1999年7月6日
情報処理振興事業協会
情報処理振興事業協会(略称IPA・石井賢吾理事長)は、'99年6月のコンピュータウイルス被害の届出状況をまとめた。
●被害届出件数
385件(先月306件、1月〜6月累計1936件)
[昨年6月 137件、昨年1年間2035件(月平均約170件)、昨年1月〜6月 982件]
●被害届出状況
'99年3月から4ヶ月連続で300件を越える届出件数となった。
また、、'90年4月に受付を始めてからの届出件数の累計が、10000件を突破した。
('90年4月〜'99年6月までの届出件数の累計:10133件)届出ウイルスの種類は28種類で、一番届出の多かったウイルスは、W32/Skaで120件(先月69件)であった。
W32/Skaの急増に伴い、感染経路は、メールにより感染したケースが最も多く、不明を除く75%の割合を占めた。6月の新種ウイルスは次のとおりで、今年に入って月当たり最多の5種類であった。
「W97M/ColdApe」 「W97M/Pri」 「W97M/Footer」 「W97M/X97M/Jerk」 「W32/ExploreZip」
新種ウイルスに対応するためには、ワクチンソフトのウイルス定義ファイルを随時更新しておくことが重要である。6月の届出の中で、感染被害台数の多かった届出は、パソコン120台にW32/CIHが感染したケースが1件あった。
これは、古いワクチンソフトを使用していて、ウイルスを発見することができなかったため、感染被害が拡がったケースである。
電子メールを受け取ると、自分自身を添付した返信メールを出してしまう本ウイルスが、今月初めて届け出された。届出件数は6件と少なかったが、ネットワーク上ので共有していた約5000のファイルが破壊された届出があった。
本ウイルスは、ネットワーク上の1台のマシンが感染すると、ネットワーク上で共有している他のマシンにも被害を与えることがあるので注意されたい。本ウイルスや、「W32/Ska」「W97M/Melissa」のように電子メールを悪用したウイルスが急増している。友人、知人、職場の同僚から送られてきた電子メールであっても、添付ファイルは、必ず最新のワクチンソフトでウイルス検査を行ってから、開いたり、実行するようにされたい。
IPAのWebサイトに本ウイルスの情報を掲載しているので、参照の上、対策を講じられたい。
1999年1月から6月までの半年間の被害届出件数は1936件で、既に1998年一年間とほぼ同数の件数となっている。1999年1月から6月の届出状況を前年(1998年)のデータを併記して[参考資料]「1999年(1月〜6月)ウイルス被害届出状況」に記述したので参照されたい。
コンピュータウイルスの届出制度は、通商産業省のコンピュータウイルス対策基準('90年4月10日付通商産業省告示第139号、'95年7月7日改訂通商産業省告示第429号、'97年9月24日改訂通商産業省告示第535号)に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。
IPAでは、個別に届出者への対応を行っているが、同時に受理した被害届出等を基に、コンピュータウイルス対策を検討している。また受理した届出は、届出者のプライバシー
を侵害することがないように配慮した上で、被害状況の調査及び検討結果を定期的に公表している。
届出件数は、'90年4月通商産業省が告示した「コンピュータウイルス対策基準」に基づ いて、IPAが被害の届出機関に指定されてから受理した届出の件数である。今まで の届出件数は10133件となる。次に示すグラフは、 '97年1月から'99年6月までの被害届出件数の月別推移を表したものである。

注記)'90年(4月〜12月)、'91年、'92年、'93年、'94年、'95年、'96年の届出件数はそれぞれ 14件、57件、253件、897件、1127件、668件、755件である。
今月、届出のあったウイルスは28種類であった。届出件数の多いウイルスは、W32/Skaが120件となっている。 初めて届けられたウイルスは、W97M/ColdApe、W97M/Pri、W97M/Footer、W97M/X97M/Jerk、W32/ExploreZip(*印)の5種類である。(マクロウイルス231件、従来型158件、1件で複数のウイルス感染届出があるため、合計は届出件数の385件に合致しない。)
項番 |
ウ イ ル ス 名 |
届出件数 |
感 染 し た 機 種 | |||
'99/6 |
IBM機 |
NEC98機 互換機 |
MAC機 | FDのみ | ||
| 1 | XM/Laroux | 97 | ● | ● | − | ● |
| 2 | W97M/Class | 50 | ● | − | − | ● |
| 3 | W97M/Melissa | 16 | ● | − | − | ● |
| 4 | WM/Cap | 16 | ● | − | ● | ● |
| 5 | W97M/Marker | 12 | ● | − | − | ● |
| 6 | W97M/Ethan | 10 | ● | − | − | ● |
| 7 | W97M/X97M/P97M/Tristate | 10 | ● | − | − | ● |
| *8 | W97M/ColdApe | 5 | ● | − | − | ● |
| 9 | W97M/Nono | 4 | ● | − | − | ● |
| *10 | W97M/Pri | 4 | ● | − | − | ● |
| 11 | XM/Extras | 1 | ● | − | − | − |
| 12 | XM/VCX.A | 1 | − | − | − | ● |
| *13 | W97M/Footer | 1 | − | − | − | ● |
| 14 | W97M/Groov | 1 | ● | − | − | − |
| 15 | W97M/Protected | 1 | ● | − | − | − |
| *16 | W97M/X97M/Jerk | 1 | ● | − | − | − |
| 17 | WM/Niceday | 1 | ● | − | − | − |
| 18 | W32/Ska | 120 | ● | ● | − | ● |
| 19 | W32/CIH | 21 | ● | ● | − | ● |
| *20 | W32/ExploreZip | 6 | ● | − | − | − |
| 21 | フォーム | 2 | ● | − | − | ● |
| 22 | アンチシーモス | 1 | ● | − | − | − |
| 23 | カスケード | 1 | − | ● | − | − |
| 24 | パリティブート | 1 | − | − | − | ● |
| 25 | ヤンキードゥードル | 1 | − | ● | − | − |
| 26 | B1 | 1 | ● | − | − | − |
| 27 | D3 | 1 | ● | − | − | − |
| 28 | AutoStart9805 | 3 | − | − | ● | − |
注)
1.ウイルス名欄で、XMはExcelMacro、W97MはWord97Macro、WMはWordMacro、W97M/X97M/P97Mは、Word97Macro/Excel97Macro/
PowerPoint97Macro、W97M/X97Mは、Word97Macro/Excel97Macroの略である。
2.W32/は、Windows32ビット実行形式ファイルを感染対象とするウイルスを示す。
3.感染した機種欄の印は、●感染有り、−感染無しである。
IPA(情報処理振興事業協会)セキュリティセンターウイルス対策室
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