2005年 7月 6日
独立行政法人 情報処理推進機構
セキュリティセンター(IPA/ISEC)
独立行政法人 情報処理推進機構(略称IPA、理事長:藤原 武平太)は、2005年6月のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況をまとめました。なお、2005年上半期(1〜6月)の届出状況を別紙2、4に集計しました。
(届出状況の詳細PDF資料はこちら)
ウイルスの検出数(※1)は、約385万個と、5月の約355万個から8.5%の増加となりました。また、6月の届出件数(※2)は、4,928件となり、5月の5,021件から若干の減少となりました。
※1 検出数 : 届出にあたり届出者から寄せられたウイルスの発見件数(通数)
※2 届出件数: 同じ届出者から寄せられた届出の内、同一発見日で同一種類のウイルスの検出が複数ある場合は、1日何通(個)でも届出1件としてカウントしたもの。
・ 6月は、寄せられたウイルス検出数約385万個を集約した結果、4,928件の届出件数となっています。
W32/Netsky の検出数は、総検出数の7割を占める約265万個(届出件数1,122件)となり、16ヶ月連続でトップの届出が寄せられました。続いて、急増している W32/Mytob 約94万個(699件)、W32/Sober 約10万個(54件)、W32/Bagle 約4万個(316件)となりました。
また、度々発生しているファイル交換ソフトによる情報漏えいの事象を受け、6月には緊急対策情報を公開しました。
3月に出現して以降、次々に亜種が発生している W32/Mytob ウイルスに、新たなタイプが現れました。このウイルスは、以下のようなウイルスメールを送りつけ、システム管理者であるかのような送信者名を詐称し、パスワード更新などシステム管理に関する情報提供であるように見せかけるなどにより、あたかも組織の管理者から送信されたように装っています。

このようなメールを受信した場合、
(i) 安易に添付ファイルを開かない
(ii) ウイルスチェックをし、ウイルスかどうかを確認する
(iii) 送信の事実があるか、組織の管理者へ確認する
といった注意を払い、被害を未然に防ぐようにしましょう。
W32/Netsky の検出数が約266万個と、5月の約289万個から約8.0%の減少となりました。しかし、継続して亜種が出現している W32/Mytob の検出数が、5月の約45万個から約94万個へと2倍以上に増加しました。それにより、全体の検出数(約385万個)も8.5%の増加となりました。
W32/Mytob は、3月に出現してから4ヶ月余りの期間に70種類を超える亜種が発生しています。これに対して W32/Netsky は、出現から4ヶ月で約20種類の亜種の発生でしたので、W32/Mytob は3倍以上も多い状況となっています。このように亜種が短期間に多数発生することは、当該ウイルスの感染の拡大および蔓延につながりますので、注意が必要です。
亜種とは?
亜種とは、最初に発見された元のウイルス(原型)に対して機能の追加や動作を変更するなどの改変がなされ、作り出されたものです。ウイルス定義ファイル(パターンファイル)を更新しないと新しい亜種に対応できず、検出することができないケースがほとんどですので、ウイルス対策ソフトを常に最新の状態に保つことが重要です。


6月の届出件数は24件であり、5月の94件と比較して約75%の減少となりました。そのうち被害のあった件数は22件であり、5月の11件から倍増しました。
また、不正アクセスに関連した相談件数は37件(うち2件は届出件数としてもカウント)であり、そのうち被害のあった件数は22件でした。
被害届出の内訳は、侵入10件、メール不正中継2件、ワーム感染3件、DoS 4件、アドレス詐称1件、その他(被害あり)2件でした。侵入10件のうち、Web サーバに侵入され Web コンテンツを改ざんされたという被害事例が5件ありました。そのうち、利用者がホームページを閲覧しただけでウイルスに感染する仕組みを埋め込まれていた事例が5月に引き続き2件ありました。
被害事例(i) Web サーバに侵入され、利用者が Web コンテンツを閲覧しただけで、不正なプログラムをダウンロードさせられるサイトへ誘導されてしまう仕組みを埋め込まれているのを発見。一度修正したが、その後再度同様の改ざんを受けていることが発覚。レンタルサーバを利用しており原因究明が難航したが、サーバ上で動作させていた掲示板プログラム「phpBB(*1)」の脆弱性を突かれたものと思われる。(解説、対策については2. (2)参照)
(ii) Web サーバ上のプロセス一覧に不審なものを発見し調査したところ、バックドアが仕掛けられているのを発見。サーバ上で動作させていた cgi (*2)の脆弱性を突かれたのが原因と思われる。(解説、対策については2. (2)参照)
(iii) 一般ユーザ権限で Web サーバに侵入され、さらにサーバ内部で管理者権限を奪取され、ファイルを改ざんされた。全てのログが削除されており、侵入後の行動については不明。最初に侵入を許した原因は、ログイン ID とパスワードの管理不備。管理者権限を奪取された原因は、Linux の既知の脆弱性を突かれたのが原因と思われる。(解説、対策については2. (3)参照)
(iv) 通信障害が起きたため調査したところ、少なくても1秒間に100万パケット以上の SYN フラッド攻撃(*3)を受けていることが判明。ルータの使用率が100%となり、通信が不能となった。ルータの DoS 攻撃対策機能を駆使しても対応し切れず、最終的にはプロバイダに対して、該当 IP アドレス宛のパケットを全て破棄する設定を施してもらい回復した。(解説、対策については2. (4)参照)
(v) spam (*4)メールを受け取ったというクレームがあり調査したところ、差出人を自組織のアドレスと詐称された迷惑メールが大量に配信されているらしいことが判明。さらに、それらのメールが宛先不明のエラーのため、自組織宛に大量のリターンメールが届いた。
(vi) Web サーバ上で運用しているオンラインゲームで、不正なデータ(ゲームのスコア情報)を cgi に送信された。その結果、一般利用者が閲覧可能なランキング表に不正なスコアが表示されてしまった。幸い、サーバへの侵入は確認されなかった。スコア情報のやり取りは暗号化や比較チェックなどの処理がされていたが、そのロジックが解析されてしまったのが原因と推測される。(解説、対策については2. (2)参照)
被害事例(i)、(ii)、(vi)では、Web アプリケーションの脆弱性を突かれての被害となっています。 Web アプリケーションの脆弱性を突かれると、データベース改ざんや個人情報漏えいなどの大規模な被害につながる恐れがあります。Web サーバのセキュリティ対策やサーバが設置されているネットワークのセキュリティ対策のみならず、サーバ上で動作する Web アプリケーションのセキュリティ対策も抜かりなく実施しましょう。
(ご参考)被害事例(iii)では、単純なパスワードを設定していた一般ユーザが居たために簡単にサーバに侵入を許してしまいました。さらに、ネットワーク内部でサーバ OS の脆弱性を悪用され、管理者権限も奪取されてしまいました。このように、一箇所でもセキュリティホールが残っていると、その他のセキュリティ対策が意味の無いものになってしまいます。外部から接続可能になっている一般ユーザの ID やパスワードに関しても設定内容には十分な注意を払うとともに、パスワードの複雑度チェックや定期的更新を促すような仕組み、通信経路の暗号化などを実施することが有効な対策となるでしょう。
(ご参考)被害事例(iv)では、DoS 対策機能を備えた比較的高性能なルータを使用していたにもかかわらず、回線を管理する上位プロバイダにパケット破棄を依頼するしか手立てがありませんでした。この事例の他にも、短時間に大量のメールを送られたり Smurf 攻撃(*5)を受けたり、といった届出がありました。普段から、攻撃を受けた際の対応を想定しておくことが重要です。また、IDS (*6)や IPS (*7)といった、セキュリティシステムを導入するのも有効な対策となるでしょう。
(ご参考)インターネット定点観測(TALOT2)によると、2005年6月の期待しない(一方的な)アクセスの総数は、10観測点で454,153件ありました。1観測点で1日あたり約1,500件のアクセスがあったことになります。
TALOT2 での1観測点の環境は、インターネットを利用される一般的な接続環境と同一なので、インターネットを利用される皆さんの環境へも同じくらいの一方的なアクセスがあると考えられます。
これらの一方的なアクセスが最も脅威となるのは、コンピュータを無防備な状態(ルータやファイアウォール機器で守られていない状態)でインターネットに直結した場合です。
止むを得ず直結する場合は、つなぐ前に、以下に示す対策を、必ず実施してください。
Winny に代表されるようなファイル交換ソフトによる、情報漏えいが度々発生しています。漏えいが起きた原因のほとんどは、Winny を悪用する W32/Antinny というウイルスに感染してしまったからです。
W32/Antinny は、ファイル交換ソフトを通じて、感染を拡大します。このウイルスに感染すると、パソコン内の Word や Excel 等のファイルが公開されてしまいます。これにより、ファイル交換ソフトのユーザであれば、誰もが入手可能となり、情報が漏えいしてしまうことになります。

ウイルスに感染しないためのウイルス対策はもちろんですが、使用しているパソコン内の情報が不特定多数のユーザに閲覧可能な状態になる危険性を認識し、ファイル交換ソフトの使用について、問題点がないか確認することをお勧めします。
(ご参考)TEL:03-5978-7527 FAX:03-5978-7518
E-mail: ![]()
URL:http://www.ipa.go.jp/security/