1999年9月7日
情報処理振興事業協会

コンピュータウイルス被害の届出状況について

1.はじめに

(1)1999年8月ウイルス被害届出状況

 情報処理振興事業協会(略称IPA・石井賢吾理事長)は、'99年8月のコンピュータ ウイルス被害の届出状況をまとめた。

(2)今月の特記事項

(A)W32/Ska(Happy99)について

 本ウイルスの届出件数が66件あった。初めて届け出があった今年の2月からの届出件数の累計が708件(月平均約101件)となった。安易に電子メールの添付ファイルを実行して感染した届出、相談が引き続き寄せられている。 
 たとえ、友人、知人、職場の同僚から送られてきた電子メールであっても、添付ファイルについては、開いたり、実行したりする前に、最新のワクチンソフトでウイルス検査を行うことが対策として重要である。

(B)IPAのWebサイトの情報について

 a)パソコン・ユーザのためのウイルス対策7箇条

  最近のコンピュータウイルス被害の傾向に対応して、対策の具体的事例を更新している。一読してウイルス感染の予防対策に活用されることを希望する。

 b)届け出ウイルス一覧

  「XM/Laroux」「WM/Cap」「W32/Ska(Happy99)」を初めとして、今月新種の「W97M/Opey」まで含めて、IPAに届け出のあったウイルスは全て概要を掲載している。不審なメッセージの表示などウイルスの発病と思われる症状からウイルスを特定、照合するとき等に活用されることを希望する。 

(C)情報セキュリティセミナー開催

 IPAでは全国の通産局と共催して、10/26〜11/30の期間に12箇所で情報セキュリティの最新動向と対策に関するセミナーを開催する。関係各位の積極的な参加をお願いする。日時、場所、参加申込方法等詳細は添付資料「開催のお知らせ」を参照。

(3)ウイルス被害届出制度

 コンピュータウイルスの届出制度は、通商産業省のコンピュータウイルス対策基準('90年4月10日付通商産業省告示第139号、'95年7月7日改訂通商産業省告示第429号、'97年9月24日改訂通商産業省告示第535号)に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。

2.届出の概要

(1)今までの届出状況
 届出件数は、'90年4月通商産業省が告示した「コンピュータウイルス対策基準」に基づいて、IPAが被害の届出機関に指定されてから受理した届出の件数である。今までの届出件数は10,648件となる。次に示すグラフは、 '97年1月から'99年8月までの被害届出件数の月別推移を表したものである。

 

注記)'90年(4月〜12月)、'91年、'92年、'93年、'94年、'95年、'96年の届出件数はそれぞれ 14件、57件、253件、897件、1127件、668件、755件である。

(2)'99年8月の届出状況

 8月のコンピュータウイルスの被害届出は216件であった。

8月の被害届出の詳細は次の通りである。

(a)今月、届出のあったウイルスは25種類であった。届出件数の多いウイルスは、W32/Skaが66件となっている。初めて届けられたウイルスは、W97M/Opey(*印)の1種類である。(マクロウイルス129件、従来型90件、1件で複数のウイルス感染届出があるため、合計は届出件数の216件に合致しない。)

項番

ウ イ ル ス 名

届出件数

感  染  し  た  機  種

'99/8

IBM機

互換機

NEC98機

互換機

MAC機 FDのみ
XM/Laroux 47
W97M/Class 20
W97M/X97M/P97M/Tristate 20
W97M/Ethan 18
W97M/Marker
WM/Cap
XM/Compat
W97M/Melissa
W97M/Chack
10 W97M/Groov
*11 W97M/Opey
12 W97M/X97M/Shiver
13 WM/Imposter
14 WM/Nottice
15 XM/VCX.A
16 W32/Ska 66
17 W32/CIH 11
18 アンチシーモス
19 モンキー
20 D3
21 W32/ExploreZip
22 エルサレム
23 カスケード
24 サンポ
25 AutoStart9805

注)

 1.ウイルス名欄で、XMはExcelMacro、W97Mは Word97Macro、W97M/X97M/P97Mは、Word97Macro/Excel97Macro/ PowerPoint97Macro、WMはWordMacro、の略である。
2.W32/は、Windows32ビット実行形式ファイルを感染対象とするウイルスを示す。
3.感染した機種欄の印は、●感染有り、−感染無しである。
4..検査発見及び駆除修復に使われたウイルス対策ソフトを、下記に示す。
 ※印は、Macintosh機のウイルス対策ソフトを示す。

検査発見に使われたソフト名 件数
 ウイルスバスター 77
 InterScan 47
 VirusScan 32
 NortonAntiVirus 20
 ScanMail 12
 ServerProtect
 WebShield
 IBM AntiVirus
 InocuLAN
※NAV for Mac(SAM)

 

駆除修復に使われたソフト名 件数
 ウイルスバスター 69
 VirusScan 25
 Norton AntiVirus 20
 InterScan 15
 ScanMail 12
 IBM AntiVirus
 InocuLAN
 ServerProtect
※NAV for Mac(SAM)

今回、IPAに初めて届け出のあったウイルスを簡単に説明する。

「W97M/Opey」 (Word97Macro/Opey)
 このウイルスは、マイクロソフト社のWord(以下MSword)を介して感染するウイルスである。
 ウイルスに感染した文書ファイルを開くと、そのMSwordに感染し、 さらにMSwordのメニューの「ツール」/「オプション」/ユーザー情報タブの
 名前を   「OPEY.A」
 頭文字を  「LOVE」
 住所を   「CNNHS B'92 PHILIPPINES(CNSC)」
に変更する。
 このウイルスは、日本語版、英語版MSword97/98で感染発病する。ただし、文書ファイルへの感染は、 感染したMSwordで当該文書ファイルを作成、更新したときに英語版でのみ行われる。
 特定日に下記の操作を行うと発病し、Autoexec.batにフィリピンの記念日などに関するメッセージを書き込む。
 ・感染した文書ファイルを開いたとき。
 ・感染したMSwordで次の操作を行ったとき。
   MSwordを起動及び終了したとき。
   文書ファイルを作成、開く、印刷、保存、閉じたとき。
   文書ファイルのページ設定を変更したとき。
 特定日と書き込まれるメッセージは次のとおり。

 12/25または1/1  MERRY CHRISTMAS AND HAPPY NEW YEAR!!!
 2/14    HAPPY VALENTINES DAY!!!
 4/1(除木曜日)  HAPPY LABOR DAY!!!
 6/12      HAPPY INDEPENDENCE DAY!!!
 11/1  HAPPY HALLOWEEN!!!
 11/30     BONIFACIO DAY!!!
 12/30    REZAL DAY!!!
 4月の木、金、土曜日    HOLY WEEK!!!

 

(b)届出の感染機種別件数は次のとおりである。一番多い届出は、IBM及びその互換機で、 FDのみの感染及びファイルのみの感染を除く約88%を占めている。

 

機        種

届  出  件  数

'99/8 '99/1〜8 '98合計
 NEC 98機  日電  PC-98シリーズ 10 161 198
 IBM 機

 互換機

 IBM機 15 157 149
 各社 IBM互換機 95 1216 1174
 MAC機  APPLE Macintoshシリーズ 57 201

注)
1.複数機種感染の届出を含む。
2.FDのみの感染及びファイルのみの感染が101件あったが、表からは除外する。
3.各社IBM互換機には、NEC PC-98NXシリーズを含む。

(c)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、 約90%を占めている。

届   出   者

届  出  件  数

'99/8 '99/1〜8 '98合計
 一般法人ユーザ 194 1864 1595
 情 報 産 業 146 292
 個 人 ユ ー ザ 15 267 75
 教育・研究機関 174 73

(d)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて近畿地方、中部地方の順となっている。

地     域

届  出  件  数
'99/8 '99/1〜8 '98合計
 北海道 地 方 26 21
 東 北 地 方 67 45
 関 東 地 方 160 1628 1366
 中 部 地 方 18 217 204
 近 畿 地 方 25 359 200
 中 国 地 方 82 95
 四 国 地 方 14 33
 九 州 地 方 58 71

(e)被害届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。メールにより感染したケースが最も多く、 不明を除いた届出件数の約76%を占めている。

感  染  経  路

届  出  件  数
'99/8 '99/1〜8 '98合計
 外部からの媒体で感染したケース 25 408 668
 メールにより感染したケース 149 1437 778
 海外からの媒体で感染したケース 20 32
 海外からのメールにより感染したケース 12 148 48
 ネットワークからのダウンロードにより感染したケース 148 77
 不 明 21 290 432

(f)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。感染台数の欄0台は、FDのみの感染またはファイルのみの感染を示し、事前の検査により、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。

感  染 台 数

届  出  件  数
'99/8 '99/1〜8 '98合計
  0台 101 919 416
  1台 76 1017 1000
  2台以上 5台未満 29 329 373
  5台以上10台未満 97 129
 10台以上20台未満 52 58
 20台以上50台未満 23 39
 50台以上 14 20

特定日発病ウイルスについて

 ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPAに届け出されたウイルスの中で、9月8日〜10月31日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げた。
 発病してからではデータを破壊される等修復が困難となるので市販のワクチンソフト等を用いて、発病する前に発見・駆除することを望む。(駆除方法についてはIPAまで)

 リトルレッド  9月 9日 
 スタードット  9月24日 
 DH2  3日、11日、15日、28日の火曜日
  (※9月28日(火)が該当日)
 1554  9月〜12月 
 4096  9月22日〜12月31日 
 タイムワープ  10月21日 

以上

問い合わせ先:
 
IPA(情報処理振興事業協会)セキュリティセンターウイルス対策室
TEL 03-5978-7508 FAX 03-5978-7518 E-mail virus@ipa.go.jp