2001年1月12日
情報処理振興事業協会

コンピュータウイルスの発見届出状況について

1.2000年12月ウイルス発見届出状況

 情報処理振興事業協会(略称IPA・村岡茂生理事長)は、2000年12月及び2000年1年間のコンピュータウイルスの発見届出状況をまとめた。

 ●発見届出件数 3ヶ月連続史上最多の2,778件(11月2,203件、年間累計11,109件)

['99年12月 238件、'99年一年間3,645件(月平均約304件)]
['90年4月から2000年12月までの届出総数22,951件] 

 ●発見届出状況

 メール悪用ウイルスが引き続き蔓延しており、中でもW32/MTXウイルスの発見届出が1008件(実際に感染した件数300件)と1種類のウイルスとして届出件数は今までの最高となった。(過去最高は2000年11月のW32/MTX894件) 
 これらのメール悪用ウイルスの蔓延は、特に無防備な初心者ユーザにとって深刻な事態となっている。12月の個人ユーザからの届出351件のうち、感染被害にあった件数が196件(56%)に上っており、12月の届出全体の感染被害率19%に比べて、個人ユーザの感染被害率が高いことが挙げられる。 
 12月の届出ウイルスは46種類で、新種ウイルスは「W32/Hybris」「W32/Plage」の2種類であった。

2.今月の特記事項

(1)届出件数は2778件と過去最多: メール悪用ウイルス蔓延!!

 3ヶ月連続で過去最多を更新しており、メール悪用ウイルスが82%を占めるなど、メールの添付ファイルによるウイルス感染がますます拡大し蔓延している。

 ・添付ファイルに注意! 

 添付ファイルは最新のウイルス対策ソフトでチェックするとともに、送信元や本文がないなどの奇妙なメール(*)の添付ファイルは、実行することなくメールごと削除することなどの対処が必要である。

  *「MTXウイルス」および「Hybrisウイルス」は、本文なしの添付ファイルだけのメールを送信して感染を広める。
   参照:「感染被害が深刻な「W32/MTX」に関する情報
      「新種ウイルス「W32/Hybris」に関する情報
  

(2)2000年1年間の届出総括: 1万件を超える!!

 2000年1年間の届出状況をまとめた。メール悪用ウイルスが蔓延し、年間の届出件数は、1999年の 3,645件から3倍以上の11,109件に上っている。
 しかしながら、感染実害の割合は大幅に減少しており、ワクチンソフトの普及率が向上し、感染前に発見するケースが増えているものと思われる。今後も、ワクチンソフトのなお一層の利用が望まれる。
     参照:「2000年ウイルス発見届出状況」 

3.今月の呼びかけ

 「加害者になった時では遅すぎる」

 メール悪用ウイルスの感染を広めてしまった初心者ユーザのほとんどが、「自分はウイルスとは無縁」と思って、ウイルス対策を怠っている。知人、友人から、ウイルスが舞い込んでくる可能性もある。「自分は例外」という意識は捨て、日頃からウイルス対策の基本を着実に守る必要がある。

  参照: 「パソコン・ユーザのためのウイルス対策7箇条

         

問い合わせ先:IPAセキュリティセンターウイルス対策室
         TEL:(03)-5978-7508 FAX:(03)-5978-7518 E-mail:virus@ipa.go.jp
         ウイルス110番:(03)-5978-7509 URL:http://www.ipa.go.jp/security/

今月、届出のあったウイルスは46種類であった。届出件数の多いウイルスは、W32/MTXが1008件、W32/Navidad が765件となっている。 初めて届けられたウイルスは、「W32/Hybris」「W32/Plage」の2種類である。(マクロウイルス及びスクリプトウイルス638件、Windows、DOS ウイルス2141件。1件で複数のウイルスの届出があるため、合計は届出件数の2778件に合致しない。)
マクロウイルス 届出件数 スクリプトウイルス 届出件数
 X97M/Divi 139  Wscript/KakWorm 170
 XM/Laroux 88  VBS/LOVELETTER 63
 W97M/Marker 24  VBS/Stages 16
 W97M/X97M/P97M/Tristate 21  VBS/Freelink
 W97M/Myna 18 Windows、DOSウイルス 届出件数
 W97M/Thus 15  W32/MTX 1008
 W97M/Ethan 11  W32/Navidad 765
 WM/Cap 11  W32/Hybris(※) 181
 W97M/Story  W32/QAZ 52
 W97M/Class  W32/Ska(Happy99) 44
 W97M/Melissa  W32/Funlove 36
 W97M/Bablas  W32/Plage(※) 13
 X97M/Barisada  W32/PrettyPark 12
 W97M/Titch  W32/CIH 11
 W97M/Chack  W32/Kriz
 W97M/Eight  Form  
 W97M/Proverb  W32/Fix2001
 W97M/Opey  Anti-CMOS
 W97M/Nsi  D3
 W97M/Pri  SAMPO
 W97M/Vmpck1  W32/Marburg
 W97M/Assilem  WYX
 W97M/Astia  YankeeDoodle
 W97M/Walker Macintoshウイルス 届出件数
      なし

 

注) ウイルス名欄で、各記号はそれぞれの下記ウイルスを示す。

記号 対象ウイルス
 WM  MSword95(WordMacroの略)
 W97M  MSword97(Word97Macroの略)
 XM、XF  MSexcel95、97(ExcelMacro、ExcelFormulaの略)
 X97M  MSexcel97(Excel97Macro)
 W97M/X97M/P97M  MSword97、MSexcel97、MSpowerpoint97(Word97Macro、Excel97Macro、PowerPoint97Macroの略)
 W32  Windows32ビット環境下で動作
 VBS  VisualBasicScriptで記述
 Wscript  WindowsScriptingHost環境下で動作(VBSを除く)

12月の届出の中で、検査発見・駆除修復に使われたウイルス対策ソフト及びベンダーを参考に示す。

検査発見・駆除修復に使われたウイルス対策ソフト
 ソフト名(届出受付順)  ベンダー名
 NortonAntiVirus  (株)シマンテック
 Inter Scan   トレンドマイクロ(株)
 ウイルスバスター  トレンドマイクロ(株)
 Virus Scan  日本ネットワークアソシエイツ(株)
 Net(Group) Shield  日本ネットワークアソシエイツ(株)
 Inoculan(Cheyenne)  コンピュータ・アソシエイツ(株)
 F-SECURE(F-PROT)  (株)山田洋行
 SophosAntiVirus  (株)シー・エス・イー
 ServerProtect  トレンドマイクロ(株)
 Antidote  (株)バーテックスリンク

4.届出の概要

(1)12月にIPAに初めて届け出のあったウイルスの概要を記述する。

W32/Hybris
 このウイルスは通常、電子メールの添付ファイルとして広がっていく。
  ウイルスを実行すると、C:\windows\Systemフォルダにある、Wsock32.dllファイルを書き換える。
  ウイルスは受信したメールや、閲覧したWebサイトから取得したアドレス宛に、ウイルス自身を添付したメールを送信する。 ウイルスが送信するメールの件名、本文、添付ファイル名は、感染したマシンの言語 環境により異なる。
  日本語環境のマシンからのメールの場合、件名、本文は空白で、添付ファイル名は、 「ランダムな8文字のアルファベット」+「.exe」となる。

W32/Plage
 このウイルスは通常、電子メールの添付ファイルとして広がっていく。 
 ウイルスを実行すると、WindowsフォルダにINETD.EXEというファイル名でウイルス自身をコピーし、次回起動時に自動的に実行されるようにwin.iniファイルを書き換える。 ウイルスは実行されると、受信トレイに未読メールがあると、そのメールの送信者に対して、ウイルスを添付した以下の内容の返信メールを送信する。添付ファイルのア イコンは、Zipの圧縮ファイルのアイコンになっている。 

件名: Re:送信者のメールの件名

本文: P2000 Mail auto-reply
     ' I'll try to reply as soon as possible
     Take a look to the attachment and send me your opinion! '
    > Get your FREE P2000 Mail now! <

 添付ファイル名:Pics.exe、images.exe他

 世界標準時で、水曜日の午前0時から午前2時(日本時間では水曜日午前9時から午 前11時の)の間に感染したマシンを実行すると、画像とメッセージを表示する。

(2)届出の届出者別件数は次のとおりである。一番多い届出は、一般法人ユーザからのもので、約84%を占めている。

届   出   者

届  出  件  数

2000/12   2000年合計   1999年合計  
 一般法人ユーザ 2325 83.7% 9876 88.9% 2859 78.4%
 情 報 産 業 0.2% 99 0.9% 203 5.6%
 教育・研究機関 97 3.5% 214 1.9% 227 6.2%
 個 人 ユ ー ザ 351 12.6% 920 8.3% 356 9.8%

(3)届出の地域別件数は次のとおりである。関東地方が最も多く、続いて近畿地方、中部地方の順となっている。

地     域

届  出  件  数
2000/12   2000年合計   1999年合計  
 北海道 地 方 31 1.1% 89 0.8% 34 0.9%
 東 北 地 方 41 1.5% 121 1.1% 89 2.4%
 関 東 地 方 2374 85.5% 9415 84.8% 2476 67.9%
 中 部 地 方 117 4.2% 612 5.5% 293 8.0%
 近 畿 地 方 139 5.0% 628 5.7% 547 15.0%
 中 国 地 方 25 0.9% 80 0.7% 107 2.9%
 四 国 地 方 11 0.4% 35 0.3% 25 0.7%
 九 州 地 方 40 1.4% 129 1.2% 74 2.0%

(4)届出から感染経路を区分けすると次の表のようになる。海外からのメールも含めたメールにより感染したケースが最も多く、届出件数の約94%を占めている。

感  染  経  路

届  出  件  数
2000/12   2000年合計   1999年合計  
 メール 1663 59.9% 6171 55.5% 2175 59.7%
 海外からのメール 931 33.5% 3843 34.6% 268 7.4%
 ダウンロード 0.3% 82 0.7% 195 5.3%
 外部からの媒体 82 3.0% 424 3.8% 589 16.2%
 海外からの媒体 0% 0% 22 0.6%
 不 明 92 3.3% 585 5.3% 396 10.9%

(5)届出のあったウイルスが感染させたパソコンの台数は次のとおりである。感染台数の欄0台は、FDのみの感染またはファイルのみの感染を示し、事前の検査により、パソコンに感染する前にウイルスを発見したものである。

感  染  台  数

届  出  件  数
2000/12   2000年合計   1999年合計  
  0台 2250 81.0% 8927 80.4% 1692 46.4%
  1台 407 14.7% 1610 14.5% 1316 36.1%
  2台以上 5台未満 78 2.8% 393 3.5% 401 11.0%
  5台以上10台未満 27 1.0% 109 1.0% 122 3.3%
 10台以上20台未満 0.2% 32 0.3% 64 1.8%
 20台以上50台未満 0.3% 20 0.2% 33 0.9%
 50台以上 0.1% 18 0.2% 17 0.5%

特定日発病ウイルスについて

 ウイルスの被害の拡大を防止する意味から、今回は、IPAに届出されたウイルスの中で、12月7日〜1月31日に発病する可能性がある主なウイルスを下記に掲げた。(参考:特定日発病ウイルス[ウイルスカレンダー]
 発病してからではデータを破壊される等修復が困難となるので市販のワクチンソフト等を用いて、発病する前に発見・駆除することを望む。(駆除方法についてはIPAまで)

 W97M/Maker  2月1日
 Wscript/Kakworm  2月1日


コンピュータウイルスに関する届出制度について

 コンピュータウイルスに関する届出制度は、経済産業省のコンピュータウイルス対策基準に基づき、'90年4月にスタートした制度であって、コンピュータウイルスを発見したものは被害の拡大と再発を防ぐために必要な情報をIPAに届け出ることとされている。
 IPAでは、個別に届出者への対応を行っているが、同時に受理した届出等を基に、コンピュータウイルス対策を検討している。また受理した届出は、届出者のプライバシーを侵害することがないように配慮した上で、被害等の状況を分析し、検討結果を定期的に公表している。

 ○コンピュータウイルス対策基準
  ・通商産業省告示第139号 平成2年4月10日制定
  ・通商産業省告示第429号 平成7年7月 7日改訂
  ・通商産業省告示第535号 平成9年9月24日改訂
  ・通商産業省告示第952号 平成12年12月28日改訂