1997年8月8日 情報処理振興事業協会 マクロウイルスによる被害届出急増に対する対策の検討について ●IPA(情報処理振興事業協会・石井賢吾理事長)は、急激な増加の一途を辿るコ ンピュータウイルス被害届出状況の対策を検討するため、各協会、団体ならびにハー ド、ワクチンメーカーの協力により '97年7月22日「コンピュータウイルス対策 委員会/コンピュータウイルス対策技術検討委員会の合同委員会」を開き、対策案を とりまとめた。 コンピュータウイルス被害届出の急増は下記図−1に示すように大半がマクロ感染 型ウイルス(マクロウイルス)による被害の増加によるものである。 400+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |図−1:届出件数の月別推移[ウイルスタイプ別] +−−+| | *マクロ感染型 | || | #従来型 +−−+ | || 300|--------------------------------------------------| |--| || | | | | || | | | |*241|| | +−−+ |*218| | || 200|------------------------------+−−+--| |--| |--| || | | | | | | | | || | | *98| |*150| | | | || | | | | | | | |#124|| 100|--------------------+−−+--|#110|--| |--|#107|--| || |+−−+ +−−+ | *52| | | | #91| | | | || || *12| | *14| | | | | | | | | | || || #51| | #47| | #53| | | | | | | | || 0++−−+−+−−+−+−−+−+−−+−+−−+−+−−+−+−−++ 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 このマクロウイルスは、従来までのコンピュータウイルスと異なり次のような事項 に注意して対策をとることが重要である。 ・ネットワークを媒介に広まるケースがかなりの割合を占めている。 ・従来までのコンピュータウイルスよりも速いスピードで全世界に広まっている。 ・亜種が多数出現しているため正しい情報がユーザに伝わりにくい。 これらの事項を踏まえて、ウイルス対策委員会の検討結果より以下に示す具体適方 針により対策を行っていく。 (1)ユーザーにおけるウイルス対策を徹底するために、ソフトウエアベンダーやハ ードメーカーに対し、各社の製品に、ウイルス対策7箇条やIPAの連絡先を明記し た案内を添付するよう協力を要請する。 (2)IPAがワクチンソフト等のウイルス対策に関しユーザーに対する一元的情報 提供の窓口となる。具体的にはIPAのWebページに各ワクチンメーカーの情報提 供Webサイトへのリンクを張ること等を検討して、IPAを中心にユーザに正しい マクロウイルスの情報を迅速に伝えられるようにしていく。 (3)ウイルス対策のユーザー啓発のためにIPAと各通産局の共催で全国規模のウ イルス対策セミナーを開催する。 このような、マクロウイルス対策を重視する観点で、一般ユーザが実状に即したウ イルス対策を的確に行うためのガイダンスとして「パソコン・ユーザのためのウイル ス対策7箇条」を作成したので次頁に示す。ウイルス感染の予防及び早期発見に有効 に活用して対策をとられることを望む。 3頁以降に '97年7月のコンピュータウイルス被害の届出状況を示す。 問い合わせ先 IPA(情報処理振興事業協会) セキュリティセンター ウイルス対策室 TEL(03)3437-2301 FAX(03)3437-2537 e-mail:virus@adm.ipa.go.jp +−−−−+ |添付資料| 1997年8月8日 +−−−−+ 情報処理振興事業協会 パソコン・ユーザのためのウイルス対策7箇条 1.最新のワクチンソフトを活用すること ワクチンソフトを用いてウイルスの有無を検査する。ウイルスを駆除するものも市販されているので活用する。ウイルスは、日々新種が発見されているので、ワクチンソフトは常に最新バージョンのものにアップデートを行うこと。パソコン等の購入時に添付されているワクチンソフトは、新種のウイルスに対応できない場合が多いので、アップグレードを行ってから使用することが必要である。 2.万一のウイルス被害に備えるためデータのバックアップを行うこと 万一のウイルス被害に対処するため、日頃からデータのバックアップをとる習慣をつける。また、アプリケーションプログラムのオリジナル(FDもしくはCD)は大切に保存しておく。万一、ウイルスによりハードディスクの内容が破壊された場合には、オリジナルから再インストールすることで復旧することができる。 3.ウイルスの兆候を見逃さず、ウイルス感染の可能性が考えられる場合ウイルス検査を行うこと (1)システムが仕事中に突然止まる。 (2)システム起動できない。 (3)ファイルが無くなる。属性が勝手に変わる。 (4)プログラムサイズやタイムスタンプなどがオリジナルと異なる。 (5)ユーザの意図しない不自然なディスクアクセスがある。 (6)MSwordやMSExcel で文書ファイルを扱う時に、 ・数字だけのダイアログボックスが表示される。 ・文書ファイルの内容が勝手に変更される。 ・マクロの表示や編集ができない。 ・書き込み禁止のエラー表示時にマクロ命令が表示される。 ・システム起動時に表示画面の色が以前と変わっている。 ・ステータスバーに文字列が表示され左右に動く。 ・メニューの文字列が変更されている。 ・ユーザの意図しない印刷が行われる。 (7)直感的にいつもと何かが違うと感じる。 4.メールの添付ファイルはウイルス検査後開くこと 受け取った電子メールに添付ファイルが付いている場合は、ウイルス検査を行った後に開く。また、電子メールを相手に送信する前にはウイルス検査を行う習慣をつける。 5.ウイルス感染の可能性のあるファイルを扱う時は、マクロ機能の自動実行は行わないこと 近年、マイクロソフト社のMSWordとMSExcel で作成されたファイルのマクロウイルス(マクロ命令で記述されたウイルス)感染件数が激増している。この対策として、文書ファイルを開くときにマクロ機能を無効にするアドインソフトの提供が、マイクロソフト社のWebサイト(http://www.microsoft.co.jp/SECURITY/)に掲載されているので、ダウンロードして活用する。マクロの自動実行を止めさせることができるので、この方法を使うことで感染を防ぐことができる。 6.外部から持ち込まれたFD及ダウンロードしたファイルはウイルス検査後使用すること インターネットからファイルをダウンロードした場合は、ウイルス検査を行ってから実行する習慣をつける。圧縮形式のファイルの場合は、解凍後にウイルス検査を行う。また、解凍前にウイルス検査を行うことができるワクチンソフトもあるので、有効に活用する。 7.コンピュータの共同利用時の管理を徹底すること オフィスなどで、複数の人が使用するコンピュータは、誰がいつ使用しているか等の利用者管理を万全にする。 以 上 コンピュータウイルス被害の届出状況( '97年7月届出分)について (1)今までの届出状況 届出件数は、'90年4月通産省が告示した「コンピュータウイルス対策基準」に基づ いて、IPAが被害の届出機関に指定されてから受理した届出の件数である。今まで の届出件数は、ウイルスではないと判明した届出10件を除いて5070件となる。 〔 届 出 件 数 の 月 別 推 移 〕 +−−−−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | 月 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 | +−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |月別件数| 60 57 100 200 230 299 353 | | +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 60 217 647 1299 | |97年|年別累計| 117 417 946 | | +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 全累計|3831 3988 4418 5070 | | | | 3888 4188 4717 | +−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |月別件数| 36 85 91 92 52 66 54 35 43 51 93 57 | | +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 36 212 356 476 554 698 | |96年|年別累計| 121 304 422 511 605 755 | | +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 全累計|3052 3228 3372 3492 3570 3714 | | | | 3137 3320 3438 3527 3621 3771 | +−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |月別件数| 42 52 47 33 36 54 83 72 46 66 59 78 | | +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 42 141 210 347 465 590 | |95年|年別累計| 94 174 264 419 531 668 | | +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 全累計|2390 2489 2558 2695 2813 2938 | | | | 2442 2522 2612 2767 2879 3016 | +−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |月別件数| 82 158 185 102 81 99 84 61 81 86 66 42 | | +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | | 82 425 608 791 933 1085 | |94年|年別累計| 240 527 707 852 1019 1127 | | +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 全累計|1303 1646 1829 2012 2154 2306 | | | | 1461 1748 1928 2073 2240 2348 | +−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |月別件数| 23 43 39 32 49 83 97 120 120 81 92 118 | | +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |93年|年別累計| 23 66 105 137 186 269 366 486 606 687 779 897 | | +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 全累計| 347 429 510 690 930 1103 | | | | 390 461 593 810 1011 1221 | +−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | |月別件数| 3 10 32 8 29 19 20 20 31 19 38 24 | | +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |92年|年別累計| 3 13 45 53 82 101 121 141 172 191 229 253 | | +−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | 全累計| 74 84 116 124 153 172 192 212 243 262 300 324 | +−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ 注)表の届出件数は、ウイルスではないと判明した届出10件を除く。 '90年の届出件数は4月〜12月の9ヶ月間で14件。 '91年の届出件数は1月〜12月の12ヶ月間で57件。 (2)'97年7月の届出状況 7月のコンピュータウイルスの被害届出は 353件で過去最高となった。この中で最 も被害が大きかった届出は、ExcelMacro/Laroux に感染したもので、パソコン600 台に被害を与えたものであった。7月の被害届出の詳細は次のとおりである。 (a)今月、届出のあったウイルスは32種類であった。届出件数の多いウイルスはマ クロウイルスのExcelMacro/Laroux が 140件、WordMacro/Cap が76件となっている。 初めて届けられたウイルスは、ファイル感染型のキャスパー、Macintosh 系のT4の 2種類(表中の*印にて示す)である。(マクロウイルス241件、従来型124件) +−−+−−−−−−−−−−+−−−−+−−−−−−−−−−−−−−−−−+ | | |届出件数| 感染した機種 | | | +−−−−+−−−+−−−−+−−−−+−−−+ |項番| ウイルス名 |'97/7 |IBM 機|98