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人工知能(AI)の導入や活用に必要なAI人材(コラム)

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第三次AIブームの到来により、メディアでは近年、「人工知能」「AI」というキーワードが頻繁に登場しています。新型コロナ対策においても、各国でワクチンの開発や感染のシミュレーションなど様々な分野でAIが活用されています。しかしながら、IPAの調査では、日本の企業におけるAIの利用はわずか4.2%という調査結果が出ています。ここでは、IPAの調査からわかってきたAIの導入状況や課題、AI導入や活用に必要なAI人材についてご説明します。

AI導入が進まない日本

IPAが2019年度に実施した「企業におけるAI利用動向アンケート調査」(AI白書2020掲載、以下「本調査」)では、AIの自社導入に関して、「すでに導入している」が4.2%、「現在実証実験を行っている」が4.8%となっており、併せても1割に達していません(図1)。

図1 企業におけるAIの利用率
図1 企業におけるAIの利用率

出典:「AI白書2020」P292 図3-4-5

この結果をさらに売上高別に分析すると、1000億円以上の企業ではAIを導入している企業は17.2%ですが、100億~1000億円未満の企業では4%強、100億円未満の企業では0%に近い状況であり、規模が小さいほどAIの導入が進んでいないことがわかりました。

改善される状況と依然残る課題

本調査では「AI導入上の課題」についても聞いていますが、前年度の調査結果と比較すると「自社内にAIについての理解が不足している」「導入効果が得られるか不安である」「手軽に利用できるAIのサービスや製品がない」「AIの導入事例が不足している」といった課題を抱える企業が大幅に減少していることがわかります(図2)。AIのサービスや製品の増加、AIに関する情報提供が進むことで、ユーザー企業のAI理解も深まったと推定されます。しかしながら「導入費用が高い」「運用費用が高い」「AI人材が不足している」についてはほぼ変化がなく、コスト及び人材の課題は改善が進んでいない模様です。

図2 AIを導入検討するに当たっての課題
図2 AIを導入検討するに当たっての課題

出典:「AI白書2020」P306 図3-4-21

求められるAI人材

ユーザー企業にAIを導入する場合、AIシステムの開発はAIベンダーに委託することができますが、AI導入のリーダシップを発揮したり、AIによる現場の課題解決を推進することは、社員との信頼関係や現場の熟知が必要となるため、経営者や現場責任者でなければ難しいと考えられます。

本調査でも、不足するAI人材として、「AIを活用した製品・サービスを企画できるAI事業企画」「AIツールでデータ分析を行い、自社の事業に活かせる従業員」「現場の知見と基礎的AI知識を持ち、自社へのAI導入を推進できる従業員」が挙げられています。

図3 ユーザー企業におけるAI人材の不足等
図3 ユーザー企業におけるAI人材の不足等

出典:「AI白書2020」P310 図3-4-27

今後、AIの導入・運用コストが下がり、中小規模の企業でも手が届くようになってきたときにAI導入が進むよう、ユーザー企業内の事業企画や現場の従業員のAI活用意識を高めていくことが重要と考えられます。そのためには、AIを開発できる人材だけでなく、AI導入を推進したり活用したりする人材も「AI人材」として積極的に確保・育成することも必要ではないでしょうか。

(筆者:遠山 真)


■本件に関するお問い合わせ先:
IPA 社会基盤センター 企画部