1999年6月4日
情報処理振興事業協会

コンピュータウイルス被害の届出状況について

1.はじめに

(1)1999年5月ウイルス被害届出状況
 情報処理振興事業協会(略称IPA・石井賢吾理事長)は、'99年5月のコンピュータ ウイルス被害の届出状況をまとめた。

(2)今月の特記事項

(1)W32/Ska(Happy99)について

 本ウイルスの届出件数が、69件あった。(2月74件、3月181件、4月114件)
 届出件数は減少の傾向を示しているが安易に電子メールの添付ファイルを実行して感染した届出、相談が引き続き寄せられている。
 友人、知人、職場の同僚から送られてきた電子メールの添付ファイルであっても、必ず最新のワクチンソフトでウイルス検査を行ってから、実行するようにされたい。
 IPAのWebサイトに本ウイルスの情報を掲載しているので、参照の上、対策を講じられたい。
 

(2)W32/CIHについて

 発病すると、ハードディスクのデータを破壊する本ウイルスの届出件数が、63件あった。
  (1月18件、2月12件、3月34件、4月75件、)
 感染経路は、ダウンロードファイルから感染したケースが最も多く、不明を除く約67%の割合を占めている。
 ダウンロードファイルは、必ず最新のワクチンソフトで、ウイルス検査を行ってから実行するようにされたい。
 また、発病により破壊されたデータの復旧はできないので、ワクチンソフトによるウイルス検査を行うとともに、日頃からデータのバックアップを取ることが重要である。
 W32/CIHには、4月26日以外にも、6月26日、毎月26日に発病するタイプの亜種も発見されているので、発病する前に最新のワクチンソフトで発見・駆除するようにされたい。
   W32/CIHに関する情報

(3)ウイルス被害届出制度

 コンピュータウイルスの届出制度は、通商産業省のコンピュータウイルス対策基準('90年4月10日付通商産業省告示第139号、'95年7月7日改訂通商産業省告示第429号、'97年9月24日改訂通商産業省告示第535号)に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。

2.届出の概要

(1)今までの届出状況
 届出件数は、'90年4月通商産業省が告示した「コンピュータウイルス対策基準」に基づいて、IPAが被害の届出機関に指定されてから受理した届出の件数である。今までの届出件数は9748件となる。次に示すグラフは、 '97年1月から'99年5月までの被害届出件数の月別推移を表したものである。

 

注記)'90年(4月〜12月)、'91年、'92年、'93年、'94年、'95年、'96年の届出件数はそれぞれ 14件、57件、253件、897件、1127件、668件、755件である。

(2)'99年5月の届出状況
 5月のコンピュータウイルスの被害届出は306件であった。

5月の被害届出の詳細は次の通りである。

(a)今月、届出のあったウイルスは22種類であった。届出件数の多いウイルスは、XM/Larouxが81件となっている。
 初めて届けられたウイルスは、W97M/Jedi(*印)の1種類である。
 (マクロウイルス163件、従来型145件、1件で複数のウイルス感染届出があるため、合計は届出件数の306件に合致しない。)

項番

ウ イ ル ス 名

届出件数

感  染  し  た  機  種

'99/5

IBM機

互換機

NEC98機

互換機

MAC機 FDのみ
XM/Laroux 81
W97M/Class 25
WM/Cap 17
W97M/Marker 12
W97M/Ethan
W97M/Melissa
W97M/Chack
*8 W97M/Jedi
W97M/Protected
10 W97M/X97M/P97M/Tristate
11 XM/Compat
12 WM/Niknat
13 W32/Ska 69
14 W32/CIH 63
15 アンチシーモス
16 フォーム
17 リッパー
18 カスケード
19 パリティブート
20 ファットアベンジャー
21 ベイジン
22 AutoStart9805

注)
1.ウイルス名欄で、XMはExcelMacro、W97MはWord97Macro、WMはWordMacro、W97M/X97M/P97Mは、Word97Macro/Excel97Macro/PowerPoint97Macroの略である。
2.W32/は、Windows32ビット実行形式ファイルを感染対象とするウイルスを示す。
3.感染した機種欄の印は、●感染有り、−感染無しである。
4..検査発見及び駆除修復に使われたウイルス対策ソフトを、下記に示す。
 ※印は、Macintosh機のウイルス対策ソフトを示す。

検査発見に使われたソフト名 件数
 ウイルスバスター 94
 Virus Scan 62
 Norton AntiVirus 41
 InterScan 27
 F−SECURE(F−PROT)
 ScanMail
 Group Shield
 スキャンワクチン
 Cheyenne AntiVirus
 XLSCAN.XLA
 アンチドート
 InocuLAN
 Server Protect
 SWEEP
※NAV for Mac(SAM)
※VirusScan for Mac

 

駆除修復に使われたソフト名 件数
 ウイルスバスター 82
 VirusScan 52
 Norton AntiVirus 38
 InterScan 14
 F−SECURE(F−PROT)
 ScanMail
 Group Shield
 クリーンワクチン
 アンチドート
 Cheyenne AntiVirus
 XLSCAN.XLA
 InocuLAN
 Server Protect
※NAV for Mac(SAM)
※VirusScan for Mac

今回、IPAに初めて届出があったウイルスを簡単に説明する。

「W97M/Jedi」(Word97Macro/Jedi)
 このウイルスは、マイクロソフト社のWord(以下MSword)を介して感染するウイルスである。ウイルスに感染した文書ファイルを開くと、 MSwordに登録されているユーザー情報(ツール/オプション/ユーザー情報タブ)の頭文字が、「BDR」でないときは、 Normal.dotに感染する。以降、感染したMSwordで作成、更新した文書ファイルに感染する。
 ただし、日本語版MS-wordでは、文書ファイルには感染しない。
 Normal.dotに感染と同時に発病し、MS-wordのツール/オプション/ユーザー情報タブの
 名前を 「Bernard del Rosario」
 頭文字を「BDR」
 住所を 「BAT-2105 -BERNARD & RHUBIE-」
に変更する。

(b)届出の感染機種別件数は次のとおりである。一番多い届出は、IBM及びその互換機で、 FDのみの感染及びファイルのみの感染を除く約79%の割合を占めている。

 

機        種

届  出  件  数

'99/5 '99/1〜5 '98合計
 NEC 98機  日電  PC-98シリーズ 20 118 198
 IBM 機

 互換機

 IBM機 22 121 149
 各社 IBM互換機 177 870 1174
 MAC機  APPLE Macintoshシリーズ 39 201

注)
1.複数機種感染の届出を含む。
2.FDのみの感染及びファイルのみの感染が98件有ったが、表からは除外する。
3.各社IBM互換機には、NEC PC-98NXシリーズを含む。

(c)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、 約77%の割合を占めている。

届   出   者

届  出  件  数

'99/5 '99/1〜5 '98合計
 一般法人ユーザ 237 1118 1595
 情 報 産 業 125 292
 個 人 ユ ー ザ 41 203 75
 教育・研究機関 23 105 73

(d)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて近畿地方、中部地方の順となっている。

地     域

届  出  件  数
'99/5 '99/1〜5 '98合計
 北海道 地 方 20 21
 東 北 地 方 55 45
 関 東 地 方 190 988 1366
 中 部 地 方 31 140 204
 近 畿 地 方 62 249 200
 中 国 地 方 49 95
 四 国 地 方 10 33
 九 州 地 方 40 71

(e)被害届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。メールにより感染したケースが最も多く、 不明を除く約60%の割合を占めている。

感  染  経  路

届  出  件  数
'99/5 '99/1〜5 '98合計
 外部からの媒体で感染したケース 51 289 668
 メールにより感染したケース 160 822 778
 海外からの媒体で感染したケース 17 32
 海外からのメールにより感染したケース 15 79 48
 ネットワークからのダウンロードにより感染したケース 34 120 77
 不 明 42 224 432

(f)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。感染台数の欄0台は、FDのみの感染またはファイルのみの感染を示し、事前の検査により、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。

感  染  台 数

届  出  件  数
'99/5 '99/1〜5 '98合計
  0台 98 448 416
  1台 136 732 1000
  2台以上 5台未満 46 231 373
  5台以上10台未満 13 69 129
 10台以上20台未満 45 58
 20台以上50台未満 16 39
 50台以上 10 20




特定日発病ウイルスについて

 ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPAに届け出されたウイルスの中で、 6月5日〜7月31日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げた。
 発病してからではデータを破壊される等修復が困難となるので市販のワクチンソフト等を用いて、発病する前に発見・駆除することを望む。(駆除方法についてはIPAまで)

 W32/CIH  6月26日
 アルゼンティーナ  5月30日
 DH2  3日、11日、15日、28日の火曜日
  (※6月15日(火)が該当日)

以上

問い合わせ先:
IPA(情報処理振興事業協会)セキュリティセンターウイルス対策室
TEL 03-5978-7508 FAX 03-5978-7518 E-mail virus@ipa.go.jp