第12-04-240号
掲載日:2012年 2月 3日
独立行政法人情報処理推進機構
技術本部 セキュリティセンター
IPA (独立行政法人情報処理推進機構、理事長:藤江 一正)は、2012年1月のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況をまとめました。
(届出状況の詳細PDF資料はこちら)
1. 今月の呼びかけ
「 スマートフォンでもワンクリック請求に注意! 」
2012年1月、ウェブサイト閲覧者のパソコンにウイルスを感染させ、アダルトサイトの料金請求画面を貼り付けて消えないようにしたとして、ワンクリック請求を行っていた業者が不正指令電磁的記録供用(いわゆる、コンピューターウイルスの供用)容疑で逮捕されました。
また、同月に、Android OSのスマートフォンで、不正なアプリ(以下、ここでは便宜上、不正なアプリを「ウイルス」と呼びます)を用いて、パソコンのワンクリック請求のように料金請求画面を出し続けるという事例が確認されました。この事例では、ウイルスに感染すると、当該スマートフォンの電話番号やメールアドレスなどの情報が、自動的にワンクリック請求を行っている業者に伝わる仕組みになっていました。こうなると、ワンクリック請求を行っている業者が、ウイルス感染したスマートフォンの所有者にいつでも連絡することができてしまうため、パソコンにおける被害状況と比較し、手口が悪質化しているといえます。
ここでは、このような手口を明らかにするとともに、被害に遭わないための対策を解説します。

図1-1:スマートフォンがウイルスに狙われつつあるイメージ図
スマートフォン利用者を、ワンクリック請求を行うウェブサイトに誘導する手口としては、以下の方法が考えられます。
IPAが検証したスマートフォンにウイルスを感染させる手口は、以下の手順で行われていました。ここでは、Android OSを使用している「GALAXY Tab SC-01C(Android OS 2.2)」で確認した画面を元に説明します。

図1-2:ワンクリック請求を行うウェブサイトの入り口



図1-9:「このアプリケーションに許可する権限:」の表示例


図1-13:追加されたアプリのアイコンの表示例

図1-14:SMSで届いた督促メッセージ例
スマートフォンにセキュリティアプリを入れて最新の状態に保っておくことで、このようなウイルスの感染を事前に食い止めてくれる場合があります。
(ii)信頼できない場所からアプリをインストールしない設定にしておくスマートフォンで使用するアプリは、Android端末であればアプリの審査や不正アプリの排除を実施している場所(米Google社の「Android Market」)など信頼できる場所からインストールするようにしてください。そのために、スマートフォンに「提供元不明のアプリ」をインストールしない設定にした状態で使用するようにしてください。どうしても提供元不明のアプリをインストールしなければならないときは、一時的にこの設定を解除して、目的のアプリをインストールしたのち、再度設定を元に戻すことを忘れないでください。
(iii)アプリをインストールする前に、アクセス許可を確認するアプリをインストールする際に表示される「このアプリケーションに許可する権限:」の一覧には必ず目を通し、不自然な項目や疑問に思う項目の許可を求められた場合には、そのアプリのインストールを中止するようにしてください(図1-15)。

図1-15:「このアプリケーションに許可する権限:」の表示例
万が一スマートフォンがこのようなウイルスに感染してしまった場合、現状ではインストールしたアプリを削除することで、料金請求画面をふたたび表示させないようにすることができます。
アプリの削除方法はAndroid OSのバージョンや機種によって異なります。詳細については、お使いの通信キャリアや携帯電話ショップ等にお問い合わせください。
しかし、スマートフォンの電話番号やメールアドレスが伝わっているため、ワンクリック請求を行っている業者から連絡がくる可能性があります。当該業者から電話やメールで連絡が来たとしても、会話をしたり、メールを返信したりしないでください。それでも執拗に連絡が来る場合は、最寄りの消費生活センターや、警察に相談することをお勧めします。
(ご参考)
1月のウイルスの検出数※1は、28,459個と、12月の13,259個から114.6%の増加となりました。また、1月の届出件数※2は、941件となり、12月の764件から23.2%の増加となりました。
※1 検出数 : 届出にあたり届出者から寄せられたウイルスの発見数(個数)
※2 届出件数: 同じ届出者から寄せられた届出の内、同一発見日で同一種類のウイルスの検出が複数ある場合は、1日何個検出されても届出1件としてカウントしたもの。
・1月は、寄せられたウイルス検出数28,459個を集約した結果、941件の届出件数となっています。

図2-1:ウイルス検出数

図2-2:ウイルス届出件数
1月は、オンラインバンキングのID/パスワードを詐取するBANCOSという不正プログラムが多く検知されました(図2-3参照)。また、9月に大幅に増加したRLTRAPは、1月の検知数は7件だけに留まり、この攻撃は終息したと考えられます。
※ ここでいう「不正プログラムの検知状況」とは、IPAに届出られたものの中から「コンピュータウイルス対策基準」におけるウイルスの定義に当てはまらない不正なプログラムについて集計したものです。
※ コンピュータウイルス対策基準:平成12年12月28日(通商産業省告示 第952号)(最終改定)(平成13年1月6日より、通商産業省は経済産業省に移行しました。)
「コンピュータウイルス対策基準」(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/CvirusCMG.htm

図2-3:不正プログラムの検知件数推移
| 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 届出(a) 計 | 10 | 7 | 15 | 7 | 7 | 8 | |
| 被害あり(b) | 8 | 5 | 8 | 5 | 7 | 7 | |
| 被害なし(c) | 2 | 2 | 7 | 2 | 0 | 1 | |
| 相談(d) 計 | 37 | 31 | 46 | 69 | 42 | 35 | |
| 被害あり(e) | 13 | 8 | 7 | 14 | 13 | 9 | |
| 被害なし(f) | 24 | 23 | 39 | 55 | 29 | 26 | |
| 合計(a+d) | 47 | 38 | 61 | 76 | 49 | 43 | |
| 被害あり(b+e) | 21 | 13 | 15 | 19 | 20 | 16 | |
| 被害なし(c+f) | 26 | 25 | 46 | 57 | 29 | 27 | |
1月の届出件数は8件であり、そのうち何らかの被害のあったものは7件でした。
不正アクセスに関連した相談件数は35件であり、そのうち何らかの被害のあった件数は9件でした。
被害届出の内訳は、なりすまし4件、侵入2件、メールの不正中継1件、でした。
「なりすまし」の被害は、メールアカウント管理不備によりアカウントを使用されてスパムメールを送信されたものが2件、オンラインサービスのサイトに本人になりすまして何者かにログインされサービスを勝手に利用されていたものが1件、などでした。
「侵入」の被害は、コンテンツ管理ツールを悪用されてウェブページを改ざんされていたものが1件、PHPの設定不備を突かれてデータを盗み取られたものが1件、でした。侵入の原因は、脆弱なパスワード設定が1件、PHPの設定不備が1件、でした。
| 事 例 |
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|---|---|
解 説 ・ 対 策 |
自身の運営するメールサーバーがスパムメールの送信元や不正中継に悪用されると、今回のケースのようにブラックリストに載ってしまい、通常業務に支障が出ることもあります。ここでいうブラックリストとは、過去にスパムメール送信に悪用されたことのあるメールサーバーや、メール不正中継可能なメールサーバーの一覧です。
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| 事 例 |
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|---|---|
解 説 ・ 対 策 |
公開サーバーであれば、通常のアクセスだけではなく、攻撃の意図や悪意のあるアクセスもサーバーに到達するものと想定した対策が必要です。 サイト管理用ツールを社外から利用する運用形態の場合、ログインする時のパスワードを複雑で推測困難なものにすることが絶対に必要です。ログイン可能な接続元IPアドレスを制限することも有効です。 Tomcatに限らず、全ての機能やサービスについて定期的な棚卸しを勧めます。現状にそぐわない設定の修正や、不要な機能の削除など、公開サーバーの管理者は常にセキュリティ向上に努めてください。 (ご参考)
|
1月のウイルス・不正アクセス関連相談総件数は1,302件でした。そのうち『ワンクリック請求』に関する相談が338件(12月:333件)、『偽セキュリティソフト』に関する相談が18件(12月:8件)、Winny に関連する相談が11件(12月:7件)、「情報詐取を目的として特定の組織に送られる不審なメール」に関する相談が4件(12月:6件)、などでした。
| 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 合計 | 1,651 | 1,551 | 1,496 | 1,420 | 1,312 | 1,302 | |
| 自動応答システム | 958 | 936 | 865 | 746 | 790 | 760 | |
| 電話 | 639 | 554 | 564 | 561 | 451 | 485 | |
| 電子メール | 50 | 52 | 55 | 102 | 65 | 49 | |
| その他 | 4 | 9 | 12 | 11 | 6 | 8 | |
(備考)
IPA では、「情報セキュリティ安心相談窓口」を開設し、コンピュータウイルス・不正アクセス、Winny 関連、その他情報セキュリティ全般についての相談を受け付けています。
| メール | ![]() (これらのメールアドレスに特定電子メールを送信しないでください) |
| 電話番号 | 03-5978-7509 (24時間自動応答、ただし IPA セキュリティセンター員による相談受付は休日を除く月〜金、10:00〜12:00、13:30〜17:00のみ) |
| FAX | 03-5978-7518 (24時間受付) |
「自動応答システム」 : 電話の自動音声による応対件数
「電話」 : IPA セキュリティセンター員による応対件数
合計件数には、「不正アクセスの届出および相談の受付状況」における『相談(d) 計』件数を内数として含みます。

図4-1:ワンクリック請求相談件数の推移
主な相談事例は以下の通りです。| 相談 | パソコン上にアダルトサイトの請求画面が張りついて消えなくなった。 |
|---|---|
| 回答 | あなたが対処を依頼した組織は、IPAとは無関係の別の組織です。 (ご参考)
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| 相談 | いつの間にか、ウェブブラウザーの右下隅に広告が表示されるようになった。 |
|---|---|
| 回答 | お使いのウェブブラウザーに、広告を表示するためのアドオン(プラグインとも呼ばれる)が組み込まれたと考えられます。
|
一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター:http://www.jpcert.or.jp/
@police:http://www.cyberpolice.go.jp/
フィッシング対策協議会:http://www.antiphishing.jp/
株式会社シマンテック:http://www.symantec.com/ja/jp/
トレンドマイクロ株式会社:http://jp.trendmicro.com/jp/home/
マカフィー株式会社:http://www.mcafee.com/japan/
株式会社カスペルスキー:http://www.viruslistjp.com/analysis/
独立行政法人 情報処理推進機構 技術本部 セキュリティセンター
TEL:03-5978-7591 FAX:03-5978-7518
E-mail: ![]()
(このメールアドレスに特定電子メールを送信しないでください)
URL:http://www.ipa.go.jp/security/