2006年11月 2日
独立行政法人 情報処理推進機構
セキュリティセンター(IPA/ISEC)
独立行政法人 情報処理推進機構(略称 IPA、理事長:藤原 武平太)は、2006年10月のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況をまとめました。
(届出状況の詳細PDF資料はこちら)
今月の呼びかけ:
「 心当たりのないメールは、興味本位で開かずにすぐ捨てよう!!」
――― 迷惑メールでウイルスなどの被害に遭わないように!! ―――
最近、見知らぬ差出人からの心当たりのないメールを受け取り、メール本文中に記載されているホームページのアドレスをクリックすることにより誘導されたホームページの表示に従ってクリックした結果、ウイルスを取り込まされる被害に遭ったなどの相談が IPA に多く寄せられています。(3.相談受付状況 事例(i)参照)
届いたメールが自分に関係ないものと知りつつ興味本位で添付ファイルを開くことは、ウイルスに感染するなどの被害に遭う可能性が高くなります。また、単なる広告メールのように見せかけて利用者を騙し、クリックさせてウイルスやスパイウェアなどを取り込ませるなど、手口が巧妙になっています。
ひとたび感染するとパソコンを乗っ取られたり、あるいは、個人情報が漏えいするなどの被害に遭う危険性があります。そもそも、どこの誰から届いたかわからない、自分に関係のないと思われる怪しいメールは、本文を開いて見ることをせず、すぐに捨てることが有効な対策となります。
怪しいメールには以下のようなものがあります。このようなメールが届いても、リンクや添付ファイルをクリックすることなく、原則、すぐに捨てるようにしましょう。

迷惑メールなど、注意が必要なメールはその性質などにより概ね4つの種類に分類されます。
以下に4種類それぞれの主な特徴を記載します。また、これらの中には、ウイルスメールが紛れ込んでいる場合もあるので注意が必要です。
これらの中には、本文中にホームページのアドレスが記載されていて、それをクリックすることで関係のないホームページへ誘導され、ウイルス感染等の被害に遭う場合があります。
これらは、大量メール配信によって感染を拡げるウイルスによるメールの可能性がありますので、開くとウイルス感染する恐れがあり注意が必要です。
これらは、ただで景品を取得できるように見せかけ、そのためには個人情報の入力が必要などと表示し、入力すると結果的にメールアドレスや氏名、住所などの個人情報を詐取されてしまう場合があります。
これらは、差出人を詐称するウイルスが送信しているメールの可能性が高く、添付ファイルを開くと被害に遭う場合があります。したがって、上記のようなメールが届いた場合は、差出人に電話等で内容を確認し、問題ないことがわかった上で開くようにしてください。
以上の例の内、いわゆる迷惑(広告)メールには、「配信不要の場合はこのアドレスへ返信メールにて連絡してください。」等のメッセージの記述とともに連絡先のメールアドレスが文末に記載されていることがあります。このメッセージを信用して、配信拒否のための返信メールを送信することは、無差別に送ってきている相手に、わざわざ自分のメールアドレスが実在していてちゃんと使われていることを知らせることになり、さらに迷惑メールが増えるなど、悪用される可能性を増やすことになります。決して返信するなど考えずに、心当たりのないメールには一切対応せず、無視することが重要です。
ウイルスの検出数(※1)は、 約117万個と、9月の約105万個から11.5%の増加となりました。また、10月の届出件数(※2)は、3,696件となり、9月の3,551件から4.1%の増加となりました。
※1 検出数 : 届出にあたり届出者から寄せられたウイルスの発見数(個数)
※2 届出件数: 同じ届出者から寄せられた届出の内、同一発見日で同一種類のウイルスの検出が複数ある場合は、1日何個検出されても届出1件としてカウントしたもの。
・ 10月は、寄せられたウイルス検出数約117万個を集約した結果、3,696件の届出件数となっています。
検出数の1位は、W32/Netsky で約78万個 、2位は W32/Stration で約22万個、3位は W32/Mytob で約4万個でした。


2006年8月に発生した W32/Stration の亜種が9月に引き続き10月も多数出現し、出回っていますので、注意が必要です。
このウイルスは、メールの添付ファイルにより拡散します。その添付ファイルを開くとウイルスに感染することになり、アドレス帳に保存されているメールアドレス宛に同様のウイルスメールを送信することになってしまいます。
また、亜種の中には、ウイルスの作者が用意したと推測されるサイトへアクセスさせ、勝手に感染した PC にスパイウェアなどをダウンロードする機能を持ったものなどもあり、情報漏えいが生じるなどの被害に遭う可能性があります。
さらに、ルートキット(*1)も同時にコンピュータにインストールするため、感染してからでは発見することが困難になります。また、見た目にわかる症状もでないため、感染していることに気付かずに、ウイルスメールを撒き散らし続けることになってしまいます。
感染してからでは対処が困難になるなど、被害が拡大する恐れがありますので、メールの添付ファイルを安易に開くことは決してしないようにしてください。
以下に最近出回っている W32/Straiton の亜種の件名、添付ファイル名の例を示します。
| 件名 | 添付ファイル名 | |
|---|---|---|
| (1) | This is not shown on TV. | picture3135.zip |
| (2) | This is not shown on TV. | picture7484..gif. exe |
| (3) | Livan War real pictures. | picture2812..bmp. exe |
| (4) | This must be seen by everyone. | picture6720..jpg. exe |
| (5) | Server Report | text.txt.exe |
| (6) | URGENT NEWS! | last.exe |
| (7) | ATTN | about me.exe |
| (8) | NEWS! | latest news.exe |
| (9) | READ AND RESEND ASAP! | truth.exe |
上記(2)、(3)、(4)の例では、二重拡張子のファイル名を用いて、さらに間にスペースを入れて、末尾の拡張子「.exe」に気付かせないようにし、画像ファイルに見せかけています。
他の例では、News と称して注目させるような件名や添付ファイル名を用いているケースもあります。
(参考)| 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 届出(a) 計 | 13 | 22 | 15 | 50 | 46 | 22 | |
| 被害あり(b) | 6 | 20 | 8 | 30 | 21 | 15 | |
| 被害なし(c) | 7 | 2 | 7 | 20 | 25 | 7 | |
| 相談(d) 計 | 23 | 32 | 31 | 24 | 35 | 53 | |
| 被害あり(e) | 11 | 19 | 18 | 13 | 26 | 37 | |
| 被害なし(f) | 12 | 13 | 13 | 11 | 9 | 16 | |
| 合計(a+d) | 36 | 54 | 46 | 74 | 81 | 75 | |
| 被害あり(b+e) | 17 | 39 | 26 | 43 | 47 | 52 | |
| 被害なし(c+f) | 19 | 15 | 20 | 31 | 34 | 23 | |
10月の届出件数は22件であり、そのうち被害のあった件数は15件でした。
不正アクセスに関連した相談件数は53件(うち11件は届出件数としてもカウント)であり、そのうち何らかの被害のあった件数は37件でした。
被害届出の内訳は、侵入8件、ワーム感染1件、DoS 攻撃1件などでした。
侵入届出の被害内容は、ウェブページの改ざんが3件、他サイト攻撃の踏み台になっていたものが2件、フィッシングに悪用するためのコンテンツを設置されていたものが1件、などでした。侵入の原因として、SSH(*2)で使用するポート(*3)へのパスワードクラッキング(*4)攻撃を受けてパスワードが破られた事例が1件ありました。
その他の被害として、ウェブメールなどのアカウント(*5)が何者かによって勝手に使われ、登録してあった本人のデータを改ざんされたりメールを削除されたりしたという事例が3件ありました。
| 事 例 |
|
|---|---|
| 解 説 ・ 対 策 |
パスワードクラッキング(*4)の際には自動攻撃ツールが用いられるためか、SSH で使用するポート(*3)が狙われる機会はなおも多いようです。そもそも、SSH によるリモート接続が本当に必要なものなのか、そのメリット・デメリットについて議論しましょう。SSH を利用する場合、パケットフィルタリングの実施や IDS(*9)/IPS(*10)の導入なども大事ですが、まずは日々アクセスログ(*11)をチェックして一刻も早く攻撃の兆候を掴み、必要な対策を講じることが重要です。SSH 運用時には、ログインの際に公開鍵認証(*12)などの強固な認証を採用することを推奨します。 (参考)IPA - 今月の呼びかけ(7月分)
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| 事 例 |
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|---|---|
| 解 説 ・ 対 策 |
最近、大手のポータルサイトにおいて無料で取得できるアカウントが、第三者に勝手に使われてしまったという被害届出が多くなっています。ウェブメールの送受信ボックスが空になっていた、など単なるいたずらと思われるものもありますが、金銭が絡むオークションなどでは詐欺に悪用される例もあるため、引き続き注意が必要です。パスワードは推測されにくいものにするとともに、特に用事が無くても定期的にアクセスし、勝手に使われていないかどうか確認すると良いでしょう。定期的にパスワードを変更することも、有効な対策となります。また、スパイウェアによってパソコン内の ID/パスワード情報を盗み出されるケースもありますので、ウイルス/スパイウェア対策ソフトによるチェックも欠かさないようにしましょう (参考)IPA - 今月の呼びかけ(7月分)
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10月の相談総件数は1,002件でした。そのうち『ワンクリック不正請求』に関する相談が236件(9月:223件)と、9月に更新した最高件数をさらに上回る最悪の件数を記録しました。その他の内訳は、『セキュリティ対策ソフトの押し売り』行為に関する相談が41件(9月:23件)、Winny に関連する相談が12件(3月:196件、4月:83件、5月:28件、6月:15件、7月:12件、8月:14件、9月:9件)などでした。
| 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 合計 | 846 | 773 | 767 | 793 | 933 | 1,002 | |
| 自動応答システム | 484 | 423 | 444 | 460 | 575 | 580 | |
| 電話 | 295 | 283 | 257 | 280 | 302 | 326 | |
| 電子メール | 63 | 64 | 66 | 48 | 51 | 93 | |
| その他 | 4 | 3 | 0 | 5 | 5 | 3 | |
※IPA では、コンピュータウイルス・不正アクセス、Winny 関連、その他情報セキュリティ全般についての相談を受け付けています。
メール:
(ウイルス)、
(不正アクセス)
電話番号: 03-5978-7509(24時間自動応答、ただし IPA セキュリティセンター員による相談受付は休日を除く月〜金、10:00〜12:00、13:30〜17:00のみ)
FAX: 03-5978-7518 (24時間受付)
※ 「自動応答システム」 : 電話の自動音声による応対件数
「電話」 : IPA セキュリティセンター員による応対件数
※ 合計件数には、「不正アクセスの届出および相談の受付状況」における『相談(d) 計』件数を内数として含みます。


セキュリティ対策ソフトの押し売り行為については下記をご参照ください。
主な相談事例は以下の通りです。
| 相 談 |
次のようなメールが届いた。差出人とは面識が無いので、添付ファイルは開かずに放置している。念のためウイルスチェックをしたが、何も検出されなかった。 |
|---|---|
| 回 答 |
添付されていたファイルを改めてチェックしたところ、トロイの木馬型ウイルスが検出されました。今回のケースは、悪意のある人物が特定の宛先を狙ってウイルスを仕込もうとしている可能性があります。身に覚えの無い差出人からのメールには注意し、特にファイルが添付されている場合は絶対に開かずに、メールごと削除してください。メール本文は、添付ファイルを開かせようとして巧妙な言い回しになっている場合がほとんどですので、決して鵜呑みにすることのないよう、注意しましょう。 |
| 相 談 |
以前 Winny を使っていた際、Antinny ウイルスに感染していたことが分かったので、Winny を使うのを止めた。ウイルスは駆除済みであるが、情報が流出しているかどうか調べる方法は無いか。パソコン内には、会社の情報もあったので心配。 |
|---|---|
| 回 答 |
一般の個人にとっては、情報流出の有無を調べることは非常に難しいことです。専門の業者のサービスを利用するという選択肢もありますが、恐らく個人で支払うには非常に厳しい額になると思われます。まずは自社や影響が及ぶと思われる関係先に一刻も早く報告し、善後策を検討しましょう。
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インターネット定点観測(TALOT2)によると、2006年10月の期待しない(一方的な)アクセスの総数は、10観測点で416,676件ありました。1観測点で1日あたり305の発信元から1,437件のアクセスがあったことになります。
TALOT2 での1観測点の環境は、インターネットを利用される一般的な接続環境と同一なので、インターネットを利用される皆さんの環境へも同じくらいの一方的なアクセスがあると考えられます。言い換えれば、あなたのコンピュータは、毎日、平均して、305人の見知らぬ人(発信元)から、発信元一人当たり5件の不正と思われるアクセスを受けていると言うことになります。

2006年4月〜2006年10月までの各月の1観測点での1日あたりの平均アクセス数および、それらのアクセスの平均発信元数を図4.1に示します。この図を見ると、期待しない(一方的な)アクセスは、7月以降増加傾向です。全体的なアクセス内容については、定常化していると言えます。
10月のアクセス状況は、全体的には9月とほぼ同じ状況ですが、ファイル交換関連と思われるポートへのアクセスが多い月でした。図4.2と図4.3を比較すると、これらのアクセスの多さが分かります。これらのファイル交換関連と思われるポートへのアクセスについては、統計情報から除外していますが、今月のトピックとして、これらのアクセスについて状況を説明します。
はじめにファイル交換について説明します。ファイル交換とは、ファイル交換ソフトを利用して特定のコンピュータどうしで直接ファイル(データ)を交換することです。
ファイル交換の方法にはいろいろありますが、ファイル交換を行うための情報を管理するサーバを中心としたファイル交換ネットワークを組む方式と、ファイル交換ソフトを介して数多くのコンピュータがファイル交換ネットワークを組む方式がほとんどです。
ファイル交換を行うコンピュータは、一般的に、そのコンピュータが使っている IP アドレスによって特定されます。交換できるファイルの情報と、この
IP アドレスの情報等がファイル交換ネットワーク上を流れることになります。
ところで、一般的なインターネットの利用者のコンピュータは、利用するプロバイダを介してネットワーク上の空いている IP アドレスを動的に割り当てられるのが普通です。そのため、ファイル交換を利用するコンピュータの
IP アドレスも、ネットワークとの接続を行うたびに、違う IP アドレスになります。このため、ファイル交換を行っていたコンピュータがネットワークから切断されても、ファイル交換ネットワーク上には、以前使っていた
IP アドレスの情報が残ってしまう場合があります。この残ってしまった IP アドレスが、同じプロバイダ内の違う利用者のコンピュータに割り当てられ、このコンピュータに対して、同じファイル交換を利用する別のコンピュータからファイル交換の接続要求(アクセス)がくることになります。以下に示すアクセスのほとんどが、このような状況で発生したアクセスと考えられます。

著作権のあるデータ(ファイル)を非合法にファイル交換する人たちがいるため、最近ではサーバを中心に持つタイプのファイル交換では、サーバが閉鎖に追い込まれたり、違法なファイル交換を行った人が逮捕されたりという事件も起こっています。
さらに、ファイル交換を介した情報漏えいの問題も多発しているため、ファイル交換を問題視する傾向もあるようです。
図4.2に示した、一番アクセス数の多かった4662(TCP)は、eDonkey と呼ばれるファイル交換ソフトを利用したアクセスのようです。eDonkey
については、欧州を中心に eDonkey のサーバの閉鎖やファイル交換ソフトの配布停止となったために、残ったサーバが閉鎖される前に、駆け込み的にファイルをダウンロードしようと、急激にアクセスが増加したものと考えられます。

特定の IP アドレスに、このようなアクセスが集中すると、ほとんど DoS 攻撃を受けている状況となります。このようなアクセスは、ほとんどがファイル交換を自動化した場合に発生するものであり、ファイル交換の利用者の方には、このような状況を理解いただき、ファイル交換の接続先の確認をあらかじめ行ってから、アクセスするように心掛けていただきたいものです。
さらに、ファイル交換を介した情報漏えい問題も多発していますので、利用者には、ファイル交換の仕組みをご理解いただき、さらなる注意を払っていただきたいものです。



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(5)情報漏えい対策
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