2001年6月7日
情報処理振興事業協会

コンピュータウイルスの届出状況について

1.2001年5月ウイルス届出状況

 情報処理振興事業協会(略称IPA・村岡茂生理事長)は、2001年5月のコンピュータウイルスの届出状況をまとめた。
 届出件数は1515件(4月度1236件)、実害の割合は16.5%(4月度18.0%)。
 1〜5月の届出件数〔8234件〕は、 前年同期間(2741件)の3倍もの件数となっており、より一層の注意が必要である。
 新種ウイルスは、VBS/Homepage 71件、W32/Badtrans 20件、Solaris/Sadmind 7件、VBS/Haptime 3件の4種類の届出があった。

2.今月の特記事項

1)ワクチンソフトによるウイルス対策 3つのステップ、導入、活用、更新を!!

 ワクチンソフトを持っていない、または持っていても適切に用いていないことによるウイルス被害・相談が数多く寄せられている。
 ワクチンソフトを導入することは勿論であるが、導入しただけでは不十分で、検査対象の設定、定義ファイルの更新等、正しい使い方をしなければウイルス対策はできない。
 ワクチンソフトで適切なウイルス対策を行うために、下記3つのステップを実施されたい。   参考: 「ワクチンソフトに関する情報

2)このようなメールに要注意

メールの添付ファイルとして感染を広げるウイルスが引続き主流である。主なメール悪用ウイルスの受信例を下図に示すので、これらのメールは特に注意すること。

図−1:Hybrisウイルス(2001年1〜5月届出累計2807件と最多のウイルス)

図−2:Homepageウイルス(2001年5月の届出新種ウイルスのうち最多71件)

今月の呼びかけ

  「デマメールに惑わされるな!! ワクチンソフトで検査を!!」

 「sulfnbk.exeというファイルはウイルスなので、削除しなさい」というデマメールが流れている。 デマメールを信用して、被害に遭っているユーザが多数出ているので、必ずIPAやワクチンベンダーなどのWEBサイトで、正しい情報であるかどうかを確認すること。 また、当該ファイルが感染しているかどうかは、ワクチンソフトで検査し確認すること。

 親切心で流した情報が、逆に相手に迷惑をかける結果となったケースが多数寄せられている。このようなデマメールなどに対する基本的な対処方法は、確認できない情報は他への転送をしないことである。

  デマメール:騒動を起こすために人為的に流されたウイルス等のデマ情報(HOAX)で、警告の転送を促すなどのチェーンメールの効果を狙う電子版「不幸の手紙」である。

 参照:「sulfnbk.exeに関するデマメール情報

3.ウイルス届出の詳細

1)今月、届出のあったウイルスは49種類であった。初めて届けられたウイルスは、 「VBS/Homepage」「W32/Badtrans」「Solaris/Sadmind」「VBS/Haptime」の4種類である。 (マクロウイルス及びスクリプトウイルス396件、Win/DOS及びUNIXウイルス1119件。)

Windows、DOSウイルス 届出件数 スクリプトウイルス 届出件数
 W32/Hybris 469  VBS/Homepage(※) 71
 W32/MTX 264  VBS/SST 15
 W32/Magistr 209  Wscript/Kakworm 13
 W32/Navidad 46  VBS/LOVELETTER 11
 W32/QAZ 38  VBS/Stages
 W32/Badtrans(※) 20  VBS/Haptime(※)

 W32/Ska 12  VBS/Netlog

 W32/Funlove 11 マクロウイルス 届出件数
 W32/Msinit 11  XM/Laroux

113

 W32/BleBla  X97M/Divi 66
 Form  XM/VCX.A 25
 W32/CIH  W97M/Marker 16
 Anti-CMOS  W97M/X97M/P97M/Tristate
 W32/PrettyPark  W97M/Ethan
 W32/Kriz  W97M/Footer
 WYX  W97M/Melissa
 DApm-2  W97M/Myna
 Junkie  W97M/Thus
 StealthBoot  W97M/Vmpck1
 W32/Plage  WM/Cap
     W97M/Bablas
     W97M/Chack
     W97M/Class
     W97M/Titch
     X97M/Barisada
UNIXウイルス 届出件数  W97M/ColdApe
 Solaris/Sadmind(※)  W97M/Groov
Macintoshウイルス 届出件数  W97M/Opey
 

なし

 WM/Wazzu

注) ウイルス名欄で、各記号はそれぞれの下記ウイルスを示す。(※)印は、今月の新種ウイルスを示す。

記号 対象ウイルス
 WM  MSword95(WordMacroの略)
 W97M  MSword97(Word97Macroの略)
 XM、XF  MSexcel95、97(ExcelMacro、ExcelFormulaの略)
 X97M  MSexcel97(Excel97Macro)
 W97M/X97M/P97M  MSword97、MSexcel97、MSpowerpoint97(Word97Macro、Excel97Macro、PowerPoint97Macroの略)
 W32  Windows32ビット環境下で動作
 VBS  VisualBasicScriptで記述
 Wscript  WindowsScriptingHost環境下で動作(VBSを除く)
 Solaris  Solaris環境下で動作

2)5月にIPAに初めて届け出のあったウイルスの概要を記述する。

VBS/Homepage

 このウイルスはメールの添付ファイルを介して感染を広げるウイルスである。
 ウイルスである添付ファイルを実行すると、ウイルスを一時フォルダ(C:\Windows \Temp)にhomepage.HTML.vbsという名前でコピーする。
 次に、Outlookに登録されている全てのアドレスに以下の内容のメールを送信する。

 件名:Homepage
 本文:Hi!
    You've got to see this page! It's really cool ;O)
 添付ファイル名:homepage.HTML.vbs

 メール送信後、Homepageという件名のメールを削除する。
 そして、特定のWebサイトを表示する。

W32/Badtrans


 このウイルスはメールの添付ファイルを介して感染を広げるウイルスである。
 ウイルスである添付ファイルを実行すると、Windowsフォルダにinetd.exeを、シス テムフォルダに kern32.exe 、hksdll.dll、cp_23421.nlsというファイルを作成する。
 次に、再起動時にウイルスが実行されるように、レジストリ等を変更する。
 ウイルスは、実行されると5分後に、Outlook等、MAPIに対応しているメーラーの受 信トレイにある未読のメールに、ウイルスを添付したメールを返信する。
 メールの内容は以下のとおり。
 
 件名:Re:(未読メールの件名)
 本文:未読メールの本文(行頭に−印をつける。)
    最後に、>Take a look to the attachment. の行が追加される。
 添付ファイル名:fun.pif他16種類からランダムに選択

 また、このウイルスは、パスワード等を特定のメールアドレスに送信する不正アクセ スの機能も持っている。

Solaris/Sadmind

 このウイルスは、SolarisOS上で動作するウイルスで、セキュリティホールを悪用して感染を広げる。
 セキュリティホールのあるシステムに侵入すると、自分自身をコピーし、外部からリモートアクセスができるように設定を変更する。
 次に、インターネット上のセキュリティホールのあるIISサーバーを検索し、発見すると、そのマシンのWebページを改ざんする。

VBS/Haptime
 このウイルスは、Outlook ExpressのHTML形式のメールの署名ファイル、またはOutlookの添付ファイルを介して感染を拡げる。
 Internet Explorer5、WSHがインストールされている環境で、マイクロソフト社のOutlookでHTML形式のメールを開いたとき、または、Outlook Expressで開いたとき, もしくは、プレビューウインドウを使ったときに動作する。または、添付ファイルを実 行すると動作する。
 動作すると、Windowsフォルダ(通常は、c:\windows\)にHelp.htm、Help.vbs、Untitled.htm、Help.htaという名称のファイルを作成する。
 Outlook Expressのデフォルト署名のファイルをUntitled.htmファイルに変更するとともに、送信メールの設定をHTML形式に変更する。
 この状態で、Outlook Expressで送信したメールの本文に、ウイルスが埋め込まれた 署名ファイルが追加される。
 また、ウイルスは実行回数を記録し、366回実行されると、Outlookの受信トレイにある全てのメールに、Untitled.htmという名称のウイルスを添付したメールを返信する。
 システムの「月」と「日」の合計が13のとき(例:6月7日)、拡張子が、.dll、 .exeのファイルを削除する。


(2)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、約74%を占めている。

届   出   者

届  出  件  数

2001/   2001年合計   2000年合計  
 一般法人ユーザ 1123 74.1% 5955 72.3% 9975 89.8%
 教育・研究機関 139 9.2% 465 5.6% 214 1.9%
 個 人 ユ ー ザ 253 16.7% 1814 22.0% 920 8.3%

(3)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて近畿地方、中部地方の順となっている。

地     域

届  出  件  数
2001/   2001年合計   2000年合計  
 北海道 地 方 20 1.3% 148 1.8% 89 0.8%
 東 北 地 方 71 4.7% 297 3.6% 121 1.1%
 関 東 地 方 1096 72.3% 6005 72.9% 9415 84.8%
 中 部 地 方 90 5.9% 623 7.6% 612 5.5%
 近 畿 地 方 171 11.3% 814 9.9% 628 5.7%
 中 国 地 方 20 1.3% 97 1.2% 80 0.7%
 四 国 地 方 28 1.8% 122 1.5% 35 0.3%
 九 州 地 方 19 1.3% 128 1.6% 129 1.2%

(4)届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。海外からのメールも含めたメールにより感染したケースが最も多く、届出件数の約9割を占めている。

感  染  経  路

届  出  件  数
2001/   2001年合計   2000年合計  
 メール 1087 71.7% 6013 73.0% 6171 55.5%
 海外からのメール 220 14.5% 1488 18.1% 3843 34.6%
 ダウンロード 11 0.7% 37 0.4% 82 0.7%
 外部からの媒体 81 5.3% 263 3.2% 424 3.8%
 海外からの媒体 0.6% 11 0.1% 0%
 不 明 107 7.1% 422 5.1% 585 5.3%

(5)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。感染台数の欄0台は、FDのみの感染またはファイルのみの感染を示し、事前の検査により、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。

感  染  台  数

届  出  件  数
2001/   2001年合計   2000年合計  
  0台 1265 83.5% 6639 80.6% 8927 80.4%
  1台 202 13.3% 1330 16.2% 1610 14.5%
  2台以上 5台未満 28 1.8% 177 2.1% 393 3.5%
  5台以上10台未満 10 0.7% 47 0.6% 109 1.0%
 10台以上20台未満 0.3% 22 0.3% 32 0.3%
 20台以上50台未満 0.1% 11 0.1% 20 0.2%
 50台以上 0.3% 0.1% 18 0.2%

特定日発病ウイルスについて

 ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPAに届出されたウイルスの中で、6月7日〜7月31日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げた。(参考:特定日発病ウイルス[ウイルスカレンダー]
 発病してからではデータを破壊される等修復が困難となるので市販のワクチンソフト等を用いて、発病する前に発見・駆除することを望む。(駆除方法についてはIPAまで)

 W97M/Class  毎月31日、6月から12月の14日に発病する亜種もある。

コンピュータウイルスに関する届出制度について

 コンピュータウイルスに関する届出制度は、経済産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。
 IPAでは、個別に届出者への対応を行っているが、同時に受理した届出等を基に、コンピュータウイルス対策を検討している。また受理した届出は、届出者のプライバシーを侵害することがないように配慮した上で、被害等の状況を分析し、検討結果を定期的に公表している。

 ○コンピュータウイルス対策基準
  ・通商産業省告示第139号 平成2年4月10日制定
  ・通商産業省告示第429号 平成7年7月 7日改訂
  ・通商産業省告示第535号 平成9年9月24日改訂
  ・通商産業省告示第952号 平成12年12月28日改訂


問い合わせ先:IPAセキュリティセンター(IPA/ISEC)
         (ISEC:Information technology SEcurity Center)
         TEL:03-5978-7508 FAX:03-5978-7518
         E-mail: isec-info@ipa.go.jp
         相談電話:03-5978-7509 URL:http://www.ipa.go.jp/security/