところまで落し込む
学んだことをどう活かすかを意識するようにしています。よって実務で悩んだことがきっかけとなって学ぶことが多いです。またすぐに使わない知識を学ぶことはもちろんありますが、自分のなかで頭の中に目次を作る感覚で保存しており、「あの時の知識はここ使えるかな」といった具合に取り出せるように一時保存している感覚でインプットしています。最近ではあらゆるアンテナが自分の中にあるので、比較的いろんなことを学んでも何かしたら結びつくようになってきたなと感じます。

――――ここまでは尾澤さん自身の学びについて聞いてきましたが、組織支援をしている尾澤さんに会社で学びを支援するのはどうしたらいいかという観点でお話しを聞きました。

Q:会社で学びを促すのにどんなアプローチがありますか。
学び方には様々な形があります。その人に学び方が合っているのか、学ぶ対象も含めて考える視点を大事にしています。例えば、量をこなすことで達成欲が満たされ、ゲーム感覚で学べる人もいれば、考える時間をしっかりとって内省して学びたい人もいます。本人が学びたいと思える状態に導くために、まずは学ぶ時間を確保し、どんな目的でどう学んでいくかを一緒に決め、いろんな方法を試しながらふりかえりをしていくことが大切だと思います。 学びは投資だと思います。学んだことが業績に全く繋がらないと学びは会社として推奨されづらいので、学びの費用対効果をちゃんと経営者や上司など関係者に話すということも大事な視点だと考えています。

Q:学ぶ人と学ぶことに興味がない人の違いは何だと思いますか。
学ぶことに興味がない人は、単純に学んで得な体験をしたことがなかったり、受験勉強などを始め学ぶことに苦しんで耐えた経験があり悪いイメージが強かったりなどの理由があると思います。純粋に本当に学びたいことを学ぶ、学んだことが役に立つことや楽しいという経験ができていない人が多いのではないかと思います。 まず会社として学んでほしいなら、異動などによって学んだことを活かせないことといったことをできるだけ防ぎ、学んだことを活かせる場を作るのが大事なのではないかと思います。なぜ学んでほしいのかを明確にして、ゴールを決めます。そして、会社と本人の考えを尊重しながらすり合わせ、実践する場を提供することが大事です。ただし、ゴールが明確だと勉強できるタイプ、実践しながら学んでいくタイプなど、特性は人それぞれです。その特性を把握したうえで学んでもらうことも重要です。まずはちょっとでも学んでよかったと思える体験を増やしていくことがポイントだと思います。

Q:やりたいことを見つけて学べるようにするにはどうしたらいいと思いますか。
「やりたいことが何か」を断言できる人はそもそも少ないと思っています。会社に入るまで無我夢中で答えのある勉強をしてきた人が多い中、じっくり自分と向き合う時間が取れていなかった人も多く、やりたいことが見つかっていない人が多いと思います。 自分と向き合う機会として自分の話を聴いてもらったことがある人が少ないと感じます。 例えば仕事で何度か面談していると、「プライベートでゲームを作っている」「資格に挑戦している」などちょっとしたチャレンジをしているにも関わらず、たいしたことないから人に話してこなかったというケースがあります。そういったチャレンジに興味を持って聴き、その後押しをするだけでももっと学んでみよう、挑戦しようという気持ちが増え、試していくうちにこういうことをやっている自分が好きだなという感覚を見つけていくことができるかなと思います。 人に話を聴いてもらうという体験は自分自身と向き合う体験になります。今の企業にはそういった話を聴いてもらう場が少ないように思えます。業務の進捗報告だけであったり、話す場があるようで話を聴いてあげられてない人がいたりするのも事実です。実際、上司側の人達が話を聴いてもらったという経験がない方が多いので、自分はどのようなことをしたいか考える場を作っていくことから始めるのがいいと考えます。

――――最後に

Q:尾澤さんにとって改めて学びとはなんでしょうか。
学ぶことで人は成長し続けることができると私は思っています。学ぶことでできることは増えていき、可能性が広がっていきます。学ぶことで私は多くの人との関わりを増やしています。そう考える私にとって学ぶことは日々過ごす中でも生きがいに繋がっているのかもしれません。