IPネットワーク上のマルチメディアコミュニケーション・システムの
セキュリティ品質向上のために
最終更新日 2010年11月30日
独立行政法人 情報処理推進機構
セキュリティセンター
SIP(*1)は、マルチメディアデータを端末間でリアルタイムに双方向通信するための通信開始プロトコルとして、コンピュータをはじめ、情報家電や携帯端末などの組込み機器へも使用が広まっています。
SIPを実装したソフトウェアは、これまで多くの脆弱性が発見・公表され、機器ごとに対策が施されてきました。しかし、こうした脆弱性の詳細な情報をとりまとめた資料がなかったことから、新たに開発されるソフトウェアで既に公表されている脆弱性の対策が実装されておらず、脆弱性が「再発」するケースが見受けられます。
このような課題に対応するため、SIPに関する既知の脆弱性を取り上げ、SIP実装時の情報セキュリティ対策の向上を目指して調査を実施しました。
本調査報告書は、一般に公表されているSIPに関する既知の脆弱性情報を収集分析し、詳細な解説書としてまとめました。具体的には、次のような脆弱性の詳細と、開発者向けの実装ガイド、ソフトウェアや機器を利用する運用者や利用者向けの運用ガイドを記載しています。
(1)SIP/SDP(*2)に係る脆弱性
通信メッセージの漏えい、なりすまし、改ざん、パスワード解析など、SIPのプロトコルそのものに関するもの。
(2)RTP(*3)/RTCP(*4)に係る脆弱性
音声、画像などマルチメディアデータの盗聴、なりすましなど、RTPのプロトコルそのものに関するもの。
(3)コーデックに係る脆弱性
音声、ビデオなどの符号化方式そのものに関するもの。
(4)実装不良に係る脆弱性
不正な形式のメッセージに配慮が足りない、識別子が予測されやすいなど、ソフトウェアの実装に関するもの。
(5)管理機能に係る脆弱性
機器の設定方法、ソフトウェアの更新方法、説明書の記載に配慮が足りないなど、機器の管理に関するもの。
(6)ID、構成情報に係る脆弱性
機器の識別情報の一覧が取り出されたり、製品内部の構成情報が漏洩するなど、機器の構成情報に関するもの。
(7)SIP/RTPの暗号化係る脆弱性
TLS(*5)の不適切な利用、SRTP(*6)で用いる共通鍵を交換する場合の問題など、暗号化に関するもの。
本報告書が、コンピュータをはじめ、情報家電や携帯端末などの組込み機器のセキュリティ品質向上に寄与することを期待しています。
| 1. | はじめに |
|---|---|
| 2. | SIP仕様解説 |
| 3. | SIP関連システムの利用形態 |
| 4. | 本報告書記載における前提等 |
| 5. | 脆弱性項目解説 |
| 項目1. | SIPリクエストの偽装から起こる問題 |
|---|---|
| 項目2. | SIPレスポンスの偽装から起こる問題 |
| 項目3. | SIP認証パスワードの解読 |
| 項目4. | SIPメッセージボディの改ざんから起こる問題 |
| 項目5. | 保護されていないトランスポートプロトコルを選択させられる問題 |
| 項目6. | DoS攻撃によるSIPのサービス妨害 |
| 項目7. | その他SIP拡張リクエストの脆弱性 |
| 項目8. | RTPメディアの盗聴から起こる問題 |
|---|---|
| 項目9. | RTPメディアの偽装から起こる問題 |
| 項目10. | RTCPの偽装から起こる問題 |
| 項目11. | コーデックの脆弱性 |
|---|
| 項目12. | 不具合を起こしやすいパケットに対応できない問題 |
|---|---|
| 項目13. | Call-IDを予測しやすい実装の問題 |
| 項目14. | 認証機能の不十分な実装の問題 |
| 項目15. | 送信元IPアドレスを確認しない実装の問題 |
| 項目16. | 不適切なIPアドレスを含むSIPメッセージに関する問題 |
| 項目17. | デバッガ機能へ接続可能な実装の問題 |
| 項目18. | 管理機能に関する問題 |
|---|
| 項目19. | 登録IDと構成情報の収集に関する問題 |
|---|
| 項目20. | SIPにおけるTLSの不適切な利用から起こる問題 |
|---|---|
| 項目21. | SRTPの暗号に用いる共通鍵が盗聴される問題 |
| 項目22. | 暗号化されたSRTPが共通鍵なしで解読される問題 |
(*1)Session Initiation Protocol。セッション開始プロトコル。IP電話、テレビ電話、インスタントメッセージなどで使用されているプロトコル。
(*2)Session Description Protocol。セッション開始の初期化パラメータを記述するプロトコル。
(*3)Real-time Transport Protocol。音声や映像をストリーミング再生するための伝送プロトコル。
(*4)RTP Control Protocol。RTPを利用する際にデータの送受信制御および送信者と受信者の情報を記述するプロトコル。
(*5)Transport Layer Security。TCPまたはUDP上の通信を暗号化するプロトコル。
(*6)Secure Real-time Transport Protocol。音声や動画などのリアルタイム通信で用いられるRTPを暗号化する技術。
この調査には次の方々にもご協力いただきました。
独立行政法人 情報処理推進機構 セキュリティセンター(IPA/ISEC) 大森/甲斐根
TEL:03-5978-7527 FAX:03-5978-7518 E-mail:
| 2010年11月30日 | 改訂第3版を掲載。 |
|---|---|
| 2009年4月23日 | 改訂第2版を掲載。 |
| 2007年12月5日 | 第1版を掲載 |