2001年5月11日
情報処理振興事業協会

コンピュータウイルスの届出状況について

1.2001年4月ウイルス届出状況

 情報処理振興事業協会(略称IPA・村岡茂生理事長)は、2001年4月のコンピュータウイルスの届出状況をまとめた。 届出件数は1236件とやや減少したが、前年同月の約2.6倍であり、ウイルスの蔓延は収まっておらず、引続き注意が必要である。

2.今月の特記事項

1)ウイルス対策ソフトはアップデートが必須!! 定義ファイル、週に一度は更新を!!

 ウイルス対策ソフトは、警察機構に例えられるソフト本体と、ウイルスの手配書に当たる定義ファイルから構成される。したがって、新種・変種ウイルスの検出のため、手配書に当たる定義ファイル(パターンファイル、ウイルスDATファイル、ウイルス定義ファイルなど)を、頻繁に更新する必要がある。

 図−1にもあるように、1年前にしか更新していないユーザは、4月の届出の内、実に4分の3のウイルスは検出漏れとなる。半年前の更新でも、全体の約半分は検出できないことになる。
ウイルス定義ファイルのアップデートは必須であり、一般ユーザでも1週間に1回は、アップデートを行うことが必要である。

図−1:2001年4月届出ウイルスがいつから出現しているか

参考:主なワクチンソフトのウイルス定義ファイルの更新履歴一覧

    主なワクチンソフトのウイルス定義ファイルの確認方法

2)新種W32/Magistrウイルスに注意、発病前に検出・駆除を!!

 新種W32/Magistrウイルスの4月の届出件数は59件で、初めて届出のあった月間の届出件数としてはかなり多く、感染が広がっていることを示している。
 このウイルスは、メールの添付ファイルを介して感染を広め、感染時にOutlook Expressのアドレス帳からアドレスを入手して送信する。
 感染すると、1ヵ月後にハードディスクのデータ破壊や、BIOS内容の破壊(メーカ修理が必要)等の発病機能を持つ危険なウイルスである。ウイルス対策ソフトで発病前に検出・駆除することが肝要である。

BIOS(バイオス):
 基本入出力システム(Basic Input/Output Systemの略)で、OSやアプリケーションソフトと周辺機器(キーボード、 フロッピーディスクドライブ、ハードディスクなど)の間でのデータの受け渡しの制御を行う。
 通常、ROM(Read Only Memoryの略)の形式でパソコンの中に組み込まれる。この内容が破壊されると、パソコンが起動できなくなる。

今月の呼びかけ

  「データファイルに見せかけた添付ファイルにご用心!!」

 添付ファイル名称を、テキストや画像などの無害なデータファイルに見せかけた ウイルスが出現している。ファイルのアイコンや名称を良く確認せずに実行すると被害に遭う。 必ずウイルス対策ソフトで検査を行い、ウイルスに感染していないことを確認すること。 参考として、無害なデータファイルに見せかけたウイルス添付ファイルを下記に示す。

無害なデータファイル ウイルス添付ファイル ウイルス名
VBS/LOVELETTER
W32/MTX
VBS/SST

3.ウイルス届出の詳細

1)今月、届出のあったウイルスは55種類であった。 届出件数の多いウイルスは、W32/Hybrisが444件、 W32/MTXが257件となっている。
 初めて届けられたウイルスは、 「W32/Magistr」「Linux/Lion」の2種類である。  (マクロウイルス及びスクリプトウイルス322件、 Windows/DOS及びUNIXウイルス912件、Mac2件。)

Windows、DOSウイルス 届出件数 スクリプトウイルス 届出件数
 W32/Hybris 444  VBS/LOVELETTER 24
 W32/MTX 257  Wscript/KakWorm 20
 W32/Magistr(※) 59  VBS/SST 16
 W32/QAZ 33  VBS/Netlog
 W32/Navidad 31  VBS/Stages
 W32/Funlove 22 マクロウイルス 届出件数
 W32/Ska 16  XM/Laroux

92

 W32/PrettyPark  X97M/Divi 72
 W32/Msinit  XM/VCX.A 26
 Form  X97M/Barisada 12
 W32/CIH  W97M/Marker
 W32/Plage  W97M/X97M/P97M/Tristate
 Anti-CMOS  WM/Cap
 W32/BleBla  W97M/Myna
 W32/Kriz  W97M/Ethan
 D3  W97M/Melissa
 W32/Fix2001  XF/Sic
 W32/Prolin  W97M/Asslim
 Stoned  W97M/Bablas
 Sunday  W97M/Chack
 W32/Marburg  W97M/Class
 YankeeDoodle  W97M/Thus
 Yonyu  W97M/Footer
     W97M/Groov
     W97M/Nsi
     W97M/Story
UNIXウイルス 届出件数  W97M/Tolose
 Linux/Lion(※)  W97M/Vmpck1
Macintoshウイルス 届出件数  WM/Colors
 AutoStart9805  WM/Kompu
     XM/Compat

注) ウイルス名欄で、各記号はそれぞれの下記ウイルスを示す。(※)印は、今月の新種ウイルスを示す。

記号 対象ウイルス
 WM  MSword95(WordMacroの略)
 W97M  MSword97(Word97Macroの略)
 XM、XF  MSexcel95、97(ExcelMacro、ExcelFormulaの略)
 X97M  MSexcel97(Excel97Macro)
 W97M/X97M/P97M  MSword97、MSexcel97、MSpowerpoint97(Word97Macro、Excel97Macro、PowerPoint97Macroの略)
 W32  Windows32ビット環境下で動作
 VBS  VisualBasicScriptで記述
 Wscript  WindowsScriptingHost環境下で動作(VBSを除く)
 Linux  Linux環境下で動作

2)4月にIPAに初めて届け出のあったウイルスの概要を記述する。

W32/Magistr

 このウイルスはWindows32ビット実行形式(PE形式)のファイルに感染するファイル感染型ウイルスで、通常はメールの添付ファイルを介して感染を拡げる。
 ウイルスに感染した添付ファイルを実行すると、システムにあるPE形式のファイルを検索し感染する。そして、OutlookExpressのアドレス帳に登録されているアドレス宛に以下の内容のメールを送信する。

・件名、本文:ランダムな文字列
・添付ファイル:感染したファイルをランダムに選択

 ウイルスに感染後1ヶ月経過すると、CMOS、BIOSの内容及びハードディスクのデータが破壊される場合がある。

Linux/Lion

 このウイルスは、BIND DNSサーバのセキュリティホールを悪用したウイルスでLinux上で動作する。
 このウイルスに感染すると、マシンのパスワードは特定のアドレスに送信される。次に、特定のパスワードにより外部からログインできるように設定を変更する。そして、インターネット上のセキュリティホールのあるサーバを検索し、発見すると自分自身をインストールし、感染する。


(2)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、約74%を占めている。

届   出   者

届  出  件  数

2001/   2001年合計   2000年合計  
 一般法人ユーザ 915 74.0% 4832 71.9% 9975 89.8%
 教育・研究機関 61 4.9% 326 4.9% 214 1.9%
 個 人 ユ ー ザ 260 21.0% 1561 23.2% 920 8.3%

(3)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて近畿地方、中部地方の順となっている。

地     域

届  出  件  数
2001/   2001年合計   2000年合計  
 北海道 地 方 14 1.1% 128 1.9% 89 0.8%
 東 北 地 方 53 4.3% 226 3.4% 121 1.1%
 関 東 地 方 852 68.9% 4909 73.1% 9415 84.8%
 中 部 地 方 154 12.5% 533 7.9% 612 5.5%
 近 畿 地 方 114 9.2% 643 9.6% 628 5.7%
 中 国 地 方 0.7% 77 1.1% 80 0.7%
 四 国 地 方 22 1.8% 94 1.4% 35 0.3%
 九 州 地 方 18 1.5% 109 1.6% 129 1.2%

(4)届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。海外からのメールも含めたメールにより感染したケースが最も多く、届出件数の約9割を占めている。

感  染  経  路

届  出  件  数
2001/   2001年合計   2000年合計  
 メール 894 72.3% 4926 73.3% 6171 55.5%
 海外からのメール 201 16.3% 1268 18.9% 3843 34.6%
 ダウンロード 10 0.8% 26 0.4% 82 0.7%
 外部からの媒体 56 4.5% 186 2.7% 424 3.8%
 海外からの媒体 0.1% 0% 0%
 不 明 74 6.0% 315 4.7% 585 5.3%

(5)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。感染台数の欄0台は、FDのみの感染またはファイルのみの感染を示し、事前の検査により、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。

感  染  台  数

届  出  件  数
2001/   2001年合計   2000年合計  
  0台 1013 82.0% 5374 80.0% 8927 80.4%
  1台 171 13.8% 1128 16.8% 1610 14.5%
  2台以上 5台未満 38 3.1% 149 2.2% 393 3.5%
  5台以上10台未満 10 0.8% 37 0.6% 109 1.0%
 10台以上20台未満 0.2% 17 0.3% 32 0.3%
 20台以上50台未満 0.1% 10 0.1% 20 0.2%
 50台以上 0% 0.1% 18 0.2%

特定日発病ウイルスについて

 ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPAに届出されたウイルスの中で、5月11日〜6月30日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げた。(参考:特定日発病ウイルス[ウイルスカレンダー]
 発病してからではデータを破壊される等修復が困難となるので市販のワクチンソフト等を用いて、発病する前に発見・駆除することを望む。(駆除方法についてはIPAまで)

 W97M/Class  毎月31日、6月から12月の14日に発病する亜種もある。

コンピュータウイルスに関する届出制度について

 コンピュータウイルスに関する届出制度は、経済産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。
 IPAでは、個別に届出者への対応を行っているが、同時に受理した届出等を基に、コンピュータウイルス対策を検討している。また受理した届出は、届出者のプライバシーを侵害することがないように配慮した上で、被害等の状況を分析し、検討結果を定期的に公表している。

 ○コンピュータウイルス対策基準
  ・通商産業省告示第139号 平成2年4月10日制定
  ・通商産業省告示第429号 平成7年7月 7日改訂
  ・通商産業省告示第535号 平成9年9月24日改訂
  ・通商産業省告示第952号 平成12年12月28日改訂


問い合わせ先:IPAセキュリティセンター
         TEL:03-5978-7508 FAX:03-5978-7518
         E-mail: virus@ipa.go.jp 相談電話:03-5978-7509 URL:http://www.ipa.go.jp/security/