1999年12月7日
情報処理振興事業協会

コンピュータウイルス被害の届出状況について

1.はじめに

(1)1999年11月ウイルス被害届出状況

 情報処理振興事業協会(略称IPA・石井賢吾理事長)は、'99年11月のコンピュータ ウイルス被害の届出状況をまとめた。

(2)今月の特記事項

(a)2000年ウイルスについて!!

  西暦2000年1月1日に発病するウイルス等、2000年問題の発生が懸念される時期に被害を与えうる、いわゆる「2000年ウイルス」について、国内外で話題になっているので、関連情報をWebページに掲載した。「情報セキュリティ対策と西暦2000年問題」のページと併せて参照して、活用していただきたい。

   (2000年ウイルスについて

   (情報セキュリティ対策と西暦2000年問題

(b)情報セキュリティセミナー総括!!

 全国の通産局と共催で実施していた情報セキュリティセミナーが11月30日の沖縄開催を以て終了した。全国12会場で総受講者数は1,038名であった。昨年並みの受講者数であったが、昨今話題になっている2000年ウイルスや、今年度新たに加えテーマ「セキュリティ評価・認証」に関して、活発な質問が寄せられた。

 また、各会場で回収したアンケートによると、今回初めてセミナーに参加した人が76%であった。各会場の毎の受講者数及び会場の状況を、「情報セキュリティセミナー開催総括」に記述したので参照されたい。


ウイルス被害届出制度について

 コンピュータウイルスの届出制度は、通商産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。

 IPAでは、個別に届出者への対応を行っているが、同時に受理した被害届出等を基に、コンピュータウイルス対策を検討している。また受理した届出は、届出者のプライバシー を侵害することがないように配慮した上で、被害状況の調査及び検討結果を定期的に公表している。

 ○コンピュータウイルス対策基準
  ・通商産業省告示第139号 平成2年4月10日制定
  ・通商産業省告示第429号 平成7年7月 7日改訂
  ・通商産業省告示第535号 平成9年9月24日改訂


2.届出の概要

(1)今までの届出状況
 届出件数は、'90年4月通商産業省が告示した「コンピュータウイルス対策基準」に基づいて、IPAが被害の届出機関に指定されてから受理した届出の件数である。今までの届出件数は11,604件となる。次に示すグラフは、 '97年1月から'99年11月までの被害届出件数の月別推移を表したものである。

 

注記)'90年(4月〜12月)、'91年、'92年、'93年、'94年、'95年、'96年の届出件数はそれぞれ 14件、57件、253件、897件、1127件、668件、755件である。

(2)'99年11月の届出状況

 11月のコンピュータウイルスの被害届出は219件であった。

11月の被害届出の詳細は次の通りである。

(a)今月、届出のあったウイルスは22種類であった。届出件数の多いウイルスは、W32/Skaが67件となっている。(マクロウイルス110件、従来型112件。1件で複数のウイルス感染届出があるため、合計は届出件数の219件に合致しない。)

項番

ウ イ ル ス 名

届出件数

感  染  し  た  機  種

'99/11

IBM機

互換機

NEC98機

互換機

MAC機 FDのみ
XM/Laroux 52
W97M/Class 10
W97M/X97M/P97M/Tristate 10
W97M/Ethan
W97M/Marker
WM/Cap
W97M/Melissa
W97M/Chack
W97M/Opey
10 XM/VCX.A
11 W97M/Groov
12 W97M/Nono
13 W97M/Protected
14 W97M/X97M/Shiver
15 W32/Ska 67
16 W32/PrettyPark 30
17 W32/CIH
18 フォーム
19 W32/ExploreZip
20 アンジェリーナ
21 ベイジン
22 リッパー

注)

 1.ウイルス名欄で、XMはExcelMacro、W97Mは、Word97Macro、 W97M/X97M/P97Mは、Word97Macro/Excel97Macro/PowerPoint97Macro、WMは、WordMacro、W97M/X97Mは、Word97Macro/Excel97Macroの略である。
 2.W32/は、Windows32ビットの環境下で動作するウイルスを示す。
 3.感染した機種欄の印は、●感染有り、−感染無しである。

 11月の届出の中で、検査発見・駆除修復に使われたウイルス対策ソフト及びメーカーを参考に示す。
 

検査発見・駆除修復に使われたウイルス対策ソフト
 ソフト名(50音順)  メーカー名
 F-SECURE(F-PROT)  且R田洋行
 InocuLAN  コンピュータアソシエイツ
 InterScan  トレンドマイクロ
 LANDesk  インテル
 NortonAntiVirus  款マンテック
 ScanMail  トレンドマイクロ
 ServerProtect  トレンドマイクロ
 VirusScan  ネットワークアソシエイツ
 WebShield  ネットワークアソシエイツ
 ウイルスバスター  トレンドマイクロ

(b)届出の感染機種別件数は次のとおりである。一番多い届出は、IBM及びその互換機で、 FDのみの感染及びファイルのみの感染を除く約66%を占めている。

 

機        種

届  出  件  数

'99/11 '99/1〜11 '98合計
 NEC 98機  日電  PC-98シリーズ 14 213 198
 IBM 機

 互換機

 IBM機 10 203 149
 各社 IBM互換機 47 1443 1174
 MAC機  APPLE Macintoshシリーズ 58 201

注)
1.複数機種感染の届出を含む。
2.FDのみの感染及びファイルのみの感染が155件あったが、表からは除外する。
3.各社IBM互換機には、NEC PC-98NXシリーズを含む。

(c)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、 約84%を占めている。

届   出   者

届  出  件  数

'99/11 '99/1〜11 '98合計
 一般法人ユーザ 183 2681 1595
 情 報 産 業 10 191 292
 個 人 ユ ー ザ 14 335 75
 教育・研究機関 12 200 73

(d)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて近畿地方、中部地方の順となっている。

地     域

届  出  件  数
'99/11 '99/1〜11 '98合計
 北海道 地 方 31 21
 東 北 地 方 84 45
 関 東 地 方 161 2320 1366
 中 部 地 方 16 269 204
 近 畿 地 方 27 516 200
 中 国 地 方 94 95
 四 国 地 方 23 33
 九 州 地 方 70 71

(e)被害届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。メールにより感染したケースが大部分を占めており、海外からのメールにより感染したケースを含めると、不明を除いた届出件数の約82%となる。

感  染  経  路

届  出  件  数
'99/11 '99/1〜11 '98合計
 外部からの媒体で感染したケース 26 547 668
 メールにより感染したケース 148 2056 778
 海外からの媒体で感染したケース 21 32
 海外からのメールにより感染したケース 20 234 48
 ネットワークからのダウンロードにより感染したケース 10 179 77
 不 明 15 370 432

(f)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。感染台数の欄0台は、FDのみの感染またはファイルのみの感染を示し、事前の検査により、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。

感  染  台  数

届  出  件  数
'99/11 '99/1〜11 '98合計
  0台 155 1559 416
  1台 47 1243 1000
  2台以上 5台未満 382 373
  5台以上10台未満 116 129
 10台以上20台未満 60 58
 20台以上50台未満 31 39
 50台以上 16 20

特定日発病ウイルスについて

 ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPAに届け出されたウイルスの中で、12月8日〜1月31日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げた。(参考:特定日発病ウイルス[ウイルスカレンダー]
 発病してからではデータを破壊される等修復が困難となるので市販のワクチンソフト等を用いて、発病する前に発見・駆除することを望む。(駆除方法についてはIPAまで)

(1)W97M/Marker(Word97Macro/Marker)

このウイルスは、マイクロソフト社のWord(以下MSword)を介して感染するウイルである。 ウイルスに感染した文書ファイルを開いて閉じるときに、そのMSwordに感染する。そして感染したMSwordで作成、更新した文書ファイルを閉じるときに、文書ファイルに感染する。
感染すると、「ツール」/「オプション」/「全般」タブの「マクロウイルスを自動検出する」のチェックボックスをオフに設定する。
毎月1日に感染したMSwordで文書ファイルを閉じたときに、感染日時等を記載した感染ユーザーリストを作成し、特定のサイトにアップロードしよう とする。

届出年 1997 1998 1999 1997〜1999合計
届出件数 102 102

 

(2)W97M/Opey(Word97Macro/Opey)

 このウイルスは、マイクロソフト社のWord(以下MSword)を介して感染するウイルスである。
 ウイルスに感染した文書ファイルを開くと、そのMSwordに感染し、 さらにMSwordのメニューの「ツール」/「オプション」/ユーザー情報タブの
 名前を   「OPEY.A」
 頭文字を  「LOVE」
 住所を   「CNNHS B'92 PHILIPPINES(CNSC)」
に変更する。
 このウイルスは、日本語版、英語版MSword97/98で感染発病する。ただし、文書ファイルへの感染は、 感染したMSwordで当該文書ファイルを作成、更新したときに英語版でのみ行われる。
 特定日に下記の操作を行うと発病し、Autoexec.batにフィリピンの記念日などに関するメッセージを書き込む。
 ・感染した文書ファイルを開いたとき。
 ・感染したMSwordで次の操作を行ったとき。
   MSwordを起動及び終了したとき。
   文書ファイルを作成、開く、印刷、保存、閉じたとき。
   文書ファイルのページ設定を変更したとき。
 特定日と書き込まれるメッセージは次のとおり。

*12/25または1/1  MERRY CHRISTMAS AND HAPPY NEW YEAR!!!
 2/14    HAPPY VALENTINES DAY!!!
 4/1(除木曜日)  HAPPY LABOR DAY!!!
 6/12      HAPPY INDEPENDENCE DAY!!!
 11/1  HAPPY HALLOWEEN!!!
 11/30    BONIFACIO DAY!!!
*12/30    REZAL DAY!!!
 4月の木、金、土曜日    HOLY WEEK!!!

 

届出年 1997 1998 1999 合計
届出件数

 

(3)WM/MDMA(WordMacro/MDMA)

このウイルスは、マイクロソフト社のWord(以下MSWord)を介して感染するウイ ルスである。 このウイルスに感染したMSWordの文書ファイルを読み込むとそのMSwordに感染する。 その後、感染した MSwordで作成、更新したMSwordの文書ファイルに感染する。 感染したMSwordの文書ファイルを毎月1日に閉じると発病し、Cドライブの下記ファイ ルを消去して レジストリ情報(コンピュータの動作環境が登録されているデータ) が変更される。それによって、 ユーザ補助の設定が変更されたり、ネットワークの利用 ができなくなる場合がある。

 消去されるファイル
  ・C:\shmk(拡張子なし)
  ・C:\Windows\*.hlp 
  ・C:\Windows\System\*.cpl

届出年 1997 1998 1999 合計
届出件数 10

以上

問い合わせ先:
 
IPA(情報処理振興事業協会)セキュリティセンターウイルス対策室
TEL 03-5978-7508 FAX 03-5978-7518 E-mail virus@ipa.go.jp