1999年10月8日
情報処理振興事業協会

コンピュータウイルス被害の届出状況について

1.はじめに

(1)1999年9月ウイルス被害届出状況

 情報処理振興事業協会(略称IPA・石井賢吾理事長)は、'99年9月のコンピュータ ウイルス被害の届出状況をまとめた。

(2)今月の特記事項

サポートセンターを騙った偽メールについて

 有名メーカーのサポートセンターを騙り、悪意のあるプログラムをアップデートプログラムやワクチンソフトのように見せかけて、添付ファイルで送りつけるメールによる被害が海外で発生している。国内で大きな被害は出ていないが、同じ様な手口で悪意のあるプログラムファイルが添付ファイルで送られてくることが十分考えられるので、注意が必要である。

 アップデートプログラム等の配布については、通常Webサイトからのダウンロードにより行なわれており、プログラムファイルが電子メールに添付されて送られるようなことはないので、そのようなファイルをメールの添付ファイルで受け取ったときには、安易に実行しないようにされたい。

 また、電子メールの機能を悪用したウイルスも急増しているので、対策として、以下の基本的事項について周知徹底されることを希望する。

a)たとえ、友人、知人、職場の同僚から送られてきた電子メールであっても、添付ファイルは、開いたり、実行したりする前に、必ず最新のワクチンソフトでウイルス検査を行うこと。

b)ファイルに感染しないタイプの「W32/Ska(Happy99)」、「W32/ExploreZip」のようなトロイの木馬型ウイルスは、新種の場合は最新のワクチンソフトでも発見できない可能性が高いので、メールの添付ファイルでプログラムファイルを受け取った場合は、相手先に添付ファイルの内容の問い合わせを行う等により、必ずファイルの安全を確認してから実行すること。

(3)ウイルス被害届出制度

 コンピュータウイルスの届出制度は、通商産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。

 IPAでは、個別に届出者への対応を行っているが、同時に受理した被害届出等を基に、コンピュータウイルス対策を検討している。また受理した届出は、届出者のプライバシー を侵害することがないように配慮した上で、被害状況の調査及び検討結果を定期的に公表している。

 ○コンピュータウイルス対策基準
  ・通商産業省告示第139号 平成2年4月10日制定
  ・通商産業省告示第429号 平成7年7月 7日改訂
  ・通商産業省告示第535号 平成9年9月24日改訂

2.届出の概要

(1)今までの届出状況
 届出件数は、'90年4月通商産業省が告示した「コンピュータウイルス対策基準」に基づいて、IPAが被害の届出機関に指定されてから受理した届出の件数である。今までの届出件数は10,980件となる。次に示すグラフは、 '97年1月から'99年9月までの被害届出件数の月別推移を表したものである。

 

注記)'90年(4月〜12月)、'91年、'92年、'93年、'94年、'95年、'96年の届出件数はそれぞれ 14件、57件、253件、897件、1127件、668件、755件である。

(2)'99年9月の届出状況

 9月のコンピュータウイルスの被害届出は332件であった。

9月の被害届出の詳細は次の通りである。

(a)今月、届出のあったウイルスは20種類であった。届出件数の多いウイルスは、XM/Larouxが121件となっている。初めて届けられたウイルスは、W32/PrettyPark(*印)の1種類である。(マクロウイルス199件、従来型133件)

項番

ウ イ ル ス 名

届出件数

感  染  し  た  機  種

'99/9

IBM機

互換機

NEC98機

互換機

MAC機 FDのみ
XM/Laroux 121
W97M/X97M/P97M/Tristate 19
W97M/Class 18
W97M/Ethan 12
WM/Cap 10
W97M/Marker
W97M/Chack
W97M/Melissa
W97M/Jedi
10 WM/MDMA
11 XF/Paix
12 XM/VCX.A
13 W32/Ska 93
*14 W32/PrettyPark 18
15 W32/CIH 15
16 W32/ExploreZip
17 アンチシーモス
18 B1
19 アンチテレフォニカ
20 ストーンド

注)
1.ウイルス名欄で、XMはExcelMacro、W97M/X97M/P97Mは、Word97Macro/Excel97Macro/ PowerPoint97Macro、W97Mは、Word97Macro、WMは、WordMacro、XFは、ExcelFormulaの略である。
2.W32/は、Windows32ビット実行形式ファイルを感染対象とするウイルスを示す。
3.感染した機種欄の印は、●感染有り、−感染無しである。
4..検査発見及び駆除修復に使われたウイルス対策ソフトを、下記に示す。

検査発見に使われたソフト名 件数
 InterScan 137
 VirusScan 69
 ウイルスバスター 50
 NortonAntiVirus 20
 ScanMail 11
 WebShield
 F-SECURE(F-PROT)
 NetShield
 ServerProtect
 CheyenneAntiVirus
 SWEEP

 

駆除修復に使われたソフト名 件数
 VirusScan 59
 ウイルスバスター 45
 InterScan 35
 Norton AntiVirus 19
 ScanMail
 F-SECURE(F-PROT)
 GroupShield
 ServerProtect
 WebShield
 SWEEP
 XLSCAN.XLA

今回、IPAに初めて届け出のあったウイルスを簡単に説明する。

「W32/PrettyPark」

W32/PrettyParkはワームの一種で、通常電子メールの添付ファイルとして拡がってく。PrettyPark.exeを実行すると、自分自身をc:\Windows\systemフォルダに、Files32.vxdいうファイル名でコピーし、他のプログラムが実行される度に、ウイルスが実行されるようにレジストリを変更する。
実行プログラム(拡張子がexe)が実行されると、Files32.vxdも実行され、ウイルスはメモリに常駐する。そして、マシンがインターネット接続されてい場合は30秒毎に特定のIRC(*1)サーバーに接続し、パスワード、ID等の情報を送信する。また、インストールされているメーラー(*2)によっては30分毎にアドレス帳に登録してあるメールアドレスに、PrettyPark.exeいうファイル名の自分自身を添付したメールを送信しようとする。
(*1 Internet Relay Chat)
(*2 現在確認されているのは、マイクロソフト社のOutlookExpress)

(b)届出の感染機種別件数は次のとおりである。一番多い届出は、IBM及びその互換機で、 FDのみの感染及びファイルのみの感染を除く約90%を占めている。

 

機        種

届  出  件  数

'99/9 '99/1〜9 '98合計
 NEC 98機  日電  PC-98シリーズ 12 173 198
 IBM 機

 互換機

 IBM機 23 180 149
 各社 IBM互換機 92 1308 1174
 MAC機  APPLE Macintoshシリーズ 57 201

注)
1.複数機種感染の届出を含む。
2.FDのみの感染及びファイルのみの感染が207件あったが、表からは除外する。
3.各社IBM互換機には、NEC PC-98NXシリーズを含む。

(c)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、 約88%を占めている。

届   出   者

届  出  件  数

'99/9 '99/1〜9 '98合計
 一般法人ユーザ 291 2155 1595
 情 報 産 業 153 292
 個 人 ユ ー ザ 30 297 75
 教育・研究機関 178 73

(d)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて近畿地方、中部地方の順となっている。

地     域

届  出  件  数
'99/9 '99/1〜9 '98合計
 北海道 地 方 27 21
 東 北 地 方 72 45
 関 東 地 方 269 1897 1366
 中 部 地 方 15 232 204
 近 畿 地 方 35 394 200
 中 国 地 方 85 95
 四 国 地 方 16 33
 九 州 地 方 60 71

(e)被害届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。メールにより感染したケースが最も多く、 不明を除いた届出件数の約77%を占めている。

感  染  経  路

届  出  件  数
'99/9 '99/1〜9 '98合計
 外部からの媒体で感染したケース 33 441 668
 メールにより感染したケース 241 1678 778
 海外からの媒体で感染したケース 21 32
 海外からのメールにより感染したケース 29 177 48
 ネットワークからのダウンロードにより感染したケース 155 77
 不 明 21 311 432

(f)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。感染台数の欄0台は、FDのみの感染またはファイルのみの感染を示し、事前の検査により、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。

感  染  台  数

届  出  件  数
'99/9 '99/1〜9 '98合計
  0台 207 1126 416
  1台 87 1104 1000
  2台以上 5台未満 25 354 373
  5台以上10台未満 105 129
 10台以上20台未満 54 58
 20台以上50台未満 25 39
 50台以上 15 20

特定日発病ウイルスについて

 ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPAに届け出されたウイルスの中で、10月9日〜11月30日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げた。
 発病してからではデータを破壊される等修復が困難となるので市販のワクチンソフト等を用いて、発病する前に発見・駆除することを望む。(駆除方法についてはIPAまで)

(1)W97M/Opey(Word97Macro/Opey)

 このウイルスは、マイクロソフト社のWord(以下MSword)を介して感染するウイルスである。
 ウイルスに感染した文書ファイルを開くと、そのMSwordに感染し、 さらにMSwordのメニューの「ツール」/「オプション」/ユーザー情報タブの
 名前を   「OPEY.A」
 頭文字を  「LOVE」
 住所を   「CNNHS B'92 PHILIPPINES(CNSC)」
に変更する。
 このウイルスは、日本語版、英語版MSword97/98で感染発病する。ただし、文書ファイルへの感染は、 感染したMSwordで当該文書ファイルを作成、更新したときに英語版でのみ行われる。
 特定日に下記の操作を行うと発病し、Autoexec.batにフィリピンの記念日などに関するメッセージを書き込む。
 ・感染した文書ファイルを開いたとき。
 ・感染したMSwordで次の操作を行ったとき。
   MSwordを起動及び終了したとき。
   文書ファイルを作成、開く、印刷、保存、閉じたとき。
   文書ファイルのページ設定を変更したとき。
 特定日と書き込まれるメッセージは次のとおり。

 12/25または1/1  MERRY CHRISTMAS AND HAPPY NEW YEAR!!!
 2/14    HAPPY VALENTINES DAY!!!
 4/1(除木曜日)  HAPPY LABOR DAY!!!
 6/12      HAPPY INDEPENDENCE DAY!!!
*11/1  HAPPY HALLOWEEN!!!
*11/30     BONIFACIO DAY!!!
 12/30    REZAL DAY!!!
 4月の木、金、土曜日    HOLY WEEK!!!

 

届出年 1990〜1994 1995 1996 1997 1998 1999 合計
届出件数

 

(2)ジミー(Jimi)

 このウイルスは、常駐型でディスクのブートセクタに感染する。感染したディスクを起動するとウイルスはメモリに常駐する。メモリに常駐したウイルスは、ディスクアクセスを監視し、アクセスしたディスクに感染する。
 毎年11月15日にこのウイルスに感染しているシステムを起動するとハードディスクを破壊する。

届出年 1990〜1994 1995 1996 1997 1998 1999 合計
届出件数 14 13 13 44

 

(3)サンポ(SAMPO)

 このウイルスは、常駐型でディスクのブートセクタに感染する。感染したディスクを起動するとウイルスはメモリに常駐する。メモリに常駐したウイルスは、ディスクアクセスを監視し、アクセスしたディスクに感染する。
 毎年11月30日にこのウイルスに感染しているディスクから起動した後2時間経過すると、画面の右上に 「S A M P O"ProjectX" Copyright(c)1991...(略)」と表示する。

届出年 1990〜1994 1995 1996 1997 1998 1999 合計
届出件数 17 27 46 10 104

以上

問い合わせ先:
 
IPA(情報処理振興事業協会)セキュリティセンターウイルス対策室
TEL 03-5978-7508 FAX 03-5978-7518 E-mail virus@ipa.go.jp