第12-06-242号
掲載日:2012年 4月 4日
独立行政法人情報処理推進機構
技術本部 セキュリティセンター
IPA (独立行政法人情報処理推進機構、理事長:藤江 一正)は、2012年3月および2012年第1四半期のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況をまとめました。
(届出状況の詳細PDF資料はこちら)
1. 今月の呼びかけ
「 MyJVNバージョンチェッカを活用して脆弱(ぜいじゃく)性を解消しましょう! 」
2月に引き続き、3月にも「偽セキュリティ対策ソフト」型ウイルスについての相談・届出が多く寄せられています。3月は特に、感染被害に遭った利用者からの相談が目立ちました。Windows以外のソフトウェアのアップデートを怠っていたことが主たる原因と思われるため、脆弱性対策が急務です。
脆弱性対策は、ウイルス対策と並行して実施すべき最重要項目ですが、IPAが実施した意識調査※1によると「更新方法が分からない」という回答が4割以上、「手間がかかる」「更新するメリットがわからない」という回答がそれぞれ2割弱ありました。
脆弱性対策を効率的に実施するためのツールとして、IPAでは、「MyJVNバージョンチェッカ」を無償で公開しています。以下では、脆弱性対策の重要性を解説するとともに、MyJVNバージョンチェッカの使い方を解説します。
(※1)「2011年度 情報セキュリティの脅威に対する意識調査」報告書
http://www.ipa.go.jp/security/fy23/reports/ishiki/

図1-1:「偽セキュリティ対策ソフト」型ウイルスに関する相談件数推移
3月の相談数44件の内、37件がウイルス感染被害に遭っていたものでした。ウイルス感染した相談者からは、「セキュリティソフトを入れていたのに感染した」「自分でファイルをダウンロードしたり、プログラムをインストールしたりしていないのに、いつの間にか感染していた」という声が聞かれました。また、相談者の中には、「Windows Updateは実施していたが、その他のソフトウェアのアップデートはした記憶が無い」という方もいました。これらの相談における、ウイルス感染被害の原因は、脆弱性を悪用されたことによるものである可能性が非常に高いと考えられます。脆弱性対策を確実に実施することが重要です。
Adobe Flash Player |
Adobe Reader |
JRE |
|
2011年10月 |
1 |
0 |
1 |
2011年11月 |
1 |
0 |
0 |
2011年12月 |
0 |
0 |
1 |
2012年1月 |
0 |
1 |
0 |
2012年2月 |
1 |
0 |
1 |
2012年3月 |
2 |
0 |
0 |

図1-2:IPAのトップページ(左)と、「セキュリティ」トップページ(右)

図1-3:「MyJVN トップページ」と「MyJVNバージョンチェッカ起動」ボタン

図1-4:MyJVNバージョンチェッカ 初期画面

図1-5:MyJVNバージョンチェッカ 実行結果画面

図1-6:MyJVN トップページ

図1-7:「システム管理者の方へ」ページ
主なソフトウェアが最新かどうかについては、前述の「MyJVNバージョンチェッカ」で確認可能ですが、OS(Windows)の最新化は別途実施する必要があります。
以下に実施方法を簡単に説明します。

図1-8:Windows XPにおける「Microsoft Update」

図1-9:Windows VistaとWindows 7における「Windows Update」
3月のウイルスの検出数※1は、15,841個と、2月の15,804個から0.2%の増加となりました。また、3月の届出件数※2は、866件となり、2月の833件から4.0%の増加となりました。
※1 検出数 : 届出にあたり届出者から寄せられたウイルスの発見数(個数)
※2 届出件数: 同じ届出者から寄せられた届出の内、同一発見日で同一種類のウイルスの検出が複数ある場合は、1日何個検出されても届出1件としてカウントしたもの。
・3月は、寄せられたウイルス検出数15,841個を集約した結果、866件の届出件数となっています。

図2-1:ウイルス検出数

図2-2:ウイルス届出件数
3月は、特に目立った動きはありませんでした(図2-3参照)。
※ ここでいう「不正プログラムの検知状況」とは、IPAに届出られたものの中から「コンピュータウイルス対策基準」におけるウイルスの定義に当てはまらない不正なプログラムについて集計したものです。
※ コンピュータウイルス対策基準:平成12年12月28日(通商産業省告示 第952号)(最終改定)(平成13年1月6日より、通商産業省は経済産業省に移行しました。)
「コンピュータウイルス対策基準」(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/CvirusCMG.htm
図2-3:不正プログラムの検知件数推移
| 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 届出(a) 計 | 15 | 7 | 7 | 8 | 13 | 5 | |
| 被害あり(b) | 8 | 5 | 7 | 7 | 9 | 4 | |
| 被害なし(c) | 7 | 2 | 0 | 1 | 4 | 1 | |
| 相談(d) 計 | 46 | 69 | 42 | 35 | 37 | 54 | |
| 被害あり(e) | 7 | 14 | 13 | 9 | 14 | 10 | |
| 被害なし(f) | 39 | 55 | 29 | 26 | 23 | 44 | |
| 合計(a+d) | 61 | 76 | 49 | 43 | 50 | 59 | |
| 被害あり(b+e) | 15 | 19 | 20 | 16 | 23 | 14 | |
| 被害なし(c+f) | 46 | 57 | 29 | 27 | 27 | 45 | |
3月の届出件数は5件であり、そのうち何らかの被害のあったものは4件でした。
不正アクセスに関連した相談件数は54件であり、そのうち何らかの被害のあった件数は10件でした。
被害届出の内訳は、侵入2件、なりすまし2件でした。
「侵入」の被害は、ウェブページが改ざんされていたものが1件、侵入後に踏み台として悪用されていたものが1件でした。侵入の原因は、脆弱なパスワード設定が1件でした(他は原因不明)。
「なりすまし」の被害は、フリーのウェブメールに本人になりすまして何者かにログインされていたものが1件、オンラインショッピングに第三者にログインされ、サービスを勝手に利用されていたものが1件、でした。
| 事 例 |
|
|---|---|
解 説 ・ 対 策 |
FTPアカウントを盗み取られた原因は今のところ不明ですが、1つの可能性として、ウェブページ管理用のパソコンがFTPアカウントを盗み出すウイルスに感染したために、第三者にFTPアカウント情報を悪用されてウェブページを改ざんされた可能性があります。 |
| 事 例 |
|
|---|---|
解 説 ・ 対 策 |
知らないサイトからパスワード再設定通知メールが来た件は、手違いで送信されたものかもしれませんが、何者かが相談者のことを狙っている可能性があります。 しかし、いずれにしても何者かがなりすましログインをしているので、既読メールなどを残していた場合は、全て悪意ある者に読まれてしまったと考える必要があります。 パスワードが盗まれた原因として、IDとパスワードを盗むウイルスの感染被害、IDなどから推測された、家族や知人などに教えている、自分が管理していない、または共用で使用しているパソコンからのウェブメール利用による流出、などが考えられます。また、同じIDとパスワードを、別のウェブサービス(例えばブログやショッピングサイトなど)にも使っていた場合、そちらから情報が流出したことにより、今回のウェブサービスに被害が及んだ可能性も考えられます。 被害に遭ったウェブサービスのパスワードはより複雑で、推測されにくいものに変更してください。さらに、同じパスワードを使用しているウェブサービスがあれば、全て異なるパスワードに変更してください。 (ご参考)
|
3月のウイルス・不正アクセス関連相談総件数は772件でした。そのうち『ワンクリック請求』に関する相談が130件(2月:218件)、『偽セキュリティソフト』に関する相談が44件(2月:24件)、Winny に関連する相談が6件(2月:25件)、「情報詐取を目的として特定の組織に送られる不審なメール」に関する相談が3件(2月:2件)、などでした。
| 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 合計 | 1,496 | 1,420 | 1,312 | 1,302 | 1,073 | 772 | |
| 自動応答システム | 865 | 746 | 790 | 760 | 645 | 427 | |
| 電話 | 564 | 561 | 451 | 485 | 362 | 287 | |
| 電子メール | 55 | 102 | 65 | 49 | 62 | 49 | |
| その他 | 12 | 11 | 6 | 8 | 4 | 9 | |
(備考)
IPA では、「情報セキュリティ安心相談窓口」を開設し、コンピュータウイルス・不正アクセス、Winny 関連、その他情報セキュリティ全般についての相談を受け付けています。
| メール | ![]() (これらのメールアドレスに特定電子メールを送信しないでください) |
| 電話番号 | 03-5978-7509 (24時間自動応答、ただし IPA セキュリティセンター員による相談受付は休日を除く月〜金、10:00〜12:00、13:30〜17:00のみ) |
| FAX | 03-5978-7518 (24時間受付) |
「自動応答システム」 : 電話の自動音声による応対件数
「電話」 : IPA セキュリティセンター員による応対件数
合計件数には、「不正アクセスの届出および相談の受付状況」における『相談(d) 計』件数を内数として含みます。

図4-1:ワンクリック請求相談件数の推移
| 相談 | 動画を見ていたら「Security Shield」という画面が出てきた。その後も、ネットにつないでいると、画面に邪魔な英文のメッセージが出てくる。以前にも相談したことがあるが、その時は自分でソフトをダウンロードしてインストールしてしまったことが原因だった。今回は、自分で何かクリックした覚えがない。何が原因か? |
|---|---|
| 回答 | 最近、「ドライブ・バイ・ダウンロード攻撃」によるウイルス感染事例が多くみられます。これは、ウェブサイトを閲覧した時に、パソコン利用者の意図に関わらず、ウイルスなどの不正プログラムをパソコンにダウンロードさせる攻撃のことをいいます。この攻撃では、パソコンの OS 、ブラウザや各ソフトウェアなどの脆弱性が悪用されるため、利用者が意識的にクリックしたりソフトをインストールしたりしなくても、ウイルスに感染してしまいます。
|
| 相談 | セキュリティソフトをインストールし、ウイルス定義ファイルを常に最新にしていたパソコンがウイルスに感染したようだ。IPAの「MyJVNバージョンチェッカ」で調べたら「JRE」と「Adobe Flash Player」が最新でないことが分かった。セキュリティソフトを適切に使っていてもウイルス感染するのか? |
|---|---|
| 回答 | 一般的に、新しいウイルスが発見されると、セキュリティソフトで検知できるようになるまで若干時間がかかります。つまり、セキュリティソフトを入れていても、ウイルスを検知できない場合があるということです。ウイルスがパソコンに存在する脆弱性を悪用するタイプだった場合、セキュリティソフトが入っていてもウイルスに感染してしまいます。対策としては、脆弱性の解消が最も効果的です。
|
一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター:http://www.jpcert.or.jp/
@police:http://www.cyberpolice.go.jp/
フィッシング対策協議会:http://www.antiphishing.jp/
株式会社シマンテック:http://www.symantec.com/ja/jp/
トレンドマイクロ株式会社:http://jp.trendmicro.com/jp/home/
マカフィー株式会社:http://www.mcafee.com/japan/
株式会社カスペルスキー:http://www.viruslistjp.com/analysis/
独立行政法人 情報処理推進機構 技術本部 セキュリティセンター
TEL:03-5978-7591 FAX:03-5978-7518
E-mail: ![]()
(このメールアドレスに特定電子メールを送信しないでください)
URL:http://www.ipa.go.jp/security/
| 2012年 4月 9日 | 2012年第1四半期[1月〜3月]コンピュータ不正アクセス届出状況 文章修正 |
|---|---|
| 2012年 4月 4日 | 掲載 |