2007年 5月 2日
独立行政法人 情報処理推進機構
セキュリティセンター(IPA/ISEC)
独立行政法人 情報処理推進機構(略称 IPA、理事長:藤原 武平太)は、2007年4月のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況をまとめました。
(届出状況の詳細PDF資料はこちら)
今月の呼びかけ:
「 サポートが終了したOSを搭載したPCの危険性を認識しよう!! 」
現在、一般で広く利用されている PC の OS (オペレーティングシステム)として、Windows XP、2000、98/Me、MacOS、Linux 等がありますが、Windows 98/Me は2006年7月に製造元のサポートが終了しています。
しかし、当機構のウイルス・不正アクセスの相談受付状況を見ますと、Windows 98/Me の製造元によるサポートが終了した後でも、表1のとおり Windows 98/Me 利用者からの相談件数の割合は減少しているものの、まだ1割弱の方から相談を受けています。また、当機構のウイルスの届出受付状況をみますと、Windows 98/Me の製造元によるサポートが終了した後でも、表2のように Windows 98/Me のユーザからの届出が2.5%ある状況です。
| OS 種別 | XP/Vista | 98/Me | 2000 | Mac OS |
Linux | その他 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2006年4〜7月 | 82.5% | 12.2% | 3.2% | 1.4% | 0.0% | 0.6% |
| 2006年8月〜2007年3月末 | 86.0% | 9.0% | 3.6% | 1.2% | 0.2% | 0.1% |
| 2006年度通年 | 85.1% | 9.8% | 3.5% | 1.3% | 0.1% | 0.3% |
| OS 種別 | XP/Vista | 98/Me | 2000 | Mac OS |
Linux | その他 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2006年4〜7月 | 72.5% | 1.3% | 5.0% | 2.5% | 2.5% | 16.3% |
| 2006年8月〜2007年3月末 | 89.3% | 2.5% | 8.2% | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
| 2006年度通年 | 83.7% | 2.1% | 7.1% | 0.8% | 0.8% | 5.4% |
一方、インターネット上には OS のぜい弱性(セキュリティホールとも呼ばれる)(*1)を狙った悪意のあるプログラムが数多く存在していますが、それらは Windows 98/Meのサポートが終了した今でも、Windows 98/Me だけを対象としたものではありませんが、Windows 98/Me でも不正行為を行うことができる悪意のあるプログラムが確認されております。
以上のような状況を踏まえまして、今回 Windows 98/Me といったサポートが終了した OS の利用の問題点等について緊急に呼びかけを行うことといたしました。
参考:サポートが終了した OS を搭載したPCを利用し続ける場合、以下のような問題が発生します。
(1)PCに新しいぜい弱性(*1)が発見されても、製造元からは修正プログラムが配布されません。ぜい弱性が発見されるたびに OS のぜい弱な部分が蓄積されていくこととなり、ぜい弱性だらけの PC になってしまいます。
(2)OS のサポート終了とともに、その OS の上で稼動するアプリケーションソフトの製造元もサポートを終了していくこととなります。特にウイルス対策ソフトは、製品自身のサポート終了とともにウイルスのパターン情報の更新もされなくなることが予想されることから、今後新たに出現する新種のウイルスに対応できなくなります。
(3)PC に何かトラブルが起きた場合、OS の製造元に問い合せてもサポート終了とともに「問い合せ対応」も終了することが多いため、OS のサポート終了後のトラブルについては自分で対応しなければならなくなります。
この様な状態の PC をインターネットに接続して利用した場合、以下のような被害が発生することが推測されます。
(1)「穴だらけの PC」をネットワークに接続した場合、当然ながらどこからでも自由に PC に侵入されてしまい、ウイルス感染、情報の漏えい等、いろいろな被害を受けることになります。しかも、通常はそれらの被害から PC を守るために導入しているウイルス対策ソフトも「ウイルスのパターン情報が更新されない」状態ですので、被害は広がるばかりになってしまいます。
(2)最近のインターネット上における攻撃は、ぜい弱性(*1)のある PC を狙ってくるのはもちろんですが、ぜい弱性のある PC に不正なプログラムを埋め込み、その PC を悪用してインターネットに接続している他の数多くの PC に迷惑メールを送りつけるなどの手口が増えてきています。このため、自分の PC のぜい弱性は自分自身の問題だけではすまなくなってきており、このような PC をインターネットに接続することは他の人にも迷惑をかけるということを認識してください。

したがって、サポートが終了した OS を搭載した PC を利用するということは、上述したように非常に危険な行為であるということをよく理解していただき、できることなら使用しないことが望ましいです。どうしてもお使いになりたい場合は、インターネットはもとより社内や家庭のネットワークにも接続しない状態で利用することをお勧めします。
(ご参考)
当機構のオープンソースソフトウェアセンター(OSS)では、現在お使いのOS等をLinux等のオープンソースに移行したいと考えている利用者に対して、注意事項や導入方法等を提言するための調査を行っています。
「情報セキュリティ早期警戒パートナーシップ」において取り扱われた脆弱性、および国内で利用されているソフトウェア等の製品に関する脆弱性を対象として、その概要や対策情報を収集・蓄積する「脆弱性対策情報データベース(JVN iPedia)」を2007年4月25日に公開しました。
JVN iPedia は、1998年に発見された脆弱性から収集を行い、2007年4月公表時点で約3,500件の脆弱性対策情報を蓄積しています。目的の脆弱性対策情報を容易に探すために検索機能 (キーワード、製品別、ID、日付、CVSS による深刻度) を備え、日々の情報収集を支援します。
IPA で行っているインターネット定点観測について、詳細な解説を行っています。
・ボットに感染したパソコンが多数存在! ボット駆除ツールで検査を!
ウイルスの検出数(※1)は、 約62万個と、3月の約66万個から5.4%の減少となりました。また、4月の届出件数(※2)は、3,199件となり、3月の2,933件から9.1%の増加となりました。
※1 検出数 : 届出にあたり届出者から寄せられたウイルスの発見数(個数)
※2 届出件数: 同じ届出者から寄せられた届出の内、同一発見日で同一種類のウイルスの検出が複数ある場合は、1日何個検出されても届出1件としてカウントしたもの。
・ 4月は、寄せられたウイルス検出数約62万個を集約した結果、3,199件の届出件数となっています。
検出数の1位は、W32/Netsky で約46万個 、2位は W32/Looked で約6万個、3位は W32/Sality で約2万個でした。


| 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 届出(a) 計 | 24 | 10 | 32 | 23 | 13 | 15 | |
| 被害あり(b) | 8 | 9 | 22 | 14 | 9 | 12 | |
| 被害なし(c) | 16 | 1 | 10 | 9 | 4 | 3 | |
| 相談(d) 計 | 30 | 40 | 52 | 50 | 43 | 31 | |
| 被害あり(e) | 20 | 23 | 25 | 28 | 20 | 20 | |
| 被害なし(f) | 10 | 17 | 27 | 22 | 23 | 11 | |
| 合計(a+d) | 54 | 50 | 84 | 73 | 56 | 46 | |
| 被害あり(b+e) | 28 | 32 | 47 | 42 | 29 | 32 | |
| 被害なし(c+f) | 26 | 18 | 37 | 31 | 27 | 14 | |
4月の届出件数は15件であり、そのうち被害のあった件数は12件でした。
不正アクセスに関連した相談件数は31件(うち4件は届出件数としてもカウント)であり、そのうち何らかの被害のあった件数は20件でした。
被害届出の内訳は、侵入7件、アドレス詐称2件、その他(被害あり)3件でした。
侵入届出の被害内容は、フィッシング(*2)に悪用するためのコンテンツを設置されていたものが3件、サイト内データの改ざんが2件、外部サイトを攻撃するための踏み台にされそうになっていたものが2件でした。侵入の原因で、プログラムのぜい弱性(*1)を突かれたものが5件ありました(OS 1件、SQL インジェクション(*3) 1件、FTPサーバ 1件、コンピュータの遠隔操作ソフト 2件)。
| 事 例 |
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|---|---|
| 解 説 ・ 対 策 |
攻撃ツールを埋め込まれ、外部攻撃のための踏み台サーバとして悪用されてしまった例です。特に、"Windows のアニメーションカーソル処理のぜい弱性"を突くゼロデイ攻撃(*6)の踏み台となっていた点は深刻な問題と言えます。
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| 事 例 |
|
|---|---|
| 解 説 ・ 対 策 |
侵入を許してしまった場合、原因が分からなければ何度でも同じ手口で侵入されてしまいます。この事例では、使っていないと思っていた、ぜい弱性を含んでいたプログラムが動いていたのが原因でした。不要なプログラムは削除し、不要なサービスは停止するとともに、ログのチェックを密にし、侵入の兆候に一刻も早く気付くことが大切です。 (参考)
|
4月の相談総件数は827件でした。そのうち『ワンクリック不正請求』に関する相談が205件(3月:316件)、『セキュリティ対策ソフトの押し売り』行為に関する相談が17件(3月:23件)、Winny に関連する相談が7件(3月:5件)などでした。
| 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 合計 | 711 | 680 | 946 | 1,019 | 1,127 | 827 | |
| 自動応答システム | 423 | 394 | 582 | 603 | 697 | 486 | |
| 電話 | 214 | 222 | 324 | 336 | 376 | 279 | |
| 電子メール | 72 | 59 | 39 | 75 | 54 | 58 | |
| その他 | 2 | 5 | 1 | 5 | 0 | 4 | |
※IPA では、コンピュータウイルス・不正アクセス、Winny 関連、その他情報セキュリティ全般についての相談を受け付けています。
メール:
(ウイルス)、
(不正アクセス)
(Winny緊急相談窓口)、
(その他)
電話番号: 03-5978-7509(24時間自動応答、ただし IPA セキュリティセンター員による相談受付は休日を除く月〜金、10:00〜12:00、13:30〜17:00のみ)
FAX: 03-5978-7518 (24時間受付)
※ 「自動応答システム」 : 電話の自動音声による応対件数
「電話」 : IPA セキュリティセンター員による応対件数
※ 合計件数には、「不正アクセスの届出および相談の受付状況」における『相談(d) 計』件数を内数として含みます。


主な相談事例は以下の通りです。
| 相談 | 見覚えの無いファイルやフォルダがあるなど、いつも状況が違うのに気が付きました。ウイルス対策ソフトのウイルス定義ファイルを最新にしようとしても、途中で止まってしまい、更新できません。どうすれば良いのでしょうか。 |
|---|---|
| 回答 | 既に、新種のウイルスに感染している可能性があります。無償のオンラインウイルススキャンや、スパイウェア(*8)検知サービス、ボット(*9)駆除ツールを利用してみましょう。しかし、ウイルス対策ソフトの動作を邪魔するような悪質なウイルスに感染していると、パソコンを初期化するしかない場合もあります。 (ご参考)
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| 相談 | 4月の始めに、以前から興味のあった Winny を、よく分からないまま使用。その後、ウイルスチェックしたら数種の Antinny ウイルスが検出された。アップロードフォルダを指定するための情報ファイルが存在していないので、情報流出はありませんよね? |
|---|---|
| 回答 |
この時点で情報流出が無いと決め付けるのは早計です。Winny を動かしていたパソコン内に、漏れては困るデータがあったのであれば、それらが漏れたかも知れないという前提で行動すべきです。まずは検出されたウイルスの名前から、その動作を調べるとともに、影響が及ぶと思われる範囲に連絡を入れ、適切な対処をしましょう。
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インターネット定点観測(TALOT2)によると、2007年4月の期待しない(一方的な)アクセスの総数は、10観測点で431,643件ありました。1観測点で1日あたり350の発信元から1,439件のアクセスがあったことになります。
TALOT2 での1観測点の環境は、インターネットを利用される一般的な接続環境と同一なので、インターネットを利用される皆さんの環境へも同じくらいの一方的なアクセスがあると考えられます。言い換えれば、あなたのコンピュータは、毎日、平均して、350人の見知らぬ人(発信元)から、発信元一人当たり4件の不正と思われるアクセスを受けていると言うことになります。

2006年11月〜2007年4月までの各月の1観測点での1日あたりの平均アクセス数および、それらのアクセスの平均発信元数を図1.1に示します。この図を見ると、期待しない(一方的な)アクセスは、2007年3月に比べて多少の増加傾向ですが、全体的なアクセス内容については、定常化していると言えます。
2007年4月13日に、Windows 2000 Server やWindows Server 2003 が備えている、DNS(Domain Name System)サーバーサービスのぜい弱性がマイクロソフトから発表されました。このぜい弱性に対する攻撃(検証)コードが公開されており、ぜい弱性を狙った新しいワームや、攻撃コードが仕込まれたボットが広がっている可能性があります。
<参考情報>図4.2、図4.3に、445/tcp、139/tcpポートへの発信元地域別アクセス数の変化を示します。これらの図を見ると、マイクロソフトから発表のあった4月13日以降に、国内を発信元とするアクセスが増加しているのがわかります。


2007年4月25日に、総務省と経済産業省の連携プロジェクト、「ボット対策プロジェクト」の取り組み対策における中間発表があり、2006年12月から2007年3月末までに、ISP(インターネットサービスプロバイダ)を通じて、約6000名のユーザーに対しボット感染の注意喚起メールを送った所、約3割のユーザーが駆除ツールをダウンロードしたとの発表がありました。
これを見てもわかる様に、わかっているだけで約7割のユーザーが、いまだにボット感染しているコンピュータを起動していると言うことになります。
お問い合わせ先:
独立行政法人 情報処理推進機構 セキュリティセンター(IPA/ISEC)
(ISEC:Information technology SEcurity Center)
TEL:03-5978-7527 FAX:03-5978-7518
E-mail: ![]()
URL:http://www.ipa.go.jp/security/