2001年3月8日
情報処理振興事業協会

コンピュータウイルスの発見届出状況について

1.2001年2月ウイルス発見届出状況

 情報処理振興事業協会(略称IPA・村岡茂生理事長)は、2001年2月のコンピュータウイルスの発見届出状況をまとめた。

 ・2001年2月の届出概要
 
  2000件を超える届出が3ヶ月継続したが、ようやく2000件を割り込み、1567件となった。メールの添付ファイルに対する注意がなされてきたためと思われるが、昨年同月に比べ、約4倍の件数であり、まだ沈静化したとは言えない。 2月の届出ウイルスは46種類で、新種ウイルスは「VBS/SST」「W32/BleBla」の2種類であった。

2.今月の特記事項

1)メール添付ファイルの安易なクリックはウイルス被害の元凶

メールの添付ファイルを安易にダブルクリックすると、ウイルスに感染する危険がある。2月の届出のうち、92%はメール経由での感染であり、メールの添付ファイルには十分な注意を払う必要がある。

W32/Hybris W32/MTX W32/Navidad

ランダムな8文字のアルファベット+.EXE 31種類の添付ファイル名を日替わりで使い分ける。 Navidad.exeの場合もある。

  参照:メールの添付ファイルの取り扱い5つの心得

2)WEBページの安易なクリックは様々な被害の元凶
 
   身に覚えのない国際電話料金の請求が!!

 怪しげなサイトからダウンロードしたプログラムを実行してしまったことによる被害の相談が多く寄せられている。文面をよく理解しないまま、クリックしていくと以下に示すような被害に遭うことがあるので、注意が必要である。

  ・知らない間にダイヤルQ2や国際回線に接続され、法外な料金を請求される。
  ・メール送信時、文末に勝手に宣伝文章が挿入される。
  ・ハードディスク内のデータが破壊される。
  ・外部の第三者にコンピュータを操られる。

 信頼できないサイト(IDナンバーだけが表示されているサイトやDM(ダイレクトメール)の本文に記載されているリンク先など)は訪問しないよう注意することが肝要である。 

参照:安易なダウンロードがもたらす大きな被害について
   個人ユーザのWebサーフィン、メール利用などに係わる脅威(危険性)に対する対策 

今月の呼びかけ

  「被害者は加害者になる!!」

 ウイルス感染被害者は、次の瞬間には多数に対する加害者になるかもしれない。
 ウイルスの種類によっては、感染と同時にウイルス添付のメールを大量に送信してしまうものもある。ウイルス対策ソフトのアップデート管理を行っていないと、ウイルス感染に気付かず、ウイルスを撒き散らしかねない。

 被害者にならないように注意するだけでなく、加害者にもならないよう、確実にセキュリティ対策を実施する必要がある。

2000年アンケートによる事業所ウイルス対策実態調査  (IPA)


3.ウイルス届出の詳細

1)今月、届出のあったウイルスは46種類であった。届出件数の多いウイルスは、W32/Hybrisが575件、W32/MTX が405件となっている。
 初めて届けられたウイルスは、「VBS/SST」「W32/BleBla」の2種類である。(マクロウイルス及びスクリプトウイルス377件、Windows、DOSウイルス1190件、Macウイルスなし。)
Windows、DOSウイルス 届出件数 スクリプトウイルス 届出件数
 W32/Hybris 575  VBS/SST(※) 89
 W32/MTX 405  VBS/LOVELETTER 28
 W32/Navidad 88  Wscript/KakWorm 24
 W32/QAZ 28  VBS/Stages
 W32/Ska 20  VBS/Netlog

 W32/Funlove 16 マクロウイルス 届出件数
 W32/Msinit 12  XM/Laroux 72
 W32/CIH 11  X97M/Divi 48
 W32/PrettyPark 10  W97M/Marker 26
 Anti-CMOS  W97M/Myna 18
 Form  W97M/X97M/P97M/Tristate 16
 W32/BleBla(※)  W97M/Ethan
 D3  W97M/Thus
 W32/Kriz  W97M/Class
 Burglar  W97M/Vmpck1
 Dir-U  W97M/Opey
 Jerusalem  W97M/Story
 OneHalf  W97M/Melissa
 Stoned  XM/VCX.A

 Vacsina  WM/Cap
 W32/Fix2001  W97M/Groov
 W32/Plage  W97M/Locale
 W32/Prolin  W97M/Nsi
 WYX Macintoshウイルス 届出件数
    

          なし

注) ウイルス名欄で、各記号はそれぞれの下記ウイルスを示す。(※)印は、今月の新種ウイルスを示す。

記号 対象ウイルス
 WM  MSword95(WordMacroの略)
 W97M  MSword97(Word97Macroの略)
 XM、XF  MSexcel95、97(ExcelMacro、ExcelFormulaの略)
 X97M  MSexcel97(Excel97Macro)
 W97M/X97M/P97M  MSword97、MSexcel97、MSpowerpoint97(Word97Macro、Excel97Macro、PowerPoint97Macroの略)
 W32  Windows32ビット環境下で動作
 VBS  VisualBasicScriptで記述
 Wscript  WindowsScriptingHost環境下で動作(VBSを除く)

2)2月にIPAに初めて届け出のあったウイルスの概要を記述する。

VBS/SST(AnnaKournikova)

 このウイルスは通常、電子メールの添付ファイルとして広がっていく。
 ウイルスを実行すると、ウイルス自身をWindowsフォルダ(通常は、C:\windows\)に、 AnnaKournikova.jpg.vbsというファイル名でコピーする。 そして、アドレス帳に登録されている全てのアドレス宛に、ウイルスを添付した以下の の内容の返信メールを送信する。
  件名:Here you have, ;o)
  本文:Hi: Check This!
  添付ファイル名:AnnaKournikova.jpg.vbs

W32/BleBla(Romeo Juliet)

 このウイルスは、InternetExplorerのセキュリティホールを悪用したウイルスで、 xjuliet.chm、xromeo.exeという名称の2つのファイルを添付したHTML形式のメー ルにより感染を拡げていく。
 このメールをマイクロソフト社のOutlook Expressで受信し、プレビューするか、Outlookで受信してメール内容を確認すると、Windows\Tempフォルダ(通常は C:\Windows\Temp)に、2つの添付ファイルをコピーする。 次に、HTMLのヘルプ機能を利用して、xjuliet.chmファイルを実行する。 このファイルが実行されると、ウイルスの本体であるxromeo.exeが実行される。
 xromeo.exeが実行されると、c:\windowsフォルダに、自分自身をsysrnj.exeと いうファイル名でコピーする。そして拡張子が.doc、.xls、.jpg、.zipなどのファイルを開いたときに、 ウイルスが実行されるようにレジストリを変更する。 ウイルスは上記のファイルを開いたときには、開いたファイルを削除してウイルス自身をそのファイルの名前に「.exe」を加えたファイル名で コピーする。

例) abcd.doc→削除→abcd.doc.exe

 そして、exeファイル(アプリケーション)が使用できなくなる。 
 また、アドレス帳に登録されているアドレス全てに対して以下の内容のメール を送信する。 
  件名:Romeo&Juliet他、18種類の中からランダムに選択される。
  本文:空白
  添付ファイル名:xjuliet.chm、xromeo.exe


(2)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、約69%を占めている。

届   出   者

届  出  件  数

2001/2   2001年合計   2000年合計  
 一般法人ユーザ 1075 68.6% 2876 71.8% 9975 89.8%
 教育・研究機関 95 6.1% 190 4.7% 214 1.9%
 個 人 ユ ー ザ 397 25.3% 941 23.5% 920 8.3%

(3)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて近畿地方、中部地方の順となっている。

地     域

届  出  件  数
2001/2   2001年合計   2000年合計  
 北海道 地 方 38 2.4% 92 2.3% 89 0.8%
 東 北 地 方 56 3.6% 108 2.7% 121 1.1%
 関 東 地 方 1039 66.3% 2978 74.3% 9415 84.8%
 中 部 地 方 161 10.3% 277 6.9% 612 5.5%
 近 畿 地 方 187 11.9% 385 9.6% 628 5.7%
 中 国 地 方 27 1.7% 53 1.3% 80 0.7%
 四 国 地 方 28 1.8% 55 1.4% 35 0.3%
 九 州 地 方 31 2.0% 59 1.5% 129 1.2%

(4)届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。海外からのメールも含めたメールにより感染したケースが最も多く、届出件数の約92%を占めている。

感  染  経  路

届  出  件  数
2001/2   2001年合計   2000年合計  
 メール 1138 72.6% 2809 70.1% 6171 55.5%
 海外からのメール 301 19.2% 939 23.4% 3843 34.6%
 ダウンロード 0.3% 0.2% 82 0.7%
 外部からの媒体 46 2.9% 86 2.1% 424 3.8%
 海外からの媒体 0% 0% 0%
 不 明 78 5.0% 163 4.1% 585 5.3%

(5)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。感染台数の欄0台は、FDのみの感染またはファイルのみの感染を示し、事前の検査により、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。

感  染  台  数

届  出  件  数
2001/2   2001年合計   2000年合計  
  0台 1218 77.7% 3189 79.6% 8927 80.4%
  1台 292 18.6% 704 17.6% 1610 14.5%
  2台以上 5台未満 36 2.3% 71 1.8% 393 3.5%
  5台以上10台未満 12 0.8% 22 0.5% 109 1.0%
 10台以上20台未満 0.3% 12 0.3% 32 0.3%
 20台以上50台未満 0.2% 0.1% 20 0.2%
 50台以上 0.1% 0.1% 18 0.2%

特定日発病ウイルスについて

 ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPAに届出されたウイルスの中で、3月8日〜4月30日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げた。(参考:特定日発病ウイルス[ウイルスカレンダー]
 発病してからではデータを破壊される等修復が困難となるので市販のワクチンソフト等を用いて、発病する前に発見・駆除することを望む。(駆除方法についてはIPAまで)

 W32/CIH  4月26日


コンピュータウイルスに関する届出制度について

 コンピュータウイルスに関する届出制度は、経済産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。
 IPAでは、個別に届出者への対応を行っているが、同時に受理した届出等を基に、コンピュータウイルス対策を検討している。また受理した届出は、届出者のプライバシーを侵害することがないように配慮した上で、被害等の状況を分析し、検討結果を定期的に公表している。

 ○コンピュータウイルス対策基準
  ・通商産業省告示第139号 平成2年4月10日制定
  ・通商産業省告示第429号 平成7年7月 7日改訂
  ・通商産業省告示第535号 平成9年9月24日改訂
  ・通商産業省告示第952号 平成12年12月28日改訂