IPA/ISEC


2002年 5月10日
情報処理振興事業協会
セキュリティセンター(IPA/ISEC)

コンピュータウイルスの届出状況について

他人のアドレスを盗用するW32/Klezウイルスの亜種が猛威を振るう!!
送信者名を偽り第三者に感染の濡れ衣を着せる!!!


1.2002年 4月のウイルス届出状況

 情報処理振興事業協会セキュリティセンター(IPA/ISEC)は、2002年 4月の届出状況をまとめた。
 4月の届出件数は2012件(3月1460件)と3ヶ月ぶりに2000件を超える高水準となった。ただ、実害率は低く3月の10.5%から6.7%と減少した。

2.今月の特記事項

他人のアドレスを盗用するW32/Klezウイルスの亜種が続々と出現!!

 2001年10月に出現したW32/Klezウイルスを改造した亜種が4月に複数出現し、1148件もの届出が寄せられた。届出件数は増加したが、このウイルス自体の実害率は5.7%と届出全体の割合より低い数値となっている。

 このウイルスの亜種は、パソコン内からランダムに取得したアドレスを送信者名としてウイルスメールの送信を行う。このように感染した本人のアドレスではなく、パソコン内から盗用した他人のアドレスでウイルスメールを送信することにより、第三者に感染の濡れ衣を着せ、本当の感染者に感染している旨の連絡がとれないようになっている。

 また、メールにウイルスファイルを添付して感染を拡げるが、その際パソコン内のWord、Excel、テキストファイルなども同時に添付するため、秘密情報が外部に漏洩する危険性がある。

図:W32/Klezウイルスの受信画面

 さらにネットワーク上でも感染を広げる活動があるので、Cドライブ全体へパスワードなしでアクセスできるような安易な共有設定をしていると被害が拡大する可能性がある。ネットワークに接続されたパソコンでウイルスが発見された場合は、被害を最小限に留めるため直ちに回線を切り離す等の処置が必要である。

今月の呼びかけ:「怪しいメールはワクチンソフトで検査!!」
       
−感染予防の第一歩−

 

 メール機能を悪用するウイルスには非常に多くの種類があり、見た目だけでウイルスかどうかを判断することは困難である。中にはW32/Klezウイルスのように、件名・本文・添付ファイル名をランダムに作成するウイルスもある。

 したがって、怪しいメールや添付ファイルは目視で判断することなく、最新のウイルス検出データファイルに更新したワクチンソフトで検査することが必要である。

ワクチンソフトに関する情報

参考:W32/Klezウイルスがランダムに作成するメールの件名・本文の一例

         

 また、メールの添付ファイルは、ウイルスを含んでいる可能性もあることを認識して添付ファイル付きのメールの取り扱いには十分注意されたい。

添付ファイルの取り扱い5つの心得

3. ウイルス届出の詳細       

1) 4月、届出のあったウイルスは41種類であった。
(Windows、DOSウイルス1,902件、マクロウイルス及びスクリプトウイルス110件、Macintosh及びUNIXウイルスは0件。)(*)印は今月の新種ウイルスを示す。

Windows、DOSウイルス 届出件数 マクロウイルス 届出件数
 W32/Klez 1,148  XM/Laroux 36
 W32/Badtrans 224  XM/VCX.A 12
 W32/Fbound 130  X97M/Divi 10
 W32/Hybris 97  W97M/Marker 6
 W32/Magistr 83  W97M/Class 4
 W32/Nimda 59  W97M/Melissa 3
 W32/Sircam 53  W97M/X97M/P97M/Tristate 3
 W32/Gibe 25  WM/Cap 2
 W32/Aliz 23  WM/Wazzu 2
 W32/MTX 18  W97M/Bablas 1
 W32/Mylife 11  W97M/Eight941 1
 W32/CIH 7  W97M/Locale 1
 Anti-CMOS 4  W97M/Myna 1
 Form 3  W97M/Opey 1
 W32/Goner 3  W97M/Thus 1
 W32/Msinit 3    
 W32/Ska 3 スクリプトウイルス 届出件数
 W32/QAZ 3  VBS/Haptime 20
 W32/Navidad 2  Wscript/Kakworm 3
 W32/Funlove 1  VBS/LOVELETTER 2
 W32/Porkis(*) 1  VBS/Homepage 1
 W32/PrettyPark 1  

備考:件数には亜種の届出を含む

注) ウイルス名欄で、各記号はそれぞれの下記ウイルスを示す。

記号 対象ウイルス
 WM  MSword95(WordMacroの略)
 W97M  MSword97(Word97Macroの略)
 XM、XF  MSexcel95、97(ExcelMacro、ExcelFormulaの略)
 X97M  MSexcel97(Excel97Macro)
 W97M/X97M/P97M  MSword97、MSexcel97、MSpowerpoint97(Word97Macro、Excel97Macro、PowerPoint97Macroの略)
 W32  Windows32ビット環境下で動作
 VBS  VisualBasicScriptで記述
 Wscript  WindowsScriptingHost環境下で動作(VBSを除く)
 Solaris  Solaris環境下で動作

2)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、82%を占めている。

届   出   者

届  出  件  数

2002/4   2002年合計   2001年合計  
 一般法人ユーザ 1,650 82% 5,390 74.9% 17,332 71.4%
 教育・研究機関 71 3.5% 793 11% 1,286 5.3%
 個人ユーザ 291 14.5% 1,011 14.1% 5,643 23.3%

3)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて近畿地方、中部地方の順となっている。

地     域

届  出  件  数
2002/4   2002年合計   2001年合計  
 北海道地方 17 0.8% 99 1.4% 506 2.1%
 東北地方 33 1.6% 202 2.8% 882 3.6%
 関東地方 1,370 68.1% 4,621 64.2% 16,291 67.1%
 中部地方 159 7.9% 637 8.8% 2,360 9.7%
 近畿地方 230 11.4% 1,115 15.5% 2,589 10.7%
 中国地方 36 1.8% 66 0.9% 387 1.6%
 四国地方 8 0.4% 55 0.8% 399 1.6%
 九州地方 159 7.9% 399 5.5% 847 3.5%
 

4)届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。 海外からのメールも含めたメールにより感染したケースが最も多く、届出件数の98%を占めている。

感  染  経  路

届  出  件  数
2002/4   2002年合計   2001年合計  
 メール 1,574 78.2% 6,517 90.6% 17,790 73.3%
 海外からのメール 398 19.8% 506 7% 3,791 15.6%
 ダウンロード(※) 10 0.5% 36 0.5% 593 2.4%
 外部からの媒体 4 0.2% 31 0.4% 655 2.7%
 海外からの媒体 1 0% 4 0% 22 0.1%
 不明・その他 25 1.2% 100 1.4% 1,410 5.8%

(※)ホームページからの感染を含む

5)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。感染台数の欄0台は、FDのみの感染またはファイルのみの感染を示し、事前の検査により、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。

感  染  台  数

届  出  件  数
2002/4   2002年合計   2001年合計  
0台 1,877 93.3% 6,466 89.9% 19,585 80.7%
1台 98 4.9% 605 8.4% 3,733 15.4%
2台以上 5台未満 23 1.2% 76 1.1% 528 2.2%
5台以上 10台未満 8 0.4% 24 0.3% 190 0.8%
10台以上 20台未満 1 0% 15 0.2% 93 0.4%
20台以上 50台未満 3 0.1% 5 0% 74 0.3%
50台以上 2 0% 3 0% 58 0.2%

特定日発病ウイルスについて

 ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPA/ISEC に届出されたウイルスの中で、 5月11日〜 6月30日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げたので注意されたい。(参考:特定日発病ウイルス[ウイルスカレンダー]

 
 VBS/Haptime  6月 7日(「月」と「日」の合計が13の時に発病)


コンピュータウイルスに関する届出制度について

 コンピュータウイルスに関する届出制度は、経済産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。
 IPAでは、個別に届出者への対応を行っているが、同時に受理した届出等を基に、コンピュータウイルス対策を検討している。また受理した届出は、届出者のプライバシーを侵害することがないように配慮した上で、被害等の状況を分析し、検討結果を定期的に公表している。

 ○コンピュータウイルス対策基準
  ・通商産業省告示第139号 平成 2年 4月10日制定
  ・通商産業省告示第429号 平成 7年 7月 7日改訂
  ・通商産業省告示第535号 平成 9年 9月24日改訂
  ・通商産業省告示第952号 平成12年12月28日改訂


問い合わせ先:IPAセキュリティセンター(IPA/ISEC)
         (ISEC:Information technology SEcurity Center)
         TEL:03-5978-7508 FAX:03-5978-7518
         E-mail: isec-info@ipa.go.jp
         相談電話:03-5978-7509 URL:http://www.ipa.go.jp/security/


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