IPA 情報処理推進機構

ブロックチェーンの特性から理解する社会実装の展望

効率化・コスト削減から高付加価値創出へ

 ブロックチェーンはビジネスにおいて戦略的に重要な技術として選ばれ始めている。ブロックチェーンは中央管理者無しに信頼性の高い記録によって取引を成立させることができる特性を持っており、これによって契約やワークフローの効率化・コスト削減効果が期待できる。そして、普及の段階を経て、例えば競争領域での競合他社間の協調のような新たなデータ共有の形といった高付加価値を創出していく。

1. グローバルにおけるブロックチェーンの潮流

 金融以外の産業でもブロックチェーンはビジネスにおいて戦略的に重要な技術として選ばれ始めている。デロイトトーマツが世界12カ国のシニアエグゼクティブ1,386名を対象に実施した「デロイト グローバルブロックチェーンサーベイ2019 デロイト グローバルブロックチェーンサーベイ2019 」 では、調査対象の半数がブロックチェーンに対して「戦略プライオリティのトップ5に入る」と回答しており、経営戦略上重大であるとの認識は8割を占めた(図1参照)。この調査の回答者は通信や製造の業種からも構成されている(図2参照)。

図1 ブロックチェーンの関連度に対する見解

ブロックチェーンの関連度に対する見解

図2 対象組織の主な業種

対象組織の主な業種

※デロイト トーマツ グループ「デロイト グローバル ブロックチェーンサーベイ2019」より出典

ブロックチェーンは各国政府の取り組みにおいても重要視されている。暗号資産の取引に対して厳しい規制を敷いている米国と中国はブロックチェーンという技術自体へは肯定的な姿勢で、金融以外の分野への導入を進めている。
米国の疾病対策センター(CDC)※1では健康や衛生へのより深い洞察を得るために電子健康記録(EHR)を収集する台帳をブロックチェーン技術によって作成する取り組みがなされている。また、技術的な取り組みに留まらず、バーモント州はブロックチェーンに記録された土地登記記録が法的に有効であると認めるための法整備も同時に進めている。
中国は国家におけるイノベーション戦略の一つとしてブロックチェーンを重要視しており、「第13次五ヶ年計画」にAI、IoT、クラウド、ビッグデータやバイオテクノロジーと同列に「ブロックチェーン」を並べている。

※1 Centers for Disease Control and Prevention Centers for Disease Control and Prevention

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