2020年10月22日
DADCとDAPC、DADCとSICがアーキテクチャの設計に向けて協力していくことを確認しました。
独立行政法人情報処理推進機構 デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)は、国立研究開発法人産業技術総合研究所 デジタルアーキテクチャ推進センター(DAPC)及び、一般社団法人システムイノベーションセンター(SIC)と、Society5.0の実現に向けたアーキテクチャの設計に関して協力していくことを確認しました。
DADCとDAPC、及びDADCとSICは、Society5.0の実現に向けたアーキテクチャの設計を効果的かつ効率的に進めていくため、それぞれ連携していくことを確認しました。DAPCとはデジタル技術開発・実装や国際標準規格の策定、SICとは社会・企業のシステム化に関する知見の活用や人材育成等を目的として、両組織との交流・意見交換を定期的に実施する等により連携し、相乗効果を高めていきます。
Society 5.0の進展に伴い、多様なステークホルダーがリアルタイムかつ複合的に連携し複雑化したシステムが生活や産業の基盤を形成しつつある中、人間中心の社会を実現するためには、ソフトウェアだけでなくハードウェアや制度も含めた社会システムや産業構造全体の最適なアーキテクチャの設計が必要となっています。
このような背景のもと、5月15日に経済産業省の政策実施機関である独立行政法人情報処理推進機構(Information-technology Promotion Agency: IPA)にDADCが設立され、活動を開始しました。
現在、DADCとしては「住民起点MaaS」「スマート安全」「自律移動ロボット」の3つのテーマで取組みを開始しています。具体的には、「住民起点MaaS」ではモビリティ分野と他の分野の円滑な連携により経済的にも社会的にも持続可能な住民起点のエコシステムを実現するための検討、「スマート安全」では従来の規制が求める「人」による安全確認にデジタル技術を活用していく場合に求められる制御・管理システムと新たなガバナンスの在り方の検討、「自律移動ロボット」では異なる目的を持つ大量のロボットが社会の安全安心と利便性を確保した上で同時移動することを可能とするための検討、等を進めています。
また、アーキテクチャ設計を主導できる人材の育成・循環に関しては、理論と実践の両面を重視した取組みとしています。具体的には、関連する研究を展開している国内外の主要大学等(米MIT(Massachusetts Institute of Technology:マサチューセッツ工科大学)、慶應義塾大学、東京大学等)で展開されているSystem Design Managementに関する教育カリキュラムや、INCOSE(International Council on Systems Engineering)等の関連する理論的研究を踏まえつつ、実際の課題解決の場で実践的に人材育成を行える仕組みの構築を目指しています。
こうした活動を開始したDADCが、その活動の幅をさらに広げ、設計するアーキテクチャの質をさらに高めていくために、同様の問題意識とその解決に向けた知見を有するDAPC及びSICと連携することとしました。
DAPCは、社会的課題解決と革新的なイノベーションへの貢献としてデジタル革命を促進する技術の開発・社会実装等への取組みを推進することを目的として2020年4月に国立研究開発法人産業技術総合研究所内に設立されました。現在、アーキテクチャの実装に必要な技術開発や、相互運用性や品質保証等に必要なフォーラム・デジュール標準化に取り組んでいます。
DADCとDAPCは、デジタル技術開発・実装や国際標準規格の策定等の観点で完成度が高く実装可能なアーキテクチャの設計を目指し連携することを確認しました。
具体的には、両センター長(DADC:齊藤裕、DAPC:岸本光弘)を中心とし、現在の取組みや共同で取り組むべき課題を共有するための定期的な会合を設けるとともに、DADC内で検討している3つのテーマに産総研の研究員が参加し、最新のデジタル技術と国際標準化に係る専門的な知見を提供すること等で緊密な連携を図ります。また、DADCにおけるアーキテクチャ設計の結果として必要性が見いだされた技術開発や標準規格の策定等をDAPCが主導して行います。これによりアーキテクチャの社会実装に必要となる研究開発と標準化を併せて進めることが可能となり、完成度が高く実装がより容易なアーキテクチャを設計することが期待できます。
【関連リンク】
国立研究開発法人産業技術総合研究所 デジタルアーキテクチャ推進センター(DAPC)発表(10/19)
「産総研・IPA、アーキテクチャ設計力の強化を目指す - 日本の革新的ビジネス創出と産業競争力強化に向けて連携を推進-」
https://www.aist.go.jp/aist_j/news/au20201019.html
SICは、デジタルトランスフォーメーションの時代で重要な役割を果たす「高度なシステム」を構想・構築・運用していく「システム化」の能力向上を目的として、2019年 1月に産業界・学術界が連携して設立されました。現在、次にあげる3つの取組みを推進しています。
上記3つの事業の柱を推進しつつ、DADCが進める検討との相乗効果を発揮するため、DADCとSICとは、社会・企業のシステム化に関する知見の活用や人材育成等の観点で連携することを確認しました。
具体的にはSICが持つ学術界・産業界のネットワークによりSICが蓄積している様々な知見をDADCにおけるアーキテクチャ設計の議論に活用することで質の高い対話と協創を実現していきます。また、これまでの日本におけるシステムイノベーションの事例研究等を通じて、関連大学や企業等と連携した幅広い人材育成を実施していきます。これらにより、アーキテクチャ設計に係る議論の多様性確保や幅広いネットワークを活用した人材育成が期待できます。
【関連リンク】
SICとIPA・DADCとは、日本のデジタルアーキテクチャデザイン力強化についての相互協力を確認
~デジタルアーキテクチャ設計力の強化に向けたシステムイノベーションの推進に向けて~
https://sysic.org/news/2079.html
以上の内容に基づくDAPCやSICとの連携のほか、今後もこのような連携を様々な主体へと広げることで、設計するアーキテクチャの質を高め、日本の産業界のアーキテクチャ設計力向上に貢献できるよう努めていきます。
IPAデジタルアーキテクチャ・デザインセンター 河野/菊地/福山
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