1999年2月5日
情報処理振興事業協会
コンピュータウイルス被害の届出状況について
1.はじめに
(1)1999年1月ウイルス被害届出
情報処理振興事業協会(略称IPA・石井賢吾理事長)は、'99年1月のコンピュータ
ウイルス被害の届出状況をまとめた。
(2)情報セキュリティセミナー(東京地区)開催
IPAでは関東通産局と共催で情報セキュリティセミナーを開催する。
開催日時等:平成11年3月12日(金)13:30〜16:20 於:銀座ヤマハホール
詳細は添付資料「開催のお知らせ」を参照のこと。
(3)ウイルス関連FAQ
先月、セミナー開催の状況報告を行ったが、各会場でなされた質問及び相談電話によく
問い合わせのある事項について、ウイルス関連FAQを作成添付したので活用されたい。
なお同FAQはIPAのWebに既掲載。
(4)ウイルス被害届出制度
コンピュータウイルスの届出制度は、通商産業省のコンピュータウイルス対策基準
('90年4月10日付通商産業省告示第139号、'95年7月7日改訂通商産業省告示第429
号、'97年9月24日改訂通商産業省告示第535号)に基づき、'90年4月にスタートした
制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐため
に必要な情報をIPAに届け出ることとされている。
2.届出の概要
(1)今までの届出状況
届出件数は、'90年4月通商産業省が告示した「コンピュータウイルス対策基準」に基づ
いて、IPAが被害の届出機関に指定されてから受理した届出の件数である。今まで
の届出件数は8395件となる。次に示すグラフは、 '97年1月から
'99年1月までの被害届出件数の月別推移を表したものである。

注記)'90年(4月〜12月)、'91年、'92年、'93年、'94年、'95年、'96年の届出件数は それぞれ 14件、57件、253件、897件、1127件、668件、755件である。
(2)'99年1月の届出状況
1月のコンピュータウイルスの被害届出は198件であった。この中で被害台数の
多かった届出は、パソコン150台に感染していたケースで、XM/Larouxによるもの、W32/CIH
によるものがそれぞれ1件ずつあった。
1月の被害届出の詳細は次の通りである。
(a) 今月、届出のあったウイルスは25種類であった。届出件数の多いウイルスはマ
クロウイルスのXM/Larouxが69件となっている。
初めて届けられたウイルスは、W97M/Protected、W97M/Chack、WM/Nottice(*印)の3種類である。
(マクロウイルス129件、従来型69件)
| 項 番 | ウ イ ル ス 名 | 届出件数 |
感 染 し た 機 種 |
|||
'99/1 |
IBM機 |
NEC98機
|
MAC機 | FDのみ | ||
| 1 | XM/Laroux | 69 | ● | ● | − | ● |
| 2 | WM/Cap | 18 | ● | ● | ● | ● |
| 3 | W97M/Class | 13 | ● | ● | − | ● |
| *4 | W97M/Protected | 11 | − | ● | − | ● |
| 5 | XM/Compat | 4 | ● | − | − | ● |
| *6 | W97M/Chack | 3 | ● | − | − | − |
| *7 | WM/Nottice | 3 | ● | − | − | ● |
| 8 | WM/Concept | 2 | ● | − | − | − |
| 9 | WM/Wazzu | 2 | ● | ● | − | − |
| 10 | XF/Paix | 1 | ● | − | − | − |
| 11 | XM/Extras | 1 | ● | − | − | − |
| 12 | W97M/Groov | 1 | ● | − | − | − |
| 13 | WM/Niknat | 1 | ● | − | − | − |
| 14 | W32/CIH | 18 | ● | ● | − | − |
| 15 | アンチシーモス | 9 | ● | − | − | − |
| 16 | フォーム | 3 | ● | − | − | ● |
| 17 | サンポ | 2 | ● | − | − | − |
| 18 | B1 | 1 | ● | − | − | − |
| 19 | ヤンキードゥードル | 1 | − | ● | − | − |
| 20 | カスケード | 1 | − | ● | − | − |
| 21 | ジミー | 1 | ● | − | − | − |
| 22 | パリティブート | 1 | ● | − | − | − |
| 23 | ベイジン | 1 | ● | − | − | − |
| 24 | モンキー | 1 | ● | − | − | − |
| 25 | AutoStart9805 | 30 | − | − | ● | ● |
注)
1.ウイルス名欄で、XMはExcelMacro、WMはWordMacro、W97MはWord97Macro、XFはExcelFormulaの略である。
2.W32/CIHとPE/CIHは同じウイルスである。今後はこの名称を使用する。
W32/は、Windows32ビット実行形式ファイルを感染対象とするウイルスを示す。
3.感染した機種欄の印は、●感染有り、−感染無しである。
4.検査発見及び駆除修復に使われたウイルス対策ソフトを、下記に示す。
※印は、Macintosh機のウイルス対策ソフトを示す。
| 検査発見に使われたソフト名 | 件数 | 駆除修復に使われたソフト名 | 件数 |
| VirusScan | 48 | VirusScan | 41 |
| ウイルスバスター | 40 | ウイルスバスター | 40 |
| Norton AntiVirus | 19 | Norton AntiVirus | 18 |
| F-SECURE(F-PROT) | 17 | F-SECURE(F-PROT) | 13 |
| InterScan | 17 | InterScan | 8 |
| GroupShield | 5 | GroupShield | 5 |
| InocuLAN | 2 | XLSCAN.XLA | 3 |
| ServerProtect | 2 | ScanPM | 3 |
| XLSCAN.XLA | 2 | InocuLAN | 2 |
| スキャンワクチン | 1 | ServerProtect | 2 |
| IBM AntiVirus | 1 | クリーンワクチン | 1 |
| LANDesk | 1 | NetShield LX | 1 |
| NetShield LX | 1 | SWEEP | 1 |
| SWEEP | 1 | ||
| ※NAV for Mac(SAM) | 29 | ※NAV for Mac(SAM) | 30 |
| ※BugScan | 1 | ※AutoStartHuntert | 1 |
| ※BugScan | 1 |
今回、IPAに初めて届出があったウイルスを簡単に説明する。
「W97M/Protected」(Word97Macro/Protected)
このウイルスは、マイクロソフト社のWord(以下MSWord)を介して感染するウイ
ルスである。
このウイルスに感染したデータファイルを読み込むとそのMSwordに感染する。
毎年8月30日に文書の「保存」と「名前をつけて保存」を行うと発病し、次の
ようなメッセージを表示し、パスワードを要求する。
WM.MALAYSIA 1998 You are lucky!!! You have met WM.MALAYSIA 1998!!! WM.MALAYSIA 1998 is Malaysian's first MACRO VIRUS. It is written by a young college student -- BAD LOGIC. Please ENTER CORRECT password
パスワード「WM.MALAYSIA 1998」を入力しないと、保存することができない。
「W97M/Chack」(Word97Macro/Chack)
このウイルスは、マイクロソフト社のWord(以下MSWord)を介して感染するウイ
ルスである。
このウイルスに感染したデータファイルを読み込むとそのMSwordに感染する。
毎週土曜日にワードを終了しようとすると発病し、画像を張りつけたフォームを
表示する。
画像の内容は、2人の男の写真が浮き彫り処理されているモノクロ画像である。
「WM/Nottice」(WordMacro/Nottice)
このウイルスは、マイクロソフト社のWord(以下MSWord)を介して感染するウイ
ルスである。
このウイルスに感染したデータファイルを読み込むとそのMSwordに感染する。
発病は、12月13日に感染文書を開くと新規文書を作成し、そこに下記のメッセー
ジを全画面最大化で表示して停止する。(ワードがキー入力を受けつけなくなる)
IMPORTAT NOTTICE! HANSSI A. A. IS MARRIED WITH A LOSSER.
(b)届出の感染機種別件数は次のとおりである。一番多い届出は、IBM及びその互換機で、 FDのみの感染を除く約83%の割合を占めている。
機 種 |
届 出 件 数 |
||
| '99/1 | '98合計 | ||
| NEC 98機 | 日電 PC-98シリーズ | 12 | 198 |
| IBM 機 互換機 |
IBM機 | 14 | 149 |
| 各社 IBM互換機 | 100 | 1174 | |
| MAC機 | APPLE Macintoshシリーズ | 11 | 201 |
注)
1.複数機種感染の届出を含む。 FDのみの感染は62件。
2.各社IBM互換機には、NEC PC-98NXシリーズを含む。
(c)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、 約62%の割合を占めている。
届 出 者 |
届 出 件 数 |
|
| '99/1 | '98合計 | |
| 一般法人ユーザ | 122 | 1595 |
| 情 報 産 業 | 41 | 292 |
| 個 人 ユ ー ザ | 20 | 75 |
| 教育・研究機関 | 15 | 73 |
(d)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて東北地方、中部地方の順となっている。
地 域 |
届 出 件 数 | |
| '99/1 | '98合計 | |
| 北海道 地 方 | 3 | 21 |
| 東 北 地 方 | 24 | 45 |
| 関 東 地 方 | 130 | 1366 |
| 中 部 地 方 | 19 | 204 |
| 近 畿 地 方 | 16 | 200 |
| 中 国 地 方 | 4 | 95 |
| 四 国 地 方 | 0 | 33 |
| 九 州 地 方 | 2 | 71 |
(e)被害届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。
感 染 経 路 |
届 出 件 数 | |
| '99/1 | '98合計 | |
| 外部からの媒体で感染したケース | 66 | 668 |
| メールにより感染したケース | 66 | 778 |
| 海外からの媒体で感染したケース | 3 | 32 |
| 海外からのメールにより感染したケース | 3 | 48 |
| ネットワークからのダウンロードにより感染したケース | 9 | 77 |
| 不 明 | 51 | 432 |
(f)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。FD のみの感染は、FDを使用前に検査し、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。
感 染 台 数 |
届 出 件 数 | |
| '99/1 | '98合計 | |
| FDのみ感染 | 62 | 416 |
| 1台 | 84 | 1000 |
| 2台以上 5台未満 | 30 | 373 |
| 5台以上10台未満 | 11 | 129 |
| 10台以上20台未満 | 7 | 58 |
| 20台以上50台未満 | 2 | 39 |
| 50台以上 | 2 | 20 |
特定日発病ウイルスについて
ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPAに届け出されたウイルスの中で、
2月6日〜3月31日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げた。
発病してからではデータを破壊される等修復が困難となるので市販のワクチンソフト等を用いて、発病する前に発見・駆除することを望む。(駆除方法についてはIPAまで)
以上