1999年11月9日
情報処理振興事業協会

コンピュータウイルス被害の届出状況について

1.はじめに

(1)1999年10月ウイルス被害届出状況

 情報処理振興事業協会(略称IPA・石井賢吾理事長)は、'99年10月のコンピュータ ウイルス被害の届出状況をまとめた。

(2)今月の特記事項

(a)「W32/PrettyPark」の被害届出急増!!

  9月に初めて届出のあったW32/PrettyParkの被害が10月の届出で40件(9月届出分は18件)と急増している。W32/PrettyParkは、メール機能を悪用したウイルス で、感染すると、ユーザが気づかないうちにメーラーを起動し、登録されているアドレスに自分自身を添付したメールを出してしまう。 メールにPrettyPark.exeというファイルが添付されている場合は、絶対に実行しないようにすること。
  (「W32/PrettyPark」の詳細情報

(b)IPAのWebページに特設ページ開設!!

 ・情報セキュリティ対策と西暦2000年問題

 西暦2000年問題に便乗して、セキュリティを侵害する行為が多発する可能性があるため、ウイルスや不正アクセス関係のセキュリティ対策情報をIPAのWebページに掲載した。
 西暦2000年問題に関連したセキュリティ対策の情報として、活用していただきたい。

 ・ウイルス対策スクール

 「ウイルスは怖いが、どうすればいいのかわからない。」「用語の意味がよくわからない。」等の悩みを持ったパソコン初心者のために、ウイルスの基礎知識、対策方法等、ウイルスに関連した情報を、分かり易く図解して掲載している。
 インターネット、パソコン等を始めたばかりの初心者が、ウイルスに関する正しい知識を習得するために活用していただければ幸いである。

(c)有名メーカーのサポートセンターを騙った偽メールに注意!!

 有名メーカーのサポートセンターを騙り、悪意のあるプログラムをアップデートプログラムやワクチンソフトのように見せかけて、添付ファイルで送りつけるメールによる被害が海外で発生している。国内で大きな被害は出ていないが、同じ様な手口で悪意のあるプログラムファイルが添付ファイルで送られてくることが十分考えられるので、注意が必要である。
   (サポートセンターを騙った偽メールの詳細情報

(d)友人からの電子メールでも、添付ファイルには要注意!!

 電子メールの機能を悪用したウイルスも急増しているので、対策として、以下の基本的事項について周知徹底されることを希望する。

a)たとえ、友人、知人、職場の同僚から送られてきた電子メールであっても、添付ファイルは、開いたり、実行したりする前に、必ず最新のワクチンソフトでウイルス検査を行うこと。

b)ファイルに感染しないタイプの「W32/Ska(Happy99)」、「W32/ExploreZip」のようなトロイの木馬型ウイルスは、新種の場合は最新のワクチンソフトでも発見できない可能性が高いので、メールの添付ファイルでプログラムファイルを受け取った場合は、相手先に添付ファイルの内容の問い合わせを行う等により、必ずファイルの安全を確認してから実行すること。

(3)ウイルス被害届出制度

 コンピュータウイルスの届出制度は、通商産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。

 IPAでは、個別に届出者への対応を行っているが、同時に受理した被害届出等を基に、コンピュータウイルス対策を検討している。また受理した届出は、届出者のプライバシー を侵害することがないように配慮した上で、被害状況の調査及び検討結果を定期的に公表している。

 ○コンピュータウイルス対策基準
  ・通商産業省告示第139号 平成2年4月10日制定
  ・通商産業省告示第429号 平成7年7月 7日改訂
  ・通商産業省告示第535号 平成9年9月24日改訂

2.届出の概要

(1)今までの届出状況
 届出件数は、'90年4月通商産業省が告示した「コンピュータウイルス対策基準」に基づいて、IPAが被害の届出機関に指定されてから受理した届出の件数である。今までの届出件数は11,385件となる。次に示すグラフは、 '97年1月から'99年10月までの被害届出件数の月別推移を表したものである。

 

注記)'90年(4月〜12月)、'91年、'92年、'93年、'94年、'95年、'96年の届出件数はそれぞれ 14件、57件、253件、897件、1127件、668件、755件である。

(2)'99年10月の届出状況

 10月のコンピュータウイルスの被害届出は405件であった。

10月の被害届出の詳細は次の通りである。

(a)今月、届出のあったウイルスは23種類であった。届出件数の多いウイルスは、XM/Larouxが123件となっている。(マクロウイルス261件、従来型150件。1件で複数のウイルス感染届出があるため、合計は届出件数の405件に合致しない。)

項番

ウ イ ル ス 名

届出件数

感  染  し  た  機  種

'99/10

IBM機

互換機

NEC98機

互換機

MAC機 FDのみ
XM/Laroux 123
W97M/Marker 37
W97M/X97M/P97M/Tristate 35
W97M/Class 20
W97M/Ethan 16
WM/Cap 11
W97M/Melissa 10
W97M/ColdApe
W97M/Opey
10 W97M/Chack
11 W97M/Nono
12 WM/Niknat
13 XM/Extras
14 XM/VCX.A
15 W32/Ska 83
16 W32/PrettyPark 40
17 W32/CIH 15
18 B1
19 アンチシーモス
20 フォーム
21 サンポ
22 ステルスブート
23 AutoStart9805

注)

1.ウイルス名欄で、XMはExcelMacro、W97Mは、Word97Macro、 W97M/X97M/P97Mは、Word97Macro/Excel97Macro/PowerPoint97Macro、WMは、WordMacroの略である。
 2.W32/は、Windows32ビットの環境下で動作するウイルスを示す。
 3.感染した機種欄の印は、●感染有り、−感染無しである。

 検査発見・駆除修復に使われたウイルス対策ソフトを、下記に示す。
 ※印は、Macintosh機のウイルス対策ソフトを示す。

検査発見・駆除修復に使われたソフト名(50音順)
 AntiViral ToolKit Pro
 CheyenneAntiVirus
 F-SECURE(F-PROT)
 InterScan
 NortonAntiVirus
 ScanMail
 ServerProtect
 SWEEP
 VirusScan
 WebShield
 XLSCAN.XLA
 ウイルスバスター
※AutoStartHunter
※NAV for Mac(SAM)

(b)届出の感染機種別件数は次のとおりである。一番多い届出は、IBM及びその互換機で、 FDのみの感染及びファイルのみの感染を除く約79%を占めている。

 

機        種

届  出  件  数

'99/10 '99/1〜10 '98合計
 NEC 98機  日電  PC-98シリーズ 26 199 198
 IBM 機

 互換機

 IBM機 13 193 149
 各社 IBM互換機 88 1396 1174
 MAC機  APPLE Macintoshシリーズ 58 201

注)
1.複数機種感染の届出を含む。
2.FDのみの感染及びファイルのみの感染が278件あったが、表からは除外する。
3.各社IBM互換機には、NEC PC-98NXシリーズを含む。

(c)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、 約85%を占めている。

届   出   者

届  出  件  数

'99/10 '99/1〜10 '98合計
 一般法人ユーザ 343 2498 1595
 情 報 産 業 28 181 292
 個 人 ユ ー ザ 24 321 75
 教育・研究機関 10 188 73

(d)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて近畿地方、中部地方の順となっている。

地     域

届  出  件  数
'99/10 '99/1〜10 '98合計
 北海道 地 方 29 21
 東 北 地 方 79 45
 関 東 地 方 262 2159 1366
 中 部 地 方 21 253 204
 近 畿 地 方 95 489 200
 中 国 地 方 90 95
 四 国 地 方 23 33
 九 州 地 方 66 71

(e)被害届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。メールにより感染したケースが最も多く、 不明を除いた届出件数の約64%を占めている。

感  染  経  路

届  出  件  数
'99/10 '99/1〜10 '98合計
 外部からの媒体で感染したケース 80 521 668
 メールにより感染したケース 230 1908 778
 海外からの媒体で感染したケース 21 32
 海外からのメールにより感染したケース 37 214 48
 ネットワークからのダウンロードにより感染したケース 14 169 77
 不 明 44 355 432

(f)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。感染台数の欄0台は、FDのみの感染またはファイルのみの感染を示し、事前の検査により、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。

感  染  台  数

届  出  件  数
'99/10 '99/1〜10 '98合計
  0台 278 1404 416
  1台 92 1196 1000
  2台以上 5台未満 21 375 373
  5台以上10台未満 112 129
 10台以上20台未満 57 58
 20台以上50台未満 28 39
 50台以上 16 20

特定日発病ウイルスについて

 ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPAに届け出されたウイルスの中で、11月10日〜12月31日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げた。(参考:特定日発病ウイルス[ウイルスカレンダー]
 発病してからではデータを破壊される等修復が困難となるので市販のワクチンソフト等を用いて、発病する前に発見・駆除することを望む。(駆除方法についてはIPAまで)

(1)WM/Nottice(WordMacro/Nottice)

このウイルスは、マイクロソフト社のWord(以下MSWord)を介して感染するウイ ルスである。 このウイルスに感染したデータファイルを読み込むとそのMSwordに感染する。 発病は、12月13日に感染文書を開くと新規文書を作成し、そこに下記のメッセー ジを全画面最大化で表示して停止する。(ワードがキー入力を受けつけなくなる)

        IMPORTAT NOTTICE!
       
        HANSSI A. A. IS MARRIED WITH A LOSSER.

届出年 1990〜1994 1995 1996 1997 1998 1999 合計
届出件数

 

(2)W97M/Marker(Word97Macro/Marker)

このウイルスは、マイクロソフト社のWord(以下MSword)を介して感染するウイルである。 ウイルスに感染した文書ファイルを開いて閉じるときに、そのMSwordに感染する。そして感染したMSwordで作成、更新した文書ファイルを閉じるときに、文書ファイルに感染する。
感染すると、「ツール」/「オプション」/「全般」タブの「マクロウイルスを自動検出する」のチェックボックスをオフに設定する。
毎月1日に感染したMSwordで文書ファイルを閉じたときに、感染日時等を記載した感染ユーザーリストを作成し、特定のサイトにアップロードしよう とする。

届出年 1990〜1994 1995 1996 1997 1998 1999 合計
届出件数 95 95

 

(3)W97M/Opey(Word97Macro/Opey)

 このウイルスは、マイクロソフト社のWord(以下MSword)を介して感染するウイルスである。
 ウイルスに感染した文書ファイルを開くと、そのMSwordに感染し、 さらにMSwordのメニューの「ツール」/「オプション」/ユーザー情報タブの
 名前を   「OPEY.A」
 頭文字を  「LOVE」
 住所を   「CNNHS B'92 PHILIPPINES(CNSC)」
に変更する。
 このウイルスは、日本語版、英語版MSword97/98で感染発病する。ただし、文書ファイルへの感染は、 感染したMSwordで当該文書ファイルを作成、更新したときに英語版でのみ行われる。
 特定日に下記の操作を行うと発病し、Autoexec.batにフィリピンの記念日などに関するメッセージを書き込む。
 ・感染した文書ファイルを開いたとき。
 ・感染したMSwordで次の操作を行ったとき。
   MSwordを起動及び終了したとき。
   文書ファイルを作成、開く、印刷、保存、閉じたとき。
   文書ファイルのページ設定を変更したとき。
 特定日と書き込まれるメッセージは次のとおり。

*12/25または1/1  MERRY CHRISTMAS AND HAPPY NEW YEAR!!!
 2/14    HAPPY VALENTINES DAY!!!
 4/1(除木曜日)  HAPPY LABOR DAY!!!
 6/12      HAPPY INDEPENDENCE DAY!!!
 11/1  HAPPY HALLOWEEN!!!
*11/30     BONIFACIO DAY!!!
*12/30    REZAL DAY!!!
 4月の木、金、土曜日    HOLY WEEK!!!

届出年 1990〜1994 1995 1996 1997 1998 1999 合計
届出件数

以上

問い合わせ先:
 
IPA(情報処理振興事業協会)セキュリティセンターウイルス対策室
TEL 03-5978-7508 FAX 03-5978-7518 E-mail virus@ipa.go.jp